Yutaro Mori
私は、慢性腎臓病を治す治療法を開発し、透析療法や腎移植のいらない世界を実現したいと切望しています。
慢性腎臓病は、国民の8人に1人が罹患している致死性の病気です。悪化すれば維持透析療法や腎移植を行わなければ死に至ってしまいます。私は腎臓内科医として、多くの担当患者さんが腎機能が限界を迎えたために透析を始めなければならなくなる状況を目にしてきて、幾度も忸怩たる思いをしてきました。血液透析療法は、週3回、4時間程度ずつの通院が必要となり、患者さんの体力的・時間的負担がとても大きいうえに、中止をすると生命の維持ができなくなってしまいます。現時点で、腎臓の機能を回復させる薬剤は開発されておらず、このことに、私は大きな問題意識を持っています。
私自身、健康な人間ではなく、かつて小腸に10cm以上の大きさがある消化管間質性腫瘍(GIST)という悪性腫瘍に罹患し、科学の進歩の結果生み出された分子標的治療薬と手術によりほぼ完治するところまで至った過去があります。私の命は、医学・医療の発展により救われました。次は、腎臓内科医兼腎臓領域の研究者として、私が腎臓を治す治療を開発することで、社会に貢献する番です。死の淵から救われたこの命の全てを賭けて、慢性腎臓病を治せる病気にする治療法の開発に取り組みたいと思っています。
これまで慢性腎臓病を改善する治療法が開発されなかった理由のひとつは、実験に使われるマウスなどの動物や細胞を使った病気のモデルが、実際の人間の病気と大きく異なっていたからだと考えられます。慢性腎臓病は、腎臓の細胞が老化したり、年を取ることが進行に大きく関わっていることがわかっています。しかし、マウスの寿命は約2年と短いため、人間の老化や加齢を完全に再現することは難しいのです。
そこで私は、腎臓がんの患者さんが手術で腎臓を摘出する際に、そのがんではない部分を使って人間の腎臓の細胞を培養し、それを立体的に組み立てて「ミニ腎臓モデル(オルガノイド)」を作る研究を行っています。このミニ腎臓モデルを使うことで、人間の老化や体の多様性を再現し、マウスに代わる新しい病気のモデルとして活用できると考えています。そして、このモデルを使って、慢性腎臓病を治したり改善したりする薬を開発したいと考えています。
現在、私が発見した薬や製薬会社が開発した新しい薬が、このミニ腎臓モデルでどのように効果を発揮するかを調べる準備を進めています。また、このアプローチは、動物実験を減らすことにもつながると考えています。
このプロジェクトでは、患者さんの手術で摘出された腎臓の一部を使って、3次元の「ミニ腎臓モデル」を作り出します。このモデルを使って、慢性腎臓病の状態を再現し、私たちが発見した治療薬や共同研究で提供された薬を試して、その効果や安全性を確認する研究を行います。
私たちが作るミニ腎臓モデルは、マウスなどの実験動物よりも、慢性腎臓病に共通する特徴、特に細胞の老化をより正確に再現できます。また、実際に患者さんから提供された細胞を使うため、薬の毒性についても、実験動物よりも人間に近い状態で評価できます。
さらに、この実験を複数の患者さん由来のミニ腎臓モデルで繰り返すことで、より効果が高く、副作用が少ない薬を選び出します。試す薬には、私たちが発見した治療薬のほか、老化した細胞を取り除く薬や、老化した細胞を若返らせる薬なども含まれています。
今回、私たちが実施している研究を情報発信し、社会からの理解と協力の双方を得たいと考えたため、クラウドファンディングにチャレンジを決意しました。社会からの協力なくして、研究の最終的な社会実装である創薬の実現までは非常に困難です。薬剤を患者さんたちの手に届けるまでには、数千億円の費用がかかるでしょう。私たちは、クラウドファンディングでサポートいただいた貴重な資金を、ミニ腎臓モデルを作製したり維持したりするための細胞培養の試薬の購入や、ミニ腎臓モデルに薬剤を投与した後に分析したりするための費用として使わせていただこうと考えています。ミニ腎臓モデルを1年間培養・維持するためだけで50〜100万円程度の費用がかかります。また、ミニ腎臓モデルなどの分析について、1回の分析に100万〜200万円程度といった規模で、多額の費用を要しています。
本研究が成功した暁には、バイオベンチャー企業を立ち上げ、同定した最も適切な慢性腎臓病治療薬の臨床試験を通した実用化、ミニ腎臓モデルのさらなる創薬への応用や、他臓器のミニモデルの開発など、慢性腎臓病だけでなく他の領域へも私たちの技術を援用し社会実装を目指したいと考えています。
私は自分たちの研究が本当に社会を変えられると信じています。それが医学・医療によって生かされた自分の社会への恩返しだと考えています。どうか皆様、ご支援・ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
ハーバード大学で森さんと一緒に研究に取り組んでいた市村ハリーと申します。森さんとともにミニ腎臓モデルを開発しました。
森さんは、ハーバード大学在籍中に命に関わる大病を患いました。彼は化学療法の最中も全身をボロボロにしながら研究室にやってきて、実験と格闘していました。手術の後も腹膜炎を発症し、一時は死線を彷徨いながらも回復し、退院した翌日から研究を再開していました。私は森さんほどの信念とレジリエンスを持った人を他に知りません。森さんの研究は、彼の信念とレジリエンスに導かれ、将来本当に慢性腎臓病を治せる病気にしてくれると信じています。
近年、日本の研究力低下が問題視されており、アカデミアの構造改革が求められています。このような状況下では、異分野の融合による新たなイノベーションの創出が、現状を打開する鍵となると考えています。
現在、森氏の研究グループとマイクロ・ナノ技術を得意とする私のラボでは、森氏が開発したミニ腎臓モデルの生体模倣性を向上させるための共同研究を進めています。この共同研究を通じて、森氏が優れた研究開発能力と高い研究指導力を持つことを実感しており、彼が世界をリードする研究者となることを確信しています。
今、日本の医学研究領域は岐路に立たされています。特に臨床と研究を担う若手医師にとって、基礎研究を続けることのできるチャンスが米国に比べ少ないのが日本の現状です。加えて、2024年からの働き方改革により熱意ある医師が研究を行う時間すら十分に確保することができなくなってしまいました。
私自身もつい3年前までは腎臓オルガノイド(ミニ臓器)を用いた基礎研究に携わる科学者でした。オルガノイドは機能的な3次元構造を持ち、色々な病態を模倣することができるため、森氏の持つ技術により腎臓病の創薬研究の幅が大きく広がります。
科学・技術・社会が相互に作用しながら発展するというサイニック理論が示すように、森氏のような実績と熱意ある科学者が社会への新たな価値提案をすることは、日本の創薬研究・技術を社会実装に繋ぐための希望の光となり得ます。誠実で実直な森氏の研究がその先駆けとなると信じています。
Date | Plans |
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2025年5月 | 実験開始 |
2026年6月 | データの一部をまとめて国内学会で発表 |
2026年10月 | データの一部をまとめて国際学会で発表 |
2027年1月 | 論文執筆開始 |
メールでお礼のメッセージをお送りします。
このリターン実施は2025年6月を予定しています。
お礼のメッセージ
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お礼のメッセージ | June, 2025 |
28 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)
academist Journalに寄稿する研究報告レポートにお名前を掲載します。
このリターン実施は2027年7月を予定しています。
研究報告レポートにお名前掲載 / お礼のメッセージ
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研究報告レポートにお名前掲載 | July, 2027 |
お礼のメッセージ | June, 2025 |
36 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)
本プロジェクトに関するオンラインサイエンスカフェにご招待します。
このリターン実施は2025年10月を予定しています。
オンラインサイエンスカフェ / お礼のメッセージ / 研究報告レポートにお名前掲載
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オンラインサイエンスカフェ | October, 2025 |
お礼のメッセージ | June, 2025 |
研究報告レポートにお名前掲載 | July, 2027 |
3 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)
今回の研究が論文化した際に、謝辞を掲載いたします。
このリターン実施は2027年7月を予定しています。
論文謝辞にお名前掲載 / お礼のメッセージ / 研究報告レポートにお名前掲載 / オンラインサイエンスカフェ
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論文謝辞にお名前掲載 | July, 2027 |
お礼のメッセージ | June, 2025 |
研究報告レポートにお名前掲載 | July, 2027 |
オンラインサイエンスカフェ | October, 2025 |
5 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)
研究室のHPにお名前を掲載します。
このリターン実施は2025年5月を予定しています。
研究室HPにお名前掲載 / お礼のメッセージ / 研究報告レポートにお名前掲載 / オンラインサイエンスカフェ / 論文謝辞にお名前掲載
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研究室HPにお名前掲載 | May, 2025 |
お礼のメッセージ | June, 2025 |
研究報告レポートにお名前掲載 | July, 2027 |
オンラインサイエンスカフェ | October, 2025 |
論文謝辞にお名前掲載 | July, 2027 |
9 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)
本研究について個別にディスカッションする機会を設けます。具体的な内容や日程は個別にご相談いたします。
このリターン実施は2025年9月を予定しています。
個別ディスカッション / お礼のメッセージ / 研究報告レポートにお名前掲載 / オンラインサイエンスカフェ / 論文謝辞にお名前掲載 / 研究室HPにお名前掲載
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個別ディスカッション | September, 2025 |
お礼のメッセージ | June, 2025 |
研究報告レポートにお名前掲載 | July, 2027 |
オンラインサイエンスカフェ | October, 2025 |
論文謝辞にお名前掲載 | July, 2027 |
研究室HPにお名前掲載 | May, 2025 |
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本研究に関する出張講義を行います。具体的な内容や日程は個別にご相談いたします。
※宿泊費・交通費は別途いただきます。
このリターン実施は2025年9月を予定しています。
出張講義 / お礼のメッセージ / 研究報告レポートにお名前掲載 / オンラインサイエンスカフェ / 論文謝辞にお名前掲載 / 研究室HPにお名前掲載 / 個別ディスカッション
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出張講義 | September, 2025 |
お礼のメッセージ | June, 2025 |
研究報告レポートにお名前掲載 | July, 2027 |
オンラインサイエンスカフェ | October, 2025 |
論文謝辞にお名前掲載 | July, 2027 |
研究室HPにお名前掲載 | May, 2025 |
個別ディスカッション | September, 2025 |
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お礼のメッセージ
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