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亡くなった方からの遺伝情報を、ご家族に届けたい

Monthly academist Prize 4th adopted

Kanako Koike FUKUSHIMA

国際医療福祉大学、Assistant Professor

Challenge period

2024-09-03 - 2025-08-31

Final progress report

Tue, 10 Sep 2024 22:47:01 +0900

Progresses

2 times

Supporters

57 people

Elapsed time

Tue, 03 Sep 2024 08:00:00 +0900

Profile

Kanako Koike FUKUSHIMA

私はあるメッセージビデオ に心揺さぶられたことがきっかけで、仲間たちとともに一次救命処置になじみを持ってもらうために活動してきました。その過程で、亡くなった原因がわからない苦しみや、家族の中で死が再び繰り返されるのではという恐れを抱くご家族に出会いました。

「予防可能な死と、かなしみを減らしたい」
そんな想いで、病院での遺伝カウンセリングや、認定遺伝カウンセラーを目指す大学院生の教育に携わりながら、研究に臨んでいます。

略歴はこちらをご覧ください。

What do you want to achieve through your research?

私は「亡くなった方からの遺伝情報をご家族へ」をテーマに、亡くなった方の遺伝学的検査(死後遺伝学的検査)に基づく新しい予防医療の体制を築くことを目指しています。

昨日まで元気だったご家族を突然の死で失うことは、家族の日常を大きく変える出来事であり、耐えがたいかなしみをもたらします。

死因を明らかにするために解剖を行ったとしても、約3割では死因が明らかにならず、不詳の死とされることも少なくありません。死後の遺伝学的検査は「死因を知りたい」と願うご遺族の一縷の望みとなりえます。

さらに、突然死の原因となる遺伝性心疾患は、内服や生活上の管理などによって突然死を防ぐことができる疾患も含まれます。

このように、死後遺伝学的検査は死因究明と予防との2つの意義を有することから、諸外国では行われるようになりつつあります。しかし、日本国内では一部の施設で手探りで行われているのが現状です。

私は、選択肢のない現状をなんとか変えたい、必要とする方にこの検査の情報と支援を届けたい、と考え研究に取り組んでいます。

What kind of process are you trying to achieve?

研究と社会との対話の場作り、2つのアプローチで当事者中心の体制構築を目指したいと考えています。

死後遺伝学的検査というテーマには、あらゆる課題が存在します。
「検査の精度は十分なのか?」
「本当に予防につながるのか?」
「かなしみの中にいるご家族に、いつどのように伝えるべきか?」
「亡くなった方やご家族は、それを望んでいるのか?」

まず第一に、これらの問いに答えるためのエビデンスの創生が必要です。
日本と諸外国とでは死因究明制度や医療制度、死生観などが異なるため、世界共通の普遍的な問いに対する研究に加え、国内特有の課題や実状も明らかにしていきます。

並行して、対話の場を作ります。
研究や体制構築にあたっては立場や領域を超えた協働が必要不可欠であり、そのためには同じ方向を向いていかねばなりません。指針やコンセンサスを醸成していく過程で、当事者であるご遺族がどのようなあり方を望むのかということを中心に置きながらの対話は極めて重要であると考えています。

What research topics are you currently working on?

主に死後遺伝学的検査のプロセスにフォーカスを当て、日本における死後遺伝学的検査の適切なあり方を明らかにするために当事者・医療提供体制・疫学の3つの側面から研究を行っています。

具体的には、
1. 当事者に関する調査
2. 実態・医療者の認識に関する調査
3. 疫学的調査
の3本柱で研究を実施しています。

1.では、若年心臓突然死者遺族に対し、突然死時の心境や状況とそれにもとづく死後遺伝学的検査をはじめとする死因究明へのニーズを明らかにしました。これまでにご協力いただいたのは、過去の経験をさかのぼってお尋ねする方法でした。次の段階として、実際に死後遺伝学的検査を提案された当事者の方の心理的状況や意思決定の過程を追って明らかにすることを計画しています。

2.では、救急・法医・循環器・遺伝にかかわる医療専門職者らの課題意識を調査し、その結果を広く明らかにするための悉皆調査に向けて準備中です。

3.では、日本における疫学調査の基礎調査として、約1,600件もの死後遺伝学的検査にかかわる既存の文献を系統的に調査し、現在、論文化中です。

Why are you challenging Academist?

死後遺伝学的検査について、立場や領域を越えてともに学び、対話するためのシンポジウムを開催したいと考えています。

亡くなった方の遺伝情報は、家族の命を守るための贈り物かもしれない
そんな思いに共感してくださったカウンターパートの先生方や当事者の方々とともに、プロジェクトを立ち上げました。プロジェクトの名前は "Genetic Information for Family prevenTion" の頭文字から "giftプロジェクト" とし、2019年11月に、キックオフシンポジウムを開催しました。

今後は、初回シンポジウムでの対話を糧にこの5年で積み上げてきた知見を共有し、さらに一歩進んだ対話の場を作りたいと考えています。皆様からのご支援は、会場費、当事者・講師・運営スタッフへの交通費や謝礼などに使用させていただきます。

同時に、academist を通じてより多くの方にこの研究テーマを知っていただくことも目指しています。大切な人を失ったかなしみは癒えずとも、ご遺族の方々が相談する先がないことや、当事者の方同士の孤独感などに対し、この研究を知っていただくことがなにかのきっかけになることを願っています。

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このプロジェクトは、銀行振込での一括支援も可能です。
ご支援いただいた月から2025年9月末まで活動報告が閲覧できます。

一括支援をご希望の方は、こちらのフォームよりお申し込みをお願いいたします。

〈一括支援プラン〉
11,000円(税込)
33,000円(税込)
55,000円(税込)
110,000円(税込)
220,000円(税込)

Recommender Comment

石見拓
日本AED財団専務理事 京都大学大学院医学研究科 予防医療学分野 教授

心疾患による死亡の多くは突然死であり、わが国では毎年8万人もの方が心臓突然死で命を失っている。中でも若年者に起こる心臓突然死の本人、家族や友人、社会に与える影響は計り知れない。従来、突然の心停止を予見し予防することは困難とされてきたが、近年の医学の発展に伴い、心臓突然死を予防する可能性が見えてきた。福嶋佳菜子氏は、遺伝学を通じて、若年性心臓突然死の予防にチャレンジしている。私自身、彼女の心臓突然死の多くは防げるはずだ!という熱いメッセージに大いに刺激を受けている。心臓突然死を減らす研究や活動を進める同志としてエールを送るとともに、多くの皆様に彼女の想い、取り組みを知り、応援していただきたい。

中山祐次郎
外科医師・作家 湘南医療大学 臨床教授

心臓突然死。いつもと同じ日を過ごしていた若い人が、突然心臓が止まって死亡してしまうという悲劇。本人の無念は想像を絶し、家族は受容に苦しむ。その3割は原因がわからないという。福嶋佳菜子氏は、遺伝学専門家という自身の背景から、「死後遺伝学的検査」という武器でこの難問に猛然と立ち向かう。私と同級であった京大大学院生時代から一貫して執念深く本テーマで研究する同氏は、まさにacademist Prizeで支援に値する人間だと保証する。

大野 聖子
国立研究開発法人 国立循環器病研究センター メディカルゲノムセンター 研究部長

私たちは心臓突然死の原因となる遺伝性の循環器疾患について、その発症原因から治療法の確立まで、遺伝学的な見地から研究を続けています。心臓突然死は健康な方に突然襲ってくる悲劇であり、研究は進んでいるものの、まだ完全に防ぐことはできません。このgiftプロジェクトによって、突然死によって大切な人を亡くしてしまった方と研究者をつなぎ、多くの方に希望を与えることができると期待しています。

小谷 泰一
小児突然死予防学会評議員 三重大学大学院医学系研究科 法医法科学分野 教授

遺伝情報をもっとも必要とされるのはご家族です。そのご家族がこのプロジェクトの真ん中にいることに大きな期待を抱いています。これまでは研究者仲間で遺伝学的検査の制度化を目指してきましたが前途遼遠です。大学院生時代の福嶋さんが主催されたご家族と多様な専門家が対話するgiftプロジェクトに私は圧倒されました。懇親会は笑顔と感動がいっぱいでした。このプロジェクトはその対話をつなぎ、命をつなぎます!

西垣 昌和
国際医療福祉大学大学院遺伝カウンセリング分野 教授

遺伝と心臓突然死。この2つの言葉が並んだとき、恐怖、無力感、悲嘆……様々なネガティブな感情がわきあがり、ともすれば絶望の淵に沈みかねません。しかし福嶋さんは、そこに希望を見出そうとしています。遺伝だからこそ、家族の心臓突然死リスクを予見し、予防ができる。死者が残した遺伝情報は、遺された家族の生命を守るためのgiftだと。皆様の支援によって、彼女の見出した希望が、多くの人に届くことを願っています。

Project timeline

Date Plans
2024年8月 giftプロジェクト シンポジウム企画立案
2024年9月 月額支援型クラウドファンディング開始
2024年10月 日本人類遺伝学会にて発表
2024年11月 日本救急医学会にて発表
2024年11月 医療従事者・施設を対象とした実態調査 実施
2024年12月 医療従事者・施設を対象とした実態調査 集計、論文執筆
2025年2月 死後遺伝学的検査実施施設 ヒアリング
2025年3月 giftプロジェクト シンポジウム開催
2025年5月 開催レポート作成
2025年8月 月額支援型クラウドファンディング終了

Pledge Rewards

330 JPY / Mo. tax included

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31 supporters back

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This project is a monthly fee-based crowdfunding. Payment will be made from the month of support to the end of every month.
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