私が研究を通して成し遂げたいことは、クワガタの「カッコ良さ」の源に迫ることです!
日本人なら誰しもが知っているメジャー昆虫であるクワガタですが、実験生物学的にはあまり研究が行われてきませんでした。クワガタのシンボルといえば、オスだけで大きく発達する大顎です。この大顎はさまざまなクワガタ種ごとに多様な形態を示し、形、艶、大きさなどカッコ良さの要素はたくさんあります。そのなかで、私は特に大顎の大きさにカッコ良さを感じます。
では、どのような仕組みで大顎が大きく発達するのか? なぜメスでは発達せずオスだけでその仕組みが機能するのか? どんな仕組みで種ごとに多様な形態となっているのか? これらはほとんどわかっていません。こうしたクワガタの大顎にまつわる謎を研究を通して解き明かし、そのカッコよさの源に迫りたいと考えています!
私はこれまで、「生物が受精卵から成熟した個体となるまで」の現象を取り扱う発生生物学という分野で、かれこれ20年近くクワガタを研究してきました。クワガタのオスでは、幼虫時代の栄養状態が良い個体ほど大きな大顎を持つことが知られています。では、幼虫の時の栄養状態が、どのように成虫の大顎の大きさに反映されるのでしょうか。
この謎を解くカギとなるのが「ホルモン」です。私は大学院生の時の研究で、幼虫期に栄養状態の良かった個体は、蛹(さなぎ)への変態を行う直前(専門的には「前蛹(ぜんよう)」というステージ)に、体内のあるホルモンの濃度が高くなり、逆に栄養状態が悪かった個体はホルモン濃度が低くなることを発見しました。ということは、人為的にそのホルモンを体に入れてやることで、栄養状態が悪い個体も大きな大顎を持つ蛹になるのではないだろうか、と思い実験をしました。すると、予想通り栄養状態が悪かった個体でも前蛹のときに体内のホルモン濃度を上げると、大きく発達した大顎を持つ蛹へと変態しました。蛹の大顎の大きさはほぼそのまま成虫の大顎の大きさなので、この実験から前蛹の体内ホルモン濃度が大顎の発達に重要なことが明らかになりました。
このように、生物個体が体を作る上で重要なホルモンや遺伝子などを人為的に操作する実験を通して、クワガタの発達した大顎を始めと体を作る仕組みを明らかにする研究をしています。
さて、そんなクワガタのカッコよさの源である大顎ですが、オスだけが大顎を大きく発達させるのが大きな特徴です。私はしばしば一般向けの研究講演も行うのですが、そこでも頻繁に聞かれる質問として「どうしてクワガタはオスだけが大きなアゴをもっているのですか?」というものがあります。やはり皆さんも、それが疑問なようです。
今回のプロジェクトでは、クワガタがオスだけ大きな大顎を作っている仕組みを明らかにしたいと思っています。
具体的には、オスの大顎が形成されるときにどのような遺伝子が使われているのかを調べ(発現解析)、その遺伝子を働かなくしたときに大顎が発達しなくなるかどうかを調べていきます(機能解析)。
たとえば下の画像を見てください。これはノコギリクワガタという種で、左下が通常のオス、右下が通常のメスの姿です。オスは大きく発達した大顎を持ち、メスの大顎は小さく未発達です。しかし、中央上方の個体はこのオスとメスの中間です。大顎はやや発達していますが、通常のオスほどではありません。頭の幅もオスとメスの中間くらいです。この個体は、オスやメスの体を作る上で重要な遺伝子の機能を抑制した個体です。このように遺伝子の働きを抑えた時に、姿がどう変わるかを調べることで、その遺伝子がどのような機能を持っているかを明らかにすることができます。
私は、自然界を見渡した時に「なぜ?」「なんで?」湧き上がる疑問と、その答えを「知りたい」という欲求、その両方が大事にされる世界を夢見ています。
子どもの頃に身の回りのものごとにさまざまな疑問を持ったことは誰にでもあるのではないでしょうか。「雨が降るのはなんで?」「なんで桜はすぐに散っちゃうの?」「人間には翼がないのはなぜ?」「どうして砂糖と塩って見た目は同じなのに味が違うの?」そんな子どもの時に抱いた疑問の数々は成長と共にどうでもよくなってしまうかもしれません。しかし、我々人類は歴史の過程でそのような疑問の数々を解き明かしてきましたし、それが結果的に科学技術の発展をもたらしてきました。
私たちが行うクワガタの研究の成果を通して、研究活動の面白さを伝えることで、多くの人々(私の場合は、クワガタが好きな子どもたち)に、このような気持ちを持って欲しいし、それを大事に育てて欲しい、そう思いながら研究をしています。
今回、クラウドファンディングを通して、多くの人に馴染み深いクワガタに関する研究を、ぜひ皆さんと一緒に進めていき、研究活動の面白さを体験して欲しいと願っています。
支援いただいたお金は、実験に必要な試薬や設備の購入、学会参加やサンプリングの費用などに使用させていただきます。ご支援どうぞよろしくお願いいたします!
寄付金領収書について
ご寄附いただいた皆様へ、確定申告により税制上の優遇措置が適用される領収書を国立大学法人静岡大学より発行致します。
なお、領収書の日付は、お申込み受付日やカード決済口座からの振替日ではなく、アカデミスト株式会社より国立大学法人静岡大学に入金された日付となります。
【法人・団体様からのご寄附】
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【個人様からのご寄附】
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・住民税…お住まいの都道府県・市区町村が、条例で国立大学法人静岡大学を寄附金税額控除の対象として指定しており、寄附金を支払った年の翌年1月1日にお住まいの場合、寄附の翌年の個人住民税額から控除されます。詳しくはお住まいの都道府県・市区町村にお問い合わせください。
後藤さんは、私と同じ研究室で博士号を取得した方で、当時からずっとクワガタムシの研究に取り組んでいます。大学院生の頃から、一般の方々向けのサイエンストークや、小学校での出前授業など、多くの人々に科学の楽しさ、そしてクワガタムシ研究の面白さを伝えようとする活動を継続している点も印象的でした。今回のクラウドファンディングも、多くの人々とクワガタムシ研究をともに楽しみたいという後藤さんの熱意が感じられます。ご支援を是非お願いいたします。
昆虫は陸上生態系で大繁栄しており、生態や行動、形態に生理まで、どの側面を取ってもきわめて多様です。そしてその面白さは私たちを惹き付けて止みませんし、さまざまな謎がいたるところに転がっています。後藤さんが長らく研究対象としているクワガタムシは、知名度こそ高く、分類学的な研究も進んでいる昆虫ですが、その一方で実験生物学的な研究はあまり行われていない昆虫です。後藤さんの実力は折り紙付きです。きっとこの研究を通して新しい発見があるでしょう。是非みなさんにもそのワクワクを一緒に体験して頂ければと思います。ご支援をよろしくお願いいたします。
時期 | 計画 |
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2025年4月 | 研究開始 |
2025年9月 | 国内学会で発表 |
2025年12月 | 性決定に関する論文執筆開始 |
2026年9月 | 国内学会で発表 |
2026年12月 | 大顎の栄養応答性に関する論文執筆開始 |
メールでお礼のメッセージをお送りします。
このリターン実施は25年4月を予定しています。
お礼のメッセージ / 寄付金領収書
リターン | 実施予定日 |
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お礼のメッセージ | 2025年04月 |
4人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
academist Journalに寄稿する研究報告レポートの詳細版PDFをお送りします。
具体的には研究室からの出版論文の紹介や、学会発表内容の紹介などを予定しています。
このリターン実施は25年度に4回を予定しています。
研究報告レポート詳細版(年4回) / お礼のメッセージ / 寄付金領収書
リターン | 実施予定日 |
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研究報告レポート詳細版(年4回) | 2025年07月 |
お礼のメッセージ | 2025年04月 |
9人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本プロジェクトに関するオンラインサイエンスカフェにご招待します。
このリターン実施は25年7月を予定しています。
オンラインサイエンスカフェ / お礼のメッセージ / 研究報告レポート詳細版(年4回) / 寄付金領収書
リターン | 実施予定日 |
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オンラインサイエンスカフェ | 2025年07月 |
お礼のメッセージ | 2025年04月 |
研究報告レポート詳細版(年4回) | 2025年07月 |
2人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
今回の研究が論文化した際に、謝辞を掲載いたします。
このリターン実施は26年5月を予定しています。
論文謝辞にお名前掲載 / お礼のメッセージ / 研究報告レポート詳細版(年4回) / オンラインサイエンスカフェ / 寄付金領収書
リターン | 実施予定日 |
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論文謝辞にお名前掲載 | 2026年04月 |
お礼のメッセージ | 2025年04月 |
研究報告レポート詳細版(年4回) | 2025年07月 |
オンラインサイエンスカフェ | 2025年07月 |
6人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
静岡大学の当研究室の一般向け研究室見学会にお越しいただくことができます。
このリターン実施は25年の8月を予定しています。
研究室見学会 / お礼のメッセージ / 研究報告レポート詳細版(年4回) / オンラインサイエンスカフェ / 論文謝辞にお名前掲載 / 寄付金領収書
リターン | 実施予定日 |
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研究室見学会 | 2025年07月 |
お礼のメッセージ | 2025年04月 |
研究報告レポート詳細版(年4回) | 2025年07月 |
オンラインサイエンスカフェ | 2025年07月 |
論文謝辞にお名前掲載 | 2026年04月 |
1人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
お子様(もしくはお孫様やお知り合いのお子様)の研究指導を行います。主に長期休みの自由研究(生物学分野)を想定しております。ただし、当方は研究テーマの相談や、用いる手法、結果のまとめ方などに関する研究全般のアドバイスは行いますが、実際に実験や観察などを行うのはあくまでもお子様本人であることにご留意ください。また、アドバイスはオンラインで行います。
研究指導(小学生~高校生の自由研究) / お礼のメッセージ / 研究報告レポート詳細版(年4回) / オンラインサイエンスカフェ / 論文謝辞にお名前掲載 / 研究室見学会 / 寄付金領収書
リターン | 実施予定日 |
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研究指導(小学生~高校生の自由研究) | 2025年07月 |
お礼のメッセージ | 2025年04月 |
研究報告レポート詳細版(年4回) | 2025年07月 |
オンラインサイエンスカフェ | 2025年07月 |
論文謝辞にお名前掲載 | 2026年04月 |
研究室見学会 | 2025年07月 |
1人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
クワガタ学者として、お好きなクワガタムシ1種を紹介するレポートをお送りします!
お礼のメッセージ / 研究報告レポート詳細版(年4回) / オンラインサイエンスカフェ / 論文謝辞にお名前掲載 / 研究室見学会 / 研究指導(小学生~高校生の自由研究) / 好きなクワガタ紹介 / 寄付金領収書
リターン | 実施予定日 |
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お礼のメッセージ | 2025年04月 |
研究報告レポート詳細版(年4回) | 2025年07月 |
オンラインサイエンスカフェ | 2025年07月 |
論文謝辞にお名前掲載 | 2026年04月 |
研究室見学会 | 2025年07月 |
研究指導(小学生~高校生の自由研究) | 2025年07月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
当研究室では、生物の「雌雄」に関する理科教材として、雌雄中間体標本を作製しています。これの試作品として作成した中間体標本を解説パネル(PDFファイル)とともにお送りします。
(※試作品あるいは展示には適さない個体を提供するので、肢や触角の欠けなどの可能性がございます。)
お礼のメッセージ / 研究報告レポート詳細版(年4回) / オンラインサイエンスカフェ / 論文謝辞にお名前掲載 / 研究室見学会 / 研究指導(小学生~高校生の自由研究) / 好きなクワガタ紹介 / 雌雄中間型クワガタ標本 / 寄付金領収書
リターン | 実施予定日 |
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お礼のメッセージ | 2025年04月 |
研究報告レポート詳細版(年4回) | 2025年07月 |
オンラインサイエンスカフェ | 2025年07月 |
論文謝辞にお名前掲載 | 2026年04月 |
研究室見学会 | 2025年07月 |
研究指導(小学生~高校生の自由研究) | 2025年07月 |
0人のサポーターが支援しています (限定 1 個)
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