子宮体がんは先進国で増加傾向にあり、50〜60歳代を中心とした女性に発生するがんです。現在、その治療はがんを手術により切除することや、抗がん剤治療、放射線治療により行われています。
これまで子宮体がんは、顕微鏡的な組織型(がんの形態)と画像診断による進行度(ステージ)によってその治りやすさ、治りにくさが予測され、治療方法が選択されてきました。しかし近年、子宮体がんの治りやすさ、治りにくさの性質の差には特定の遺伝子が関わっていることがわかってきました。
私は、それぞれの子宮体がんの遺伝子を調べることにより、個々に応じて、治りやすいタイプにはより負担の少ない治療、たとえば、手術で切除する範囲を縮小できたり、手術の後の抗がん剤や放射線治療をしないで済ますことができるのではないかと考えています。腹腔鏡やロボットによる低侵襲手術は、開腹術に比べると、ずっと負担の少ない治療になりましたが、遺伝子の性質でタイプ分けができれば、より負担の少ない子宮体がんに対する治療が実現できると考えています。
子宮体がんの治りやすさに影響を与える遺伝子を調べ、遺伝子診断を用いたテーラーメード治療につなげていきます。
子宮体がんの治りやすさ、治りにくさに関わっている遺伝子はこれまで少なくとも3種類(POLE遺伝子、MMR遺伝子、p53遺伝子)が報告されています。研究の進んでいるヨーロッパ諸国ではすでにこれらの遺伝子を調べることを積極的に行い、遺伝子の変化に応じたテーラーメード治療が始まっています。
これらの遺伝子の異常を測定するには、遺伝子配列を読み取ったり、特殊な方法での顕微鏡検査などにより、子宮体がんの組織を用いた遺伝子の検査を行います。これまで行われている子宮体がんの標準治療を行う中で、リンパ節の摘出の必要性、低侵襲手術が適しているか、手術後の抗がん剤治療や放射線治療の必要性について、遺伝子の性質と照らし合わせることで検証することができます。
特に子宮体がんの中でPOLE遺伝子あるいはMMR遺伝子に変異のあるタイプは非常に予後が良いことが知られています。また一方で、p53遺伝子に変異のあるものは予後が悪い傾向にあります。そこで私の研究では、特に予後の良い傾向にあるPOLE遺伝子あるいはMMR遺伝子に変異のあるタイプに着目し、これらの変異のある子宮体がんにはより負担の少ない治療が選択できないかを追及します。
具体的には、これらの遺伝子変異を持つ予後が比較的良好な子宮体がんにおいては、リンパ節郭清を行わずに済ませたり、積極的に低侵襲手術で治療できたり、手術後の再発予防の抗がん剤治療を行わないなど、治療によるQOLの低下をより軽減することが可能とならいかを、遺伝子変異のタイプと治療効果を比較することで明らかにしようとしています。
子宮体がんのこれらの遺伝子について検査を行うことは、現在の健康保険では行えないため、日本では子宮体がんの遺伝子のタイプについて研究が進んでいない状況にあります。遺伝子についての検査を行うには特殊な専門的検査を必要とするため、このクラウドファンディングにより集められた研究費は、これらの特殊な検査を行う費用及び解析の費用として用います。つまり、皆様のサポートが、現在の日本では行われてない治療前の子宮体がんの遺伝子検査を可能とします。
子宮体がんと診断された多くの方々は受けなければならない治療はどんなものなのか、克服できるのかと考え不安でいっぱいです。この研究により、遺伝子情報という最新の情報を得ることで、これらの不安に応えていくことが可能になる時代を切り拓いていきたいと考えています。皆様の心温かいサポートが身を結ぶことをお約束いたします。ご支援のほどよろしくお願いいたします。
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子宮体がんの治療の進歩は目覚ましいものがあり、欧米ではすでに遺伝子診断を含めた個別化診療が開始されようとしています。本邦では、子宮体がんの遺伝子に関する解析が十分に進んでおらず、遺伝子解析を進める本研究は、日本の今後の適切な子宮体がん治療に一石を投じる研究になると考えます。吉田先生は情熱を持って、子宮体がんに対する治療の改善に取り組んでおり、私も強く賛同しています。皆様のご支援をお願いいたします。
子宮体癌の治療はテクノロジーの進化とともに女性にとって身体への負担を軽減できる治療が可能になりました。一方で、先進諸国では増加傾向にあるがんであり、治療後のQOLも含めて、個別化されたより適切な治療が求められています。この研究はその一助となることは間違いなく、将来的に競争的研究資金を得ての大規模研究につながることを願っています。是非ご支援のほどをお願いいたします。
12年前に私は吉田先生の執刀で、当時はまだ保険適用されてない先進医療であった腹腔鏡による子宮とリンパ節の摘出という子宮体がんの根治術を受けました。開腹手術と異なり術後の痛みも皆無で、半月後には職場復帰でき、傷痕も無く、今も元気に生活しております。私は痛みも傷痕も無い腹腔鏡手術の恩恵を受けましたが、更に患者への負担が少ない子宮体がんの治療を目指されているとのこと。このご研究に大きな期待を寄せております。
Date | Plans |
---|---|
2025年9月まで | 対象症例の検体収集、解析終了 |
2026年7月まで | 遺伝子で解析の結果を学会にて発表 |
2027年9月まで | データ追跡期間終了 |
2027年12月まで | 論文作成開始 |
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