究極の目標は、認知症になる方を減らすことです。なぜなら、世界一の高齢化先進国である日本では、長寿者の2人に1人は認知症になる状況であり、発症した場合に本人および家族に及ぶ影響は甚大だからです。私は、家族が認知症を発症した経験から、また経験が心に及ぼす影響を研究してきた心理学者の立場から、認知症リスクを低減する余暇活動とその作用メカニズムを明らかにしその知見を全ての世代の方に普及したいです。
一方で、世界保健機関(WHO)は、2019年の報告書で、認知症リスクを低減するのに良いとされる要因で強いエビデンスがあるものはまだない、としており、科学的な研究の積み重ねがさらに必要であることを指摘しています。これまで私たちの研究室では、高齢世代の方々が運動や楽器練習などに取り組むアクティブなライフスタイルを取ることで、脳・認知機能が改善するかを調べる研究をおこなってきました(下の写真は楽器介入研究に参加された皆さんです)。こうした改善効果が認知症予防につながるかを明らかにするにはまだ数年単位の研究の継続が必要ですが、その最初の一歩を踏み出しています。
認知症リスクを低減するのに良い活動とはどのようなものか、それはどのようなメカニズムで認知機能に作用するのか、を調べるために、高齢者を対象とした横断的な研究と、介入研究とを行ってきました。
横断研究では、高齢の音楽家を年齢をそろえた非音楽家と比較することで生涯にわたる楽器練習の効果を調べたり、高齢のアスリートを非アスリートと比較することで生涯にわたるスポーツ訓練の効果を調べるなどしてきました。また、介入研究では、高齢の研究参加者に、新たに運動に取り組んでもらったり、新たに楽器練習に取り組んでもらったりする数ヶ月の介入の効果を調べてきました(下図は介入研究の例)。
いずれの研究においても、神経心理学的な検査で認知機能を行動的に調べるとともに、MRIで脳画像を撮影し、脳構造や脳活動(fMRI)の観点からの検討をおこなっています。今回のダンス介入研究では、脳画像に加えて、唾液や尿のサンプルから生化学物質も調べています。
今回、私たちのチームは、「もの忘れ」が心配な高齢者が3カ月のダンスレッスンに取組むことで、認知機能やメンタルヘルスを改善できるかどうかを調べる研究をおこないます。高齢期の趣味で、認知症リスクの低減に最も効果が大きいものの1つがダンスであることが観察的な研究で報告されていることをご存知でしょうか。ただ、そこに因果関係があるのかについては、最近の研究で少しずつ報告され始めていますが、それがどのようなメカニズムによるのかは、まだよくわかっていません。
私たちは、MRI脳画像解析(脳構造、脳活動)や生化学分析(オキシトシンなど)などを併用し、神経生物学的な基盤を含めて、ダンスがどのようなメカニズムで認知機能やメンタルヘルスに効果を持つのかを明らかにしようとしています。こうした神経生物学的な手法を併用することが、私たちのチームの強みです。
なお、この研究は以下のコアメンバーと共同でおこなっています(五十音順、所属は現在のもの)。
岩嵜 唱子(京都大学特定研究員)
高松 礼奈(愛知学院大学講師)
豊島 彩(島根大学講師)
武藤 拓之(大阪公立大学准教授)
山下 雅俊(福井大学特命助教)
高齢期の趣味として、特にダンスが認知症リスクの低減に効果が期待できるらしい、ということは、2023年9月のNHK Eテレで放送されたTVシンポジウム「認知症を予防する未来へ」でご紹介させていただきました。しかし、ダンスのそうした効果がどのようなメカニズムによるのかは、まだよくわかっていません。そのメカニズムがわかれば、ダンスだけでなく、他の趣味でもどのようなものが良さそうか、拡張して考えることができます。私たちは、MRI脳画像解析(脳構造、脳活動)や生化学分析(オキシトシンなど)などを併用し、神経生物学的な基盤を含めて、ダンスがどのようなメカニズムで認知機能やメンタルヘルスに効果を持つのかを明らかにしようとしています。今回のファンディングを通して、私たちは、資金的なご支援をいただくとともに、認知症を予防する未来を目指す取り組みを1人でも多くの方に知っていただきたいと願っています。今回募集する支援金は、MRI撮像、生化学分析、ダンスレッスン委託費用などに当てる予定です。ご支援と情報共有のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
*** リターン不要・匿名でのご支援について ***
匿名希望の方は、academistへのユーザー登録をせずに銀行振込でご支援いただけます。
ただし、リターン不要の方に限ります。
下記の口座に任意の金額をご支援お願いいたします。
※ なおこちらからのご支援は、目標金額を達成しない場合でも積山さんへお振込されます。
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金融機関名(金融機関コード):GMOあおぞらネット銀行(0310)
支店名(支店コード):オアシス支店(506)
口座番号:普通 3597426
口座名義:アカデミスト
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認知症予防に関して、何らかの取り組みに参加すると一定の効果があることが数多くの研究で報告されていますが、「なぜ効果があるのか」、「継続して参加してもらうにはどのような条件が必要か」という課題は解決していません。今回のプロジェクトは、認知、身体、そして継続を可能にする、社会関係、感情、のすべてに強く働きかける「ダンス」を取り上げていることに注目しています。この研究から得られる知見は、「ダンス」に限定されたものではなく、高齢期の健康を維持する様々な余暇活動の設計に影響を与えるものになります。幸せな長寿社会の実現の一助となる本研究をぜひともサポートください。
現役時代の私は、薬学の立場から「不要な薬の使用を減らしたい」と陣頭指揮を取っていました。趣味ではダンスを習っていて、70過ぎても身体が変わることを実感していることから、ダンスをすることで体に起きる変化は、時に薬以上のものがあるのではないかと思っています。お気に入りの音楽に合わせて身体を動かすと気分が高揚するものですが、このような効果が科学的にどのように捉えられるのか、ぜひ結果を知りたいです。
積山先生とは総合生存学館のウェルビーイング研究センターでご一緒し、積山先生は心理学と認知神経科学の堅固な手法で脳と心の関係を研究され、私は仏教哲学の立場から瞑想やマインドフルネスが精神に及ぼす影響を研究しています。最近私は、オックスフォード大学で研修を積み、心理学の視点がマインドフルネス普及に果たす役割を再認識したところです。心の健康をもたらすライフスタイルを知るという点から、今回のダンス介入研究にも期待しています。
アナウンサーとしてこれまで、健康や福祉の番組を通じ、長寿社会日本における認知症の問題にも向き合ってきました。今71才で、自らどうすれば心や身体の健康が持続できるのか考え続ける日々です。積山さんとは、2023年夏のフォーラム「認知症を予防する未来へ」でご一緒し、高齢者の余暇活動のなかで認知症予防に最も効果が高そうなものの1つがダンスであることを教えていただきました。今回の研究は大変大事な研究だと思いますので、皆様もご一緒に応援しましょう。
時期 | 計画 |
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2024年4月 | 実験を進めてデータ取得 |
2024年8月 | 論文執筆開始 |
2024年9月 | 国内学会で発表 |
2024年10月 | 国際学会で発表 |
メールでお礼のメッセージをお送りします。
このリターン実施は2024年3月を予定しています。
お礼のメッセージ
リターン | 実施予定日 |
---|---|
お礼のメッセージ | 2024年03月 |
44人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
academist Journalに寄稿する研究報告レポートにお名前を掲載します。
このリターン実施は2024年10月を予定しています。
研究報告レポートにお名前掲載 / お礼のメッセージ
リターン | 実施予定日 |
---|---|
研究報告レポートにお名前掲載 | 2024年10月 |
お礼のメッセージ | 2024年03月 |
28人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
高齢期の認知機能を維持・向上するためのライフスタイルについての講演(40分程度)をさせていただき、その後、参加者の皆様からの質問にお答えします。
このリターンの実施は、2024年5月ごろを予定しています。
当日参加できなかった方には、後日、録画を閲覧できるようにします。
オンラインサイエンスカフェ / お礼のメッセージ / 研究報告レポートにお名前掲載
リターン | 実施予定日 |
---|---|
オンラインサイエンスカフェ | 2024年07月 |
お礼のメッセージ | 2024年03月 |
研究報告レポートにお名前掲載 | 2024年10月 |
17人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本プロジェクトに関するオンラインダンスレッスンにご招待します。
(ただし、研究で使用したレッスンと同一内容ではありません)
このリターン実施は2024年6月ごろを予定しています。
当日参加できなかった方には、後日、録画を閲覧できるようにします。
オンラインダンスレッスン / お礼のメッセージ / 研究報告レポートにお名前掲載 / オンラインサイエンスカフェ
リターン | 実施予定日 |
---|---|
オンラインダンスレッスン | 2024年09月 |
お礼のメッセージ | 2024年03月 |
研究報告レポートにお名前掲載 | 2024年10月 |
オンラインサイエンスカフェ | 2024年07月 |
7人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
この研究が論文化された際には、論文謝辞にお名前を掲載します。
このリターン実施は2025年3月ごろを予定しています。
論文謝辞にお名前掲載 / お礼のメッセージ / 研究報告レポートにお名前掲載 / オンラインサイエンスカフェ / オンラインダンスレッスン
リターン | 実施予定日 |
---|---|
論文謝辞にお名前掲載 | 2025年03月 |
お礼のメッセージ | 2024年03月 |
研究報告レポートにお名前掲載 | 2024年10月 |
オンラインサイエンスカフェ | 2024年07月 |
オンラインダンスレッスン | 2024年09月 |
6人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究について個別にディスカッションする機会を設けます。具体的な内容や日程は個別にご相談いたします。
このリターン実施は2024年7月以降を予定しています。
個別ディスカッション / お礼のメッセージ / 研究報告レポートにお名前掲載 / オンラインサイエンスカフェ / オンラインダンスレッスン / 論文謝辞にお名前掲載
リターン | 実施予定日 |
---|---|
個別ディスカッション | 2024年07月 |
お礼のメッセージ | 2024年03月 |
研究報告レポートにお名前掲載 | 2024年10月 |
オンラインサイエンスカフェ | 2024年07月 |
オンラインダンスレッスン | 2024年09月 |
論文謝辞にお名前掲載 | 2025年03月 |
3人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究に関する出張講義を行います。具体的な内容や日程は個別にご相談いたします。
※宿泊費・交通費は別途いただきます。
このリターン実施は2024年11月以降を予定しています。
出張講義 / お礼のメッセージ / 研究報告レポートにお名前掲載 / オンラインサイエンスカフェ / オンラインダンスレッスン / 論文謝辞にお名前掲載 / 個別ディスカッション
リターン | 実施予定日 |
---|---|
出張講義 | 2024年11月 |
お礼のメッセージ | 2024年03月 |
研究報告レポートにお名前掲載 | 2024年10月 |
オンラインサイエンスカフェ | 2024年07月 |
オンラインダンスレッスン | 2024年09月 |
論文謝辞にお名前掲載 | 2025年03月 |
個別ディスカッション | 2024年07月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本プロジェクトに関するダンスレッスン/ダンス講師養成講座を出張でおこないます。
具体的な内容や日程は個別にご相談いたします。
※宿泊費・交通費は別途いただきます。
このリターンの実施は、2024年9月以降を予定しています。
出張ダンスレッスン/ダンス講師養成講座 / お礼のメッセージ / 研究報告レポートにお名前掲載 / オンラインサイエンスカフェ / オンラインダンスレッスン / 論文謝辞にお名前掲載 / 個別ディスカッション / 出張講義
リターン | 実施予定日 |
---|---|
出張ダンスレッスン/ダンス講師養成講座 | 2024年09月 |
お礼のメッセージ | 2024年03月 |
研究報告レポートにお名前掲載 | 2024年10月 |
オンラインサイエンスカフェ | 2024年07月 |
オンラインダンスレッスン | 2024年09月 |
論文謝辞にお名前掲載 | 2025年03月 |
個別ディスカッション | 2024年07月 |
出張講義 | 2024年11月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。
お礼のメッセージ
44
人
が支援しています。
(数量制限なし)
研究報告レポートにお名前掲載 他
28
人
が支援しています。
(数量制限なし)
オンラインサイエンスカフェ 他
17
人
が支援しています。
(数量制限なし)
オンラインダンスレッスン 他
7
人
が支援しています。
(数量制限なし)
論文謝辞にお名前掲載 他
6
人
が支援しています。
(数量制限なし)
個別ディスカッション 他
3
人
が支援しています。
(数量制限なし)
出張講義 他
0
人
が支援しています。
(数量制限なし)
出張ダンスレッスン/ダンス講師養成講座 他
0
人
が支援しています。
(数量制限なし)