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古代土器の産地同定法確立に向けた四国一周サンプリングの旅に出る!

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IMAIZUMI Kazuya
明治大学、Special researcher of the Japan Society for the Promotion of Science.
Pledged: 81,000 JPY
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IMAIZUMI Kazuya

私はマヤ文明の考古学を専門としていまして、発掘調査だけではなく国宝級の貴重な土器を扱った分析を行っています。貴重な物なので部分的に破壊して分析することは当然できません。そのため「非破壊の分析手法」を組み合わせた産地同定法の確立を行いたいのです。
古い土器(軟質土器)の産地同定法が未確立なのは日本の縄文時代研究や弥生時代研究においても同様の状態にあります。
マヤ地域のある中米は今でもピストルを持った山賊が出ますので、まずは安全な日本で分析手法の確立のための基礎研究をさせてください。

あなたが研究を通して成し遂げたいことはなんですか?

私の研究の最終的な目標は「軟質土器に対する産地同定法の確立」です。これにより土器の分析から古代の人々の交流や交易といった地域間の関係を明らかにすることができます。

考古学では、たとえばある地域でα式土器とβ式土器が出てα式の出土量が大多数を占める場合、α式土器が在地製作の土器と考えることが基本です。こうした器形や文様といった見た目(型式学的研究法)で似ている/似ていないを判定する方法は土器同士の類似性については語ることができますが、正確には「土地」とは結び付いていないのです。蛍光X線分析も同様に土器同士における化学組成の類似性だけで、やはり「土地」とは結び付いていません。

海外などでは分析対象となる土器の胎土を削り取って理化学分析にかける手法が多用されます。より正確ではありますが、遺物を破壊してしまうため、貴重な資料は扱えない、扱えるデータ数が極めて少ないなどの問題点があります。

そこで私は先に述べた「型式学的研究法(器形・文様)」と「蛍光X線分析法(粘土)」、そして「岩石学的研究法(砂)」という3種の非破壊分析手法を組み合わせ、希少資料を含めた多量のデータから過去の地域間交流について明らかにしたいのです。

どのようなアプローチで実現しようとしていますか?

この3種の手法を組み合わせる上で、型式学的研究法については考古学者が既に様々な努力をしていますので今回は取り扱いません。また蛍光X線分析は機材があまりに高級(800万円くらい)なので現状として私には買えません。そこで今回は、岩石学的手法(顕微鏡観察)による分析を推し進めようと考えています。

この手法も土器資料だけを対象とすると、土器の胎土中の砂粒(鉱物組成)を比較するだけになってしまいます。そのためまずは現在の環境下で河川や湖沼に堆積する川砂・粘土がどのような鉱物組成を有しており、それが空間的にどのように分布しているのかを明らかにする必要があります。つまり「土器と土地を結び付ける」ための基礎研究を行いたいと考えています。

これまでは礼文島などの離島を含む北海道地域、鹿児島県奄美大島、沖縄県地域と海によって隔てられた比較的小さな範囲を対象として成果を挙げてきました。今回は四国を対象とし、さらに将来的には九州・本州と日本全国の基礎データを揃えること、そして各地の発掘調査によって得られる土壌や粘土、火山灰、旧河川岸堆積砂などのサンプルデータを揃えることを目標にしています。

今回のプロジェクトで行う研究テーマはなんですか?

1. 四国の河川・湖沼に堆積する土器製作に使用できそうな砂粒・粘土のサンプルを集める。
2. サンプルを分析して四国における鉱物組成分布を明らかにする。

この2点が今回実施する基礎研究の内容となります。

これまではレンタカーでやってきましたが、お金かかってしまいます。レンタカー関係費用もそうですが、わき見運転できないので、地形を見たり小河川や露頭を発見する上で研究協力者が必要になるのです。今回はクラウドファンディングを利用しての調査計画ですので、予算も少額に抑えたいという気持ちが強く、結果として「孤独に自転車で一周」することにしました。


また四国を周るなかで、各県庁所在地にてサイエンスカフェを実施して考古学に関するアウトリーチ活動を積極的に行いたいと考えています。さらにその過程で4県の考古学関係者・埋蔵文化財関係者と知り合う機会を持てると思いますので、各地で発掘調査を実施する際にこれまでは取得されてこなかった各層の土壌や旧河川や湖沼に関係する砂粒、粘土サンプルの取得と提供のお願いをして周ろうと考えています。現在の考古学調査では火山灰サンプルの取得と分析は大いに普及していますが、それ以外はまだまだ全然なのです。

Why we need your support

サポートしていただいた研究費の用途は、四国までの交通費、四国一周のための折り畳み自転車購入費、四国一周中の宿泊費、四国4県でのサイエンスカフェ実施費が主体になります。調べたところ悲しいことに自転車が思いの外に高いのですが、それでもレンタカーよりは良いです。高級品ですから当該プロジェクトが終了した後も愛車として九州や本州で実施するサンプリング調査に利用させていただこうと考えております。

さて、普段獲得している研究費は私の専門の関係上流用できず、マヤ文明研究、ティカル遺跡での発掘調査に使用している状況です。これまでの人類史の発展過程を考えると軟質土器は当然世界中にありますので、軟質土器の産地同定法を確立すること自体に非常に大きな意義があります(他地域なので彼らも地道にサンプル集めする必要がありますが)。産地同定法が確立した暁には、3種の分析方法による多角的な視点で、地域間の土器を通した物々交換関係、古代の人々の交流に関してこれまでよりも一層鮮明に描くことができるようになるでしょう。皆さんも、考古学を通して古代の人々と交流してみませんか?

Recommender's comment

佐々木 憲一
明治大学 教授

彼はマヤ考古学の専門家です。同時に、日本の土器の胎土分析も実践していて、どこで作られた土器がどこへ運ばれたかという観点から、地域間交流の考古学全般に貢献しようとしています。ただ、今回彼が研究費を必要とする胎土分析のためのサンプル収集という基礎研究の基礎の部分に対しては、科学研究費がなかなか採択されない現実があります。ぜひ、資金面で今泉さんの研究を応援してくださいますよう、お願い申し上げます。

木山 克彦
東海大学 准教授

普遍的な生活物品である土器については、考古学では長い研究の蓄積がある。形態や意匠、地域や時代での違いが把握され、地域間の交流も描かれてきた。しかし、作られた場所については、およその推定でなっていることが多い。理化学的なアプローチも行われているものの、費用の問題や破壊を伴う分析であるため、簡単になしえる手法とはなっていない。この点で、本プロジェクトは、今後の新たな研究の萌芽ともいえるもので、その成果を大いに期待します。

Project timeline

Date Plans
2023年7月 四国各県庁所在地でのサイエンスカフェ実施に関する計画・相談
2023年9月頃 四国一周のサンプリング調査とサイエンスカフェ実施
2023年10月 試料化作業、分析作業の実施
2023年12月 論文執筆及びアカデミストジャーナルへの投稿

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研究のために処理した保存用サンプルをプレゼントします!四国の河川・湖沼でサンプリングした中でなるべくキラキラしたもの(無色・有色鉱物の含有量が目立つもの)を選択したいと思います。どのサンプルが当たるかはランダムです!

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