おかげさまで本日、達成率100%を超えることができました。私たちがクラウドファンディングに取り組んで以来、支援してくださる方々が一人二人と増えていきました。その歩みを皆さまと重ねた結果、今日、このご報告に至りました。
当初の目標額80万円を上回るご支援につきましては、観測が継続する今後3年間にわたって、ハワイ島のジェームズクラークマクスウェル望遠鏡(JCMT)へ研究者を派遣する旅費として優先的に使わせていただきます。
さらに研究の進捗状況によっては、各国のチームと作成しているデータ解析プログラムの噛み合わせ試験を行い、最終的にデータ処理パイプラインへの実装を完結するための研究打ち合わせ旅費として使用させていただくことも有ろうかと思います。
私たちは、取得されるデータを徹底的に解析します。天体が発する微かな信号を通じて、宇宙が私たちに語りかけているメッセージを読み取っていく所存でございます。このようにして得られた研究成果は、順次、査読付き論文として国際誌に発表いたします。
皆さまの暖かい励ましの言葉に、こみあげてくるこの気持ちを表す適切な言葉が見つからないもどかしさを感じます。どうもありがとうございました。
星形成領域サブミリ波偏波観測・日本チーム19名を代表して 2016年5月13日22時30分
宇宙を漂う粒子たちは、たがいに重力を及ぼし合うためすこしずつ集まり、ほぼ球体のガス雲になります。そのガス雲は次第に回転し、回転軸の直交方向につぶれて、ホットケーキのような形の「原始惑星系円盤」を形成します。太陽系を含むすべての惑星系は、原始惑星系円盤から誕生したと考えられています。
しかし、ガス雲から太陽系のような恒星と惑星たちが必ずできるかというと、そうではありません。ガス雲からは、太陽のような軽い星からオリオン座方向で生まれている重い星まで、さまざまな星が生まれます。それでは、ガス雲の運命を決めているものは何なのでしょうか。
理論的な研究からは、その答えは「磁場」であると言われてきました。しかし、磁場が星の誕生過程のどのタイミングで、どのようにしてガスの運命を制御しているのかは、未だ論争が続いています。ガス雲中心部を観測することができれば、そのヒントが得られるかもしれないのですが、ガスの密度が濃いために可視光線では中心部を見ることができませんでした。
近年、観測技術の発展により、波長が長く透過力の高い「サブミリ波(遠赤外線)」の観測が可能になりました。ガス雲中心部からのサブミリ波を観測できれば、星形成における磁場の役割に迫ることができます。しかし、サブミリ波は大気に吸収されるため、できるだけ高いところで観測を行わなくてはなりません。そこで、6カ国の国際チームである私たちBISTROチームは、ハワイ島のマウナケア山頂付近(標高4100m!)にあるジェームス・クラーク・マクスウェル望遠鏡に磁場検出に特化した装置を持ち込み観測を行います。天体からのサブミリ波を集めるために、高精度なパラボラアンテナを使い、その焦点部分に高感度な検出器を設置します。私たちは、検出器の前に「偏波板」を取り付け、偏波板が自動で回転するシステムを構築しました。
今回の研究では、偏光板を回転させることで、サブミリ波の持つ振動面の方向を測定します。星を生むガスの大部分は水素分子なのですが、一部ラグビーボールのような形をした極微量の塵(=大きな分子)も含まれます。塵の集団に磁場がかかると、塵たちの向きがそろうと考えられているため、偏向板を回転させることで、特定の振動方向のサブミリ波が強く観測できるのではないかと予想しています。
現在私たちは、観測手法の改善とデータ解析のためのソフトウェアの準備を進めています。たとえば、望遠鏡の入っているドーム自身や望遠鏡内部の光学系がつくり出してしまう偏波があるのですが、これらを正しく評価しなければ天体からの偏波と誤って評価する恐れがあります。正しくデータを取得するためには、望遠鏡が固有に持つ偏波を考慮に入れたソフトウェアを開発した上で観測を行わなければならず、その準備のためには現地に行かなければなりません。
そこで今回、クラウドファンディングでハワイ島への渡航費用を募りたいと思いチャレンジを決めました。私たちBISTRO-Jチームが天文台を専有できるのは、年に10晩程度です。割り当てられた晩は、日没から日の出までの時間を文字通り分刻みで使い倒す観測計画を立てます。10秒間たりとも望遠鏡を遊ばせるような無駄はしません。観測が終わると、休む間もなくヒロ(Hilo)という街に降りて、2、3日で簡易的なデータ解析を行います。その結果をプロジェクトに関わる6つの国と地域のチームに報告した後、観測者は帰国の途につくことになります。
実は、星の世界はもっと多様性に満ちています。磁場という新たな切り口から、さまざまな星の形成起源に迫ります。上で述べましたように円盤ができなければ惑星系は誕生しません。一方、分子雲コアが収縮しながら分裂すると星がふたつあるいは4つからなる系ができます。なぜこのような違いが生じるのかは、星を生む母体のガスと磁場の空間的な配置と磁場強度に強く依存すると予測されていますが、私たちの研究ではこの予測を検証します。太陽のような単独の軽い星ばかりだけでなく、重い星もあれば、星の集団もあります。この多様性の起源を知るためには、磁場の役割をしっかりと解き明かすことが必要です。
私たちの太陽のような星は寿命が長く、100億年くらいは存在します。これに対して重い星は、誕生してから銀河系を数十分の一周もしなううちに死を迎えます。私たちの天の川銀河やよその銀河は、このような星々の生死の舞台なのです。したがって、そこで誕生し、死んで行く星々の情報は銀河の進化を考えるうえで基本的な情報です。なぜ天の川銀河における星形成とマゼラン雲やアンドロメダ銀河における星形成が異なるかを議論できるようになるでしょう。ひいては宇宙における惑星形成史をたどれると私は信じています。
時期 | 計画 |
---|---|
2016年4月 | クラウドファンディングに挑戦! |
2016年5月 | 試験観測に参加する研究者を日本チームから初めて派遣 |
2016年9月 | 学会発表@日本天文学会 |
2016年初夏 | 速報論文執筆に耐えうるデータが取れる可能性あり |
ハワイ島マウナケア山頂付近で撮影した写真をポストカードにしてお送りします!植物がなく酸素濃度の薄い、緊張感あふれる研究現場の雰囲気を味わってみませんか?
オリジナルポストカード(3枚) / お礼のメッセージ(電子版)
47人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
2016年9月の日本天文学会で発表予定の講演資料をメールで添付いたします。ポストカードと共に、研究成果の一部をお楽しみください!
学会講演資料(電子版) / オリジナルポストカード(3枚) / お礼のメッセージ
106人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
BISTRO-Jチームのメンバーが執筆した新書「第二の地球を探せ!「太陽系外惑星天文学」入門 (サイン入り)」をプレゼントします。限定15個(※)のリターンですので、お早めにご登録ください!※ 好評につき40個に増加しました!(2016/05/14)
BISTRO-Jメンバーの著書(サイン付き) / 学会講演資料(電子版) / オリジナルポストカード(3枚) / お礼のメッセージ
44人のサポーターが支援しています (限定 44 個)
BISTROメンバーが主催するサイエンスカフェにご参加いただけます。2016年冬頃に東京と徳島の二箇所で開催する予定です。BISTRO-Jプロジェクトの現状について、詳しくお話します!ご都合により当日参加できない方々には、当日の講演資料をメールでお送りします。(5/27追記:進捗報告欄に詳細情報を掲載しました!)
サイエンスカフェ参加権 / 学会講演資料(電子版) / オリジナルポストカード(3枚) / お礼のメッセージ
34人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
BISTRO-Jプロジェクトに参加している理論天文学者による国立天文台(三鷹)見学ツアーを2016年11月5日(土)に実施します。少人数での開催になるので、ぜひ研究者に素朴な疑問をどんどんぶつけてください!
BISTRO-Jメンバーによる国立天文台見学ツアー / 学会講演資料(電子版) / オリジナルポストカード(3枚) / お礼のメッセージ
11人のサポーターが支援しています (限定 11 個)
BISTRO-Jチームのサイン入り色紙、ハワイの天文台のオリジナルグッズに加えて、今回ご用意するリターン全てを限定5名様にお送りします。ぜひ一緒に宇宙史を開拓していきましょう!
BISTRO-Jチームからのサイン付き色紙 / ハワイの天文台のオリジナルグッズ / BISTRO-Jメンバーによる国立天文台ツアー / サイエンスカフェ参加権 / BISTRO-Jメンバーの執筆書(サイン付き) / 学会講演資料(電子版) / オリジナルポストカード(3枚)
15人のサポーターが支援しています (限定 15 個)
大学で行っていることは研究と教育だけではありません。地域に対する貢献や産業界との連携もお仕事です。そんな大学の生の姿を古屋准教授がご案内します!10月6日以降の木曜日午後各回2名限定で、2回行います。
授業のある日に大学の舞台裏に迫る! / 古屋准教授が邦訳した新刊教科書「星形成論」進呈(サイン付き) / ハワイの天文台のオリジナルグッズ / サイエンスカフェ参加権 / 学会講演資料(電子版) / オリジナルポストカード(3枚) / お礼のメッセージ
1人のサポーターが支援しています (限定 4 個)
徳島大の古屋准教授、大学院時代を八ヶ岳高原の野辺山宇宙電波観測所で過ごし、カルテク電波天文台で武者修行。そんな古屋先生が野辺山の特別公開日に電波天文学のメッカ、「世界のNobeyama」をとことんご案内します!3名限定で、1回行います。 野辺山宇宙電波観測所の特別公開日(2016年8月27日(土))に実施いたします。
野辺山電波天文台周遊ツアー / 古屋准教授が邦訳した新刊教科書「星形成論」進呈(サイン付き) / ハワイの天文台のオリジナルグッズ / サイエンスカフェ参加権 / 学会講演資料(電子版) / オリジナルポストカード(3枚) / お礼のメッセージ
2人のサポーターが支援しています (限定 3 個)
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オリジナルポストカード(3枚)
47
人
が支援しています。
(数量制限なし)
学会講演資料(電子版) 他
106
人
が支援しています。
(数量制限なし)
BISTRO-Jメンバーの著書(サイン付き) 他
44
人
が支援しています。
(限定 44 個)
サイエンスカフェ参加権 他
34
人
が支援しています。
(数量制限なし)
BISTRO-Jメンバーによる国立天文台見学ツアー 他
11
人
が支援しています。
(限定 11 個)
BISTRO-Jチームからのサイン付き色紙 他
15
人
が支援しています。
(限定 15 個)
授業のある日に大学の舞台裏に迫る! 他
1
人
が支援しています。
(限定 4 個)
野辺山電波天文台周遊ツアー 他
2
人
が支援しています。
(限定 3 個)