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NEXT GOAL
SUCCESS
佐鹿万里子
北海道大学、助教
Pledged: 1,119,600 JPY
Target Amount: 500,000 JPY
NEXT GOAL: 1,000,000 JPY
Funded
223 %
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82
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Reached the funding target!

皆様の温かいご支援のおかげで、目標金額の50万円に到達いたしました。ご支援くださった皆様、情報を拡散してくださった皆様、本当にありがとうございます。これまでは少人数でアライグマ対策や問題解決に向けた活動を行っており、不安になることも多かったのですが、今は多くの方々の応援をいただき、とても心強いです。皆様のご期待に応えられるよう、これからもアライグマ問題解決に向けた調査・研究・活動に邁進して参ります。

挑戦終了までは約1か月間の時間があります。そこでセカンドゴールで100万円を目指すことにしました。セカンドゴールを目指すことで、研究地域を増やすことができ、より多くのデータを用いることによって、より正確な繁殖メカニズムの分析を行うことができます。
また残念ながら、アライグマの被害に遭われている農家・酪農家の方々は年々、増加しております。セカンドゴールを達成できれば、アライグマ対策を進めることができるため、被害に遭われている農家・酪農家の方々を助けることができます。セカンドゴール達成に向け、ラストスパート頑張りますので、今後ともご支援・ご協力のほど、どうぞよろしくお願い致します。

Comment from academist staff
駆除されるアライグマを減らしながら、総合的な解決策へ

Maiko Abe

外来生物は、在来生態系への影響や農業被害、感染症の懸念などの問題をもたらします。駆除を中心とするさまざまな対策が行われていますが、残念ながら解決に至っていないケースも数多く存在します。アライグマ問題もそのひとつです。2005年に施行された外来生物法により、現在では販売や飼育が禁止されているものの、野生化したアライグマは増加の一途をたどっています。そこで佐鹿さんはアライグマの繁殖力の強さに注目し、繁殖抑制に向けた研究を行っています。駆除により犠牲となるアライグマを減らしながら問題の解決に挑む研究に、応援よろしくお願いします!

外来種・アライグマの問題は私たち人間が引き起こした

日本では現在、北米原産のアライグマが全国各地で野生化してしまい、ニホンザリガニなど希少在来種の捕食や生態的地位が等しいタヌキやキツネとの競合といった在来種への影響、農業被害、人や家畜への感染症伝播などが懸念されています。

そのため、各地で農業被害防止のための捕獲を中心とした対策が行われているものの、思うような効果が得られず、アライグマの生息数は増加の一途をたどっている状況です。

アライグマは、アニメの影響によって1980年代にペットとして人気を博しましたが、人になつくのは生後2か月ぐらいまでです。その後は成長するにつれて気性が荒くなってしまうため、手に負えなくなって捨てられてしまったり、アライグマは手足が器用で力も強いことから、自らケージを壊して逃げてしまう例が後を絶ちませんでした。つまりこの「アライグマ問題」を起こした責任は、私たち人間にあり、駆除されるアライグマに罪はないのです。しかし現在、残念ながらアライグマがさまざまな問題を引き起こしているのも事実であるため、その問題は私たち人間が解決しなければなりません。

※2005年に施行された外来生物法により、現在では販売や飼育は禁止されています。

在来種のタヌキやキツネの生息数が大きく減少してしまうかもしれない

私は2004年から継続して18年間、北海道立自然公園野幌森林公園を中心に、北海道内でアライグマ対策を行うとともに、在来種への影響や感染症の疫学調査などの研究を行ってきました。野幌森林公園は周囲を住宅地と農地に囲まれた「半閉鎖林」となっているため、他の地域よりもアライグマや在来種の個体数変動を確認しやすく、アライグマの影響をより正確に把握することができます。

これまで野幌森林公園において効果的なアライグマ対策を行い、アライグマ個体数を低密度に維持することに成功しました。また、このようにアライグマを低密度に抑えることができれば、タヌキやキツネなど、在来種への影響を最小限に抑えることが可能であることを明らかにしてきました。

しかし、アライグマを低密度に抑えている野幌森林公園でさえ、少しずつアライグマによる在来種への影響が出ていることもわかってきました。野幌森林公園は完全に閉鎖されているわけではないため、アライグマ個体数が増加してしまった周辺地域から、低密度の野幌森林公園にどんどん新たなアライグマが侵入してきてしまい、タヌキやキツネの生息地や餌資源を脅かしているのです。そのため、これまでのところタヌキやキツネの生息数に大きな減少はみられませんが、このままアライグマが増加し続けると、在来種の生息数を大きく減少させてしまう可能性が懸念されます。

繁殖メカニズムを研究し、増加の抑制へ

アライグマ個体数が全国各地でこれほどまでに増加してしまった大きな原因のひとつに、アライグマの「繁殖力の強さ」があります。

アライグマは季節繁殖動物で、基本的には年1回、春に平均4頭の子を出産しますが、春の繁殖に失敗した場合、夏以降に再び発情が来て繁殖が可能です。さらに、高齢個体でも妊娠率が低下しないことが北米で報告されています。北海道で行った私の研究においても、同様のことが確認できています。一方、本来であれば季節繁殖動物であるアライグマが、なぜ春季の繁殖に失敗した場合、同一年内に再度繁殖可能であり、また高齢になってもメスの妊娠率が低下しないのか、そのメカニズムは明らかになっていません。

そこで私はアライグマの繁殖力の強さに着目し、アライグマの性ホルモンを調べることで、アライグマの繁殖特性を明らかにすることを目指しています。さらにアライグマの繁殖特性を明らかにすることができれば、繁殖に関わる性ホルモン(エストロジェン、プロジェステロン、テストステロンなど)の産生を抑制するための薬の開発につなげることができます。繁殖抑制ができれば、駆除により犠牲となるアライグマを減らしながら、アライグマ問題を解決できると考えています。

同時にタヌキやキツネなどの在来種への影響や感染症の研究も継続して進めていくことで、総合的な解決策へとつなげていく予定です。

Why we need your support

これまでのところ、アライグマによる在来生態系への目に見える大きな影響はまだ確認されていません。そのため、他の絶滅危惧種の保全に関わる研究に比べるとその重要性が認識されておらず、問題は軽視され、対策は後手後手に回っています。しかし、生態系への影響は目に見えて明らかとなってからでは手遅れです。アライグマの影響で絶滅してしまう在来種がでる前に防がなくてはいけません。

また先の見えない現場でのアライグマ対策は体力的にも精神的にも非常に苦しく、現場から手を引く研究者が多いのも事実です。私自身、何度も心が折れそうになりアライグマ問題から手を引こうとしました。しかし、このまま諦めるわけにはいきません。アライグマ問題を放置してしまえば、多くの貴重な在来種が日本から姿を消してしまう可能性が極めて高いのです。そのため、この状況を打破するためには、アライグマの繁殖メカニズムを解明し、捕獲対策と並行して、アライグマの繁殖を抑制する対策を同時に行うことが必要であると考えています。

今回の支援金は、調査・実験のための消耗品や調査地までの交通費、私と一緒にアライグマ対策を行っていただく方々の人件費などに使用したいと考えています。アライグマ問題は、多くの問題が複雑に絡み合っているため、解決が非常に難しいのが現状です。時間のかかる挑戦かもしれませんが、ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

Profile

佐鹿万里子

私は小さい頃から動物が好きで、小学生のころから「将来は獣医師になりたい」と思っていました。外来種問題に関心を持ったのは、大学進学のために北海道に来てからでした。通っていた大学周辺にもアライグマがいることを知り、そのアライグマがタヌキなどに影響を与えている可能性があることを知ったとき、「自分に何かできることはないのか」と野生動物の研究を行っている研究室に入りました。そして2004年には、アライグマの研究を行っていた先輩方とともに、学生を中心とした「アライグマ研究グループ」を立ち上げ、北海道各地でアライグマ対策やアライグマ問題に関する普及啓発活動などを行ってきました。「犠牲になるアライグマを1頭でも減らしたい」「1日でも早く、アライグマ問題を解決したい」、その思いで、これまで調査・研究・活動を行ってきました。どうぞよろしくお願いします。

Project timeline

Date Plans
2022年1月 これまでに収集したデータの分析
2022年3月 フィールドワーク開始
2022年10月 性ホルモン分析の実験開始
2024年10月 データ解析
2025年9月 学会発表

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