宇宙は、膨張しています。ということは、時間を逆回しすると(過去に帰っていくと)宇宙は小さくなります。大きさ0の始まりがあったはずです。これを広い意味で「ビッグバン」と呼んでいます。全宇宙のエネルギーが一点(言い過ぎなので、小さな小さな存在)から始まったことになります。とすると、そこは大変なエネルギーが狭い空間にあった、つまり超高温度であったと考えられます。この超高温状態あるいは高エネルギー状態を、私たちは加速器の粒子衝突により再現しています。これを「宇宙を創る実験」と称しています。ヒッグス粒子の出現は、宇宙が超高温どから少し冷えた時起こったと考えられます。計算上は宇宙の始まりから10の−10乗秒に相当します。温度は、計算上10の+15乗度ぐらいです。ちなみに今の宇宙は3度です。私の描いた宇宙の歴史を示す絵をつけます。
LEGOで作ったATLAS測定器です。信大では、理学部玄関に飾っています。写真は3ヶ月(2時間/日?)x2名の労作です。設計図はなく、見よう見まねのyoutubeとATLAS本体があるだけでした。大きさは実物の1/40です。
ヒッグス候補事象について、
事象を見ると私は、いつも私たちの製作したTGC(事象には緑の箱)の存在が気になります。衝突点から外に向かって飛んでいくミュ粒子を捕まえるのがTGCの役目ですが、内側の測定器との対応関係は事象例で初めてチェックされます。対応関係が取れていないと、私たちには問題となるのです。
ATLASのヒッグス粒子が2つのミュー粒子に崩壊した候補事象を画像としてつけます。左下が陽子と陽子の衝突点で、そこから2つのμ粒子(上方向と右方向の直線)と2つの粒子の束(ジェット緑のコーン)が右と左にあります。その他の黄色の粒子はバックグラウンドです。ミュー粒子同士の不変質量は124GeVです。
ATLAS digest 19Nov2020
1 Trigger 取りまとめ役を募集します。
2 CERN研究所の建物内でマスクの着用が必要です。
3 今週のATLAS
3-1 NSW(New Small Wheel)測定器のチームとリーダー組織を変えます。
3-2 陽子衝突はしないビーム条件でのバックグラウンドをRUN2のデータから測定しました。
3-3 準備中の論文2件の発表
3-4 3論文の投稿がありました
4 YOUTUBEへライブ動画を配信します、お題は
"A journey into the ATLAS experiment. How elementary particles are detected." 11月27日です。 https://youtu.be/52OYi4q6VdA でご覧ください。
ATLAS -TGC(ミュー粒子用トリガー測定器)の前で、「できました」と万歳する竹下の写真です。2007年の事。後ろの畳大の一枚一枚(TGC約1000枚)を日本で作り、ジュネーブへ運び、全体が完成しました。直径22mの超薄いぺらぺらのシステムです。積層された複数のTGCを粒子が通過することを測定して、運動量を測定し、ミュー粒子の信号があったことをATLASにリアルタイムで知らせるトリガーを発します。
ATLAS Digest – 12 November 2020
多数のワーキンググループ(副)代表の候補募集
例:コンピューティングの共同調整役
ダイバシティーのつなぎ役 などなど
ATLAS week報告
Long Shutdownの進行状況
先週のCERN研究所では平均3800人の労働者がいました。そのうち500人がユーザー(うち200−300がATLAS)でした。これは1 ヶ月前の5600人の半分です。5人以上の会議は不要不急でない限り推奨されません。
HIGGS2020会議の報告
論文の披露
2つの論文を雑誌社に提出しました。
イベント: Physics and performance weekは 16-20日11月です。
LHC 加速器 (Large Hadron Collider)
世界最大で最高エネルギーの陽子陽子衝突型加速器です。地下100mに掘られた円周27kmのトンネル内に、超電導電磁石(約8テスラ)を並べて陽子を反対方向に回します。衝突点で両者をぶつけて超高エネルギー状態を作り出します。この瞬間は初期宇宙に近い状態となっています。ちなみにこのトンネルは、LHCの前の加速器LEP/LEPIIのために掘られたものです。私はLEP実験をやっていた時期があります。
LHCトンネル内の写真をつけます。右の青い筒が超電導電磁石を収納する真空パイプ(めちゃ太い!)です。ずっと電磁石が続いて先の方で少しトンネルが左に曲がっているのがわかります。トンネルの直径は3.5mです。作業員は自転車か電気三輪車で移動します。
CERN研究所の航空写真をつけます。
CERN研究所はスイスジュネーブ州郊外のフランスとの国境に立地しています。正門はスイス側にありますが、国境から100mしか離れていません。手前の茶色の球体がグローブと呼ばれる、訪問者のための展示施設です。その右の建物群がアトラス関係です。ここの地下100mにアトラス測定器はあります。右斜めに走る道路がメラン通りでその先がフランスのサンジェニ地区です。道路の左がCERN研究所の建物群でびっしり建物で埋まっています。5000人程度が働いている時があります。
用語解説(竹下の独断による解説です)
CERN研究所について
Center (origanization) of European for Research Nuclear をフランス語で書いたものの略、欧州原子核研究機構が日本名。1956年にヨーロッパの加盟各国が素粒子原子核の研究所として設立した。以後、加速器を建設し、素粒子原子核分野の実験に供している。今ではヨーロッパのみならず、世界の素粒子研究のメッカとなっている。HTMLやWWWはCERN研究所の産物である。
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