ご報告が遅くなりましたが、クラウドファンディングの目的であったウィトゲンシュタインの国際ワークショップを開催することができました。国内外から、24人の発表があり、全体でも50人の参加者がありました。世界情勢が悪化した影響から参加をキャンセルされた方もいましたが、私たちが昨年参加したウィーンでの会よりも参加者が多く、成功だったと言えます。ご支援、ご協力いただいたみなさま、大変ありがとうございました。
ワークショップは「Reconsideration of Wittgenstein’s Cultural Background and Context」というタイトルで2024年9月20日〜22日の日程で東京都立大学にて開催されました。今回は講演者としてAnirban Mukherjeeさん(ノース・ベンガル大学)、Chon Tejedorさん(バレンシア大学)、伊藤遼さん(早稲田大学)の三名の方を招待しました。また国内の大学から9名(外国籍の方を含む)の方が、南北アメリカ、ヨーロッパ、アジア各地の大学から10名の方が発表者として参加してくれました。意外だったのは、発表者ではないのに国外から参加してくれた方がいたことです。日本で開催される哲学の国際企画はそれなりに需要があるという実感を得ました。
今回のワークショップはウィトゲンシュタインとその文化的な背景を主題としました。発表内容で多かったのは、後期ウィトゲンシュタイン哲学の治療的解釈をめぐるものです。具体的には、治療的解釈をフロイトおよび精神分析といった文化的背景、またテクスト論の観点から捉えなおした発表が見られました。私達オーガナイザーは会場対応などで準備の余裕がないことが見込まれたため、残念ながら発表を見送りました。
国際ワークショップの開催に際して、研究資金をもっていない方を優先に、旅費の支援(一人10万円)を行いました。クラウドファンディングの残高からでは支援対象が限られてしまうため、沼津工業高等専門学校准教授の太田匡洋さんにオーガナイザーに入っていただき、彼の研究費から一部の支援者に対する旅費支援を行いました。それ以外には、東京都立大学の国際交流会館への宿泊希望者一名に対する宿泊費補填を行いました。これは会期の一月前に宿泊の基準を満たしていないことが判明したため、直前対応の必要性がでたことによるものです。また、会場の設営を手伝っていただいた2名の方とオーガナイザー(槇野・木本)に対する人件費を計上しました。
運営で予想外に頭を悩ませたのは、懇親会の会場選択でした。今回は参加者のうちにベジタリアンの方が複数名いたため、その方たちも安心して食事ができる場所を探す必要がありました。昨年のPre Workshopで利用したインド料理レストランはベジタリアン対応が可能でしたが、閉店となってしまい今回のワークショップでは利用できませんでした。ワークショップ会場となった東京都立大学南大沢キャンパスの所在地は八王子の郊外であり、ベジタリアン対応が可能なレストランが限られています。最終的に我々が提案したプランは、初日は大学隣にあるスーパーマーケットでインドカレーを提供しているカーンさんのカレーやビリヤニを用意したビュッフェを、二日目は南大沢駅から2駅先のイタリアン・レストランでベジタリアン対応の食事を提供するというものでした。今後私達が国際ワークショップを継続して開催できるかどうかは未定ですが、食事問題は会場校の選択に影響を及ぼすことは間違いないと思われます。なお、今回利用したカレーを提供していただいたカーンさんは別の店舗に異動してしまうようで、再度東京都立大学で国際ワークショップを開催するとなるとさらに頭を悩ませることになりそうです。
ワークショップ期間の翌日9/23には参加希望者を連れて、明治神宮、原宿、渋谷をまわる観光ツアーをしました。海外の方には竹下通りや渋谷のスクランブル交差点はやはり有名のようです。各自自由解散となった後で、この日ガイドだった木本はMukherjeeさんが渋谷のレコードショップに行きたいというので一緒に中古レコードショップを回りました。その後Tejedorさんと合流して食事をしましたが、この日もやはりレストランの選択には困りました。気軽に現地らしい食事を食べてもらうのはなかなかハードルが高いようです。
さて、目標としていた国際ワークショップは無事開催することができ、一段落がついたと言えます。今後については、本ワークショップの成果を論文集という形にすることができないかと計画をしている段階です。こちらはまだ計画が立ち上がったばかりですが、詳細が明らかになり次第、再度ご報告させていただきます。
オーガナイザー 木本・槇野
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研究報告レポート(PDF版)
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