多くの方からご支援を頂いたことで、マニアックな課題にも関わらず目標金額を達成することができました。科研費等の公的支援を受けるのとは違ったプレッシャーも感じていますが、皆様からのコメントを励みに研究に邁進します。今回、目標の達成と同じくらい嬉しかったのは「京都大学アカデミックデイ」や「博物ふぇすてぃばる!」で知り合った方々が、リピーター(?)として支援やコメントを寄せてくれたことです。これからも学会のみならず社会一般、様々な方角を向いて活動を展開し、幼少期の憧れであった『いきもの博士』に少しでも近づけるように頑張ります。今後もご支援の程よろしくお願いします。
私は、長らくメダカやゼブラフィッシュといった卵生魚(卵を産む魚)を使って動物のからだ作りの研究していました。その時ふと思ったのです「胎生魚(卵ではなく、赤ちゃんを産む魚)っていたよな?あれって、どうなってるんだ?」と。
そこで改めて調べてみた結果、私はカダヤシ目グーデア科の胎生魚【ハイランドカープ】と出会ったのです。ハイランドカープの胎仔はお尻からリボン状の構造物がつき出した、とてもエキセントリックな姿をしています(画像参照)。ハイランドカープの胎仔はこれを使ってお母さんから栄養をもらい母親の体の中で成長します。これはグーデア科の魚の独自の構造で、『へその緒』を連想させますが、実は『消化管』由来の組織なのです。
ハイランドカープを含むグーデア科の胎生種については、約80年前からスケッチによる“かたち”の報告はあるものの、近代生物学の花形である分子生物学的を使った“仕組み”の解析は殆どありませんでした。それは『リボン』についても同様です。「これは発掘して磨けば光る研究になる!」―そう考えた私は、妊娠開始から出産に至るまでの“仕組み”を調べるべく、実験と観察を行いました。その結果「リボンは出生前から退縮し、出生時には無くなっている。これは新生児と一緒に出産される哺乳類のへその緒や胎盤とは異なる性質である」ということを見出し、論文を作成しました。
今回のチャレンジはこれまでの研究とは目先を変えます。「胎仔」ではなく「母体」を調べます。前述のようにハイランドカープは「妊娠」する謎の多い魚です。このハイランドカープの妊娠開始から出産に至るまでに母体では何が起こっているのでしょうか?こちらにも興味深い謎が隠れているはずです。
ヒトを含む哺乳類では、妊娠や出産に伴い女性ホルモンなどの分泌量の変動が起こるなど、母体の体内環境が変化します。胎生魚では、このような体内環境の調節はどうなっているのでしょう?哺乳類と魚類では、女性ホルモンを始めとする内分泌物質に共通するものが多く、単純に考えれば「哺乳類と同じかな?」と予想できます。しかし、哺乳類の胎生と魚類の胎生は進化的に独立して獲得しています。「じゃあ違うのかな?」とも思えます。
私はそこに白黒つけたい。もしかしたら「グーデア科魚類は哺乳類とは別々の道筋で同じ体内環境調節機構に辿り着いた」―似てはいるものの独立して獲得した形質において、分子機構が収斂しているというアツい結論です。もしくは「グーデア科魚類は哺乳類とは全く異なる妊娠制御のメカニズムを編み出した」―これも全く新しい胎生制御機構の発見であり激アツです。つまりどうあっても、グーデア科は繁殖機構の進化を語る上で重要な謎を隠し持っているのです。最高です。
胎生魚はスズキ目、タラ目、カダヤシ目など幅広い分類群(7目14科)に約500種も分布しています。系統関係から考えると、それぞれの分類群は進化の道のりで別々に胎生という能力を獲得しているはずです。つまり『赤ちゃんを産む』という結果は同じでも、そこに至る仕組みが種間で同じかどうかは調べてみないと断言できません。魚類にはこんな謎に満ちた胎生種が、まだまだ沢山いるのです。何故こんなに面白い生き物が今まで近代生物学の舞台に登場しなかったのか、不思議でなりません。私の目標は、魚類で多様化した胎生機構をひとつひとつ解明し、理解していくことです。本チャレンジを含むグーデア科研究は、そんな私のライフワークの出発地点だと位置づけています。
このようなアイデアが『研究成果』として成立するためには、「1.仮説」「2.実験」「3.評価」「4.議論」が必要です。本研究計画はまだ「1.仮説」に位置しているに過ぎません。この仮説を証明するには「2.実験」のステップへ進むことが不可欠ですが、いきもの相手の実験は費用も時間も必要となります。そこで、今回のチャレンジでは皆様から主として以下の用途に使用する資金をご支援頂きたく思います。
1. 魚の飼育維持費:稚魚から成魚までの様々な世代の個体を常に飼育します。
2. 実験試薬・機器の購入費:非妊娠個体と妊娠個体で数値を比較して、妊娠に伴い上昇する物質を特定します。
これらの実験には、専門の試薬や高価な器材が必要となります。上記以外にもアウトリーチ活動やプレスリリースを介して、世の中に『面白い生き物』を伝える活動を展開していきたいと考えています。皆様からのご意見、そして、私が掲げる目標や趣旨に賛同してくださる方からのご支援、よろしくお願いいたします!
時期 | 計画 |
---|---|
2015年09月 | クラウドファンディング挑戦 |
2015年12月 | 実験開始 |
2016年10月 | アウトリーチ活動@京都大学アカデミックデイ |
2016年11月 | 学会発表@第87回日本動物学会 |
2016年12月 | 論文執筆(2017年上旬の採択を目指して) |
これまでに撮りためた胎生魚の写真や出産動画の詰め合わせです。論文発表後に研究成果の概略を日本語レポートでお送りします。
画像&動画詰め合わせ / 研究レポート
11人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ハイランドカープのイラスト入りの記念ボールペンを進呈します。
クリップボールペン / 画像&動画詰め合わせ / 研究レポート
30人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ハイランドカープ胎仔のエキセントリックな姿をプリントしたTシャツです。サイズはS,M,L,XLからお選び頂けます。
ハイランドカープTシャツ / クリップボールペン / 画像&動画詰め合わせ / 研究レポート
23人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ハイランドカープ胎仔の姿を再現したオリジナルぬいぐるみです。
オリジナルぬいぐるみ / クリップボールペン / 画像&動画詰め合わせ / 研究レポート
10人のサポーターが支援しています (限定 10 個)
支援への感謝の意を込めて、英語論文(2017年上旬の採択を目指します)の謝辞に氏名を掲載します。
論文への謝辞掲載 / クリップボールペン / 画像&動画詰め合わせ / 研究レポート
13人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
研究終了後、使用しなかった試料ストックの一部を標本にして進呈します。論文に掲載できなかったお蔵入りデータを、切ない裏話付きで紹介します。
ハイランドカープ胎仔標本 / お蔵いりデータ&裏話。 / クリップボールペン / 画像&動画詰め合わせ / 研究レポート
5人のサポーターが支援しています (限定 30 個)
論文発表後、ご希望に応じて本人が研究レポートを持参して結果報告に伺います。形式は個別の懇談、講演、サイエンスカフェなど様々な形態に対応します。当研究に強い関心を寄せて頂いた上でのご支援だと考えておりますので、研究の将来像まで議論できればと思います。(出先が京都府・滋賀県・大阪府以外の場合、交通費の負担をお願いいたします。)
本人による結果報告 / 論文への謝辞掲載 / クリップボールペン / 画像&動画詰め合わせ / 研究レポート
0人のサポーターが支援しています (限定 10 個)
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画像&動画詰め合わせ
11
人
が支援しています。
(数量制限なし)
クリップボールペン 他
30
人
が支援しています。
(数量制限なし)
ハイランドカープTシャツ 他
23
人
が支援しています。
(数量制限なし)
オリジナルぬいぐるみ 他
10
人
が支援しています。
(限定 10 個)
論文への謝辞掲載 他
13
人
が支援しています。
(数量制限なし)
ハイランドカープ胎仔標本 他
5
人
が支援しています。
(限定 30 個)
本人による結果報告 他
0
人
が支援しています。
(限定 10 個)