当プロジェクトにおけるクラウドファンディングは2020年7月末、増永・エネ双方で「停止」「返金」の方向で合意いたしました。
アカデミスト社のご厚意により、出資者様への全額返金が実現する事になりました。
詳細に関しましては、8月17日付の「進捗報告」(最終)をご覧ください。
重ね重ね、出資者の皆様には大変なご迷惑をおかけいたしました。
誠に申し訳ございません。
「よくわからないけど北欧?」——日本ではこう言われることが多いエストニア共和国。バルト三国の一番北にあり、ドイツとロシアという大国の狭間に立って苦労を重ねてきた国ですが、21世紀に入ってからは観光立国として、そして電子大国として発展してきました。いまや、世界のIT産業のリード役として存在感を発揮しています。
そんなエストニアと日本のあいだには、これまで数々のエピソードがあったのをご存じですか? エストニアが独立を獲得する以前の帝政ロシア領時代、エストニア人たちは、19世紀に未知なる国”Jaapan”(ヤーパン)に憧れ、船乗りや商人として日本を訪れました。
その後、ロシア帝国が革命で崩壊したのをきっかけに、1918年に独立を宣言したエストニアでしたが、直後にドイツ軍とソ連軍の侵攻を受け、一時は国土の3分の2を失う事態に陥ります。その際、ロンドンでは新生エストニアの外交官たちが、日本を含めた連合国をエストニアの独立を守るために動かそうと必死の努力を続けました。
どうにか独立を維持したエストニアですが、東西の独ソという脅威はなくならず、政情不安と経済の低迷により、1934年には強力な権限を持った独裁政権が誕生します。このパッツ独裁政権は反共を国是としており、日本とはソ連を仮想敵国とする考えで一致していました。
1930年代の日エ合同による対ソ連諜報・工作計画は、当時日本が接近していたナチスドイツをも巻き込んだ巨大なプロジェクトとして発達し、日独エ合同で工作員をソ連へと送り込んでいました。しかし、この日独エ諜報協力は1940年6月のソ連軍によるエストニア占領で終焉を迎えます。
第二次世界大戦後、エストニアはソ連に再占領されて苦渋の時代を歩みましたが、1991年の独立回復後は戦後に平和主義を選んだ日本と価値観を共有する国として、日本人観光客の誘致やIT分野での二国間協力などが盛んになっています。
日本・エストニア関係史の大家としては、早稲田大学の小森宏美先生、米国オバーリン大学の大中真先生などがいらっしゃいます。
小森先生は、日本が何年にエストニアと外交関係を樹立したのか、また誰がエストニアを兼轄する外交官としてバルト諸国へ派遣されたのかといった事実を論文「記憶と認識―日エ国交樹立記念年に寄せて」(2011年)で詳しく解説していらっしゃいます。
また大中先生は、19世紀から20世紀にかけての日本とエストニアの関係、特に日露戦争の日本海海戦でエストニアのタリンとラトビアのリエパーヤから進発したロシアのバルチック艦隊が壊滅した事実が、日本人にバルト諸国への興味を持たせるきっかけになったと論文「戦間期における日本・バルト三国関係」(2005年)のなかで明らかにされています。
今回のプロジェクトではこれらの先行研究について、近年判明したより詳しい背後関係や研究の進展などを加えて深く掘り下げつつ、今までスポットライトを浴びることが少なかった部分、特に19世紀エストニア人や満州在住エストニア人の対日関係、1930年代の日独エ合同による対ソ工作の詳細も包括的に取り上げた、日本語・英語・エストニア語併記の通史本の出版を目指します。
日本・エストニア関係史を通史的に解説した書籍はこれまでにありません。私たちは今回のプロジェクトを通して、19世紀から21世紀にかけての日本とエストニアの関係構築と背後関係を明らかにし、日本・エストニア関係史のベースとなる通史としての知識を構築したいと考えています。
この本は、下記のような三部構成にする予定です。
1. 19世紀の日エ両国民のファーストコンタクトから1917年のロシア革命まで
2. 1918年のエストニア共和国独立宣言から1940年のソ連軍によるエストニア併合まで
3. 1944年のソ連によるエストニア再併合から21世紀現在の日エ関係
1と3をセラルト(3については専門の先生による監修を検討しています)、2を増永といった具合に、それぞれの時代に関する研究実績がある著者が執筆します。
また1941-44年のナチスドイツによるエストニア軍政期はさまざまな面から取り扱いが難しく、日エ関係史では戦史・諜報史の視点からの解説になるのですが、現在どのようにまとめるか著者間で検討しています。
今回のプロジェクトはエストニア外務省公認です。出版された書籍は同国外務省並びにエストニアの在外公館に置かれる可能性が高く、また日本とエストニアの学術機関や教育機関(中学・高校等)にも買っていただけると思います。
出版には、エストニアの出版社を通した制作費用として9,000ユーロ(約110万円)が必要となります。その一部としてエストニア共和国外務省からも支援をいただいていますが、費用が不足しているのが現状です。
そこで今回、クラウドファンディングに挑戦することを決めました。ご支援いただいた資金は、出版費用の一部に充てさせていただきます。エストニアという国に興味をお持ちの方、日本とエストニアの関係史を知りたい方、ぜひ応援をよろしくお願いいたします。
時期 | 計画 |
---|---|
2020年6月 | クラウドファンディング挑戦 |
2020年9月 | クラウドファンディング終了 |
2020年10月 | 東京・横浜などでの史料調査(セラルト、私費によるもの)、執筆開始 |
2020年11月 | ロンドンでの史料調査(増永、私費によるもの) |
2021年1月 | 執筆完了 |
2021年1-6月 | 校正・翻訳作業 |
2021年7-10月 | 出版準備作業 |
2021年10-12月 |
出版
|
著者たちがよく知っているエストニア国内の観光名所や歴史的名所をご紹介します。日本ではあまり知られていない魅力や、日エ交流史にゆかりがある場所を詳しく伝えます!
エストニア見どころレポート(PDF版)
16人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
出版プロジェクトの進展をお伝えします。プロジェクト進行中の著者たちによる裏話や秘話も載せます。
プロジェクト進展レポート(PDF版) / エストニア見どころレポート(PDF版)
10人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
完成した書籍の謝辞にお名前を掲載させていただきます。日エ関係史の通史としての書籍は唯一無二の存在で、エストニア外務省とエストニアの在外公館、さらに日本とエストニアの各種学術・教育機関にご購入いただいた場合、お名前が載った書籍が日エ両国の各所に長期間、置かれることになります。
書籍の謝辞にお名前掲載 / プロジェクト進展レポート(PDF版) / エストニア見どころレポート(PDF版)
48人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
日本・エストニア関係史に関する講義をオンラインで提供します!それぞれのパート担当の著者が専門的なご質問にもお答えします。
日本・エストニア関係史に関するオンライン特別講義(90分) / 書籍の謝辞にお名前掲載 / プロジェクト進展レポート(PDF版) / エストニア見どころレポート(PDF版)
6人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。
エストニア見どころレポート(PDF版)
16
人
が支援しています。
(数量制限なし)
プロジェクト進展レポート(PDF版) 他
10
人
が支援しています。
(数量制限なし)
書籍の謝辞にお名前掲載 他
48
人
が支援しています。
(数量制限なし)
日本・エストニア関係史に関するオンライン特別講義(90分) 他
6
人
が支援しています。
(数量制限なし)