2月22日土の朝9時。「脳と心」の4日間集中講義の最終日に講義するので登校。講義室につくなり、ここ最近の心配事であるクラウドファンディングのページにアクセス。そうすると、昨夜まで94%だった達成率が131%に!!
何かの間違い?
って本気で思った。最後のオーバーフィニッシュを躊躇なく最大リターンで決めて頂いた杉原さんにはもう感謝でいっぱい。もちろん、すでにご支援頂いた30名の方も感謝感謝で超いっぱい! いっそう気を引き締めなければ!という決意を新たにしました。ご支援頂き本当にありがとうございました!
京大内でも僕はCFを多くやってる方ですが、毎回、ほんとうにしんどい。やろう!と決めたときはテンション高く、柴藤さんから「じゃあ、これでいきますね。最終確認です」っていわれて「OKよー」と返事した瞬間から後悔がはじまるんです笑
こんなに集まるはずがない。どうしよう・・・・
開始、3日目ぐらいで柴藤くんにも弱気のメールをだしたり(事実ですw)、いろいろアドバイスもらって、「よし・・・ やれるだけはやりきろう」って思いなおしました。広報をお願いできるところ、MLをながしてくれるところにあたりまくり、文章もなんどもなんども「これで熱意が伝わるだろうか」って見直して、井出さんと一緒に動画メッセージも作って、一人ひとりの顔思い出しながら案内しています。そうして31名のみなさまからのご支援を頂き、結果、開始して2週間を待たず131%を達成させていただいた!ということになります。
考えてみたら、そりゃ、みなさまの個々人の「お金」もらってるんだもん、しんどいに決まってます。
でも、このしんどさはやっぱり経験はしとかないとだめだなって心から思います。できれば、すべての研究者は一度はやったほうがいいのではとすら思います。世間では、「クラファンはお金集めじゃなく信用あつめ」とか言いますが、それもそうかとも思いますがなんか僕は違う感じがします、とくに研究者がCFやるときは!
確かに、不特定多数に対して自分がどれだけ頼られているかおもしろがってくれているか、というバロメータになりますが、そんなマスを相手にした大型装置みたいなもんじゃない。もっと生々しい一人ひとりの顔がみえるつながりを意識するもののような感じがします。著名人でもない僕が今回もご支援頂いた方々は、99%僕の知り合いです。その顔見知りが「はい、がんばってね!」っていって現金を渡してくれてるんですよ!!! 現金よ、現金! 僕の研究、想い、行動に、その人が稼いだお金 ーほんとうは僕に渡さなければ美味しいもの食べたり子供に服をかったりずっと欲しかったソファを買ったりするお金ー を渡してくれるんだ。
この「生もの感」は、「私の研究は人類の知にとって大事なことをしてるんだ(だからなかなか素人には伝わらない OR だからもっと研究費よこせ)」という研究者の奢りを木っ端みじんに破壊してくれます。人類って誰よ? それは自分の隣にいる身近な顔見知りです。その人を意識しなくて何が研究ですか *
いやいや、未来の人類のためだから現世の人は関係ない
なんて思う方もおられるかも。いやあ、まったく世間は未来!未来!言いすぎだとおもってる派からすると笑、未来は今だってこと忘れてませんか、って言いたいです。今と地続きの未来なら、今において響かないものが未来では響くわけないじゃない、結果が出る出ないに関わらず、その想い(意思)が。
話がそれた気もしますが、大学研究者たるもの、自分の問い、懐疑がいかほどのものか、それがそのまま研究者人生のそのものとなる・・・ 学問は生き様(よう)であるので、論文だろうが、書籍だろうが、学会だろうが、CFだろうが、どれもこれも問いと化した自分が試されていることなのだ。そういう想いにふけるわけです。
感謝をお伝えしようと筆をとりましたが、無駄話になりすいません。あらためてご支援頂きましたみなさまに心から感謝いたします。
3月4日の本番、がんばりますね!
*
もっと言葉を足すなら「人類」というときは自分も含まれていることも意識せねばなりません。
大学で実施する研究といえば、それぞれの専門分野における問いを実験なり、調査なり、読書なり、思索なりで深めるものです。しかし、そもそも大学における研究という営みはいったいどういうことか、といったような視点で「研究そのものを研究する」というのが学問論です。もともと私は金属物理学の研究者でしたが、京都大学の総長補佐の仕事や文部科学省学術調査官の経験を通じ、研究のあり方そのものに関心が移って、10年ほど前から学問のあり方、大学のあり方について探究と実践をするようになりました。
ここ10年来、霞ヶ関や産業界からの要請に応える形で「大学改革」が推し進められてきました。得てしてそれは現代的なイノベーションの駆動装置としての大学の機能強化を目的としてなされており、選択と集中や数値目標、ランキングといった成果主義の色が強いものでした。そしてそれらの政策の結果は、全体的によい状況をもたらすものではなかったというのは、多くの大学関係者が知るところです。
よかれと思って実施した改革がなぜうまく機能しなかったのか。それは、改革自体が「変わること」や「現状否定」を良しとして出発していたからと考えます。つまるところ「何のための改革か」といった議論や、「大学を取り巻く状況はなぜ現状のようになっているのか」といった歴史的経緯の認識があまりに薄かったのではないでしょうか。そして、横置きされた最も肝心な議論が、「学問とは何か」といった大学の根本的理念に関わる問いだと思うのです。
学問とは何か……。字面ではなく、偉人の言葉からでもなく、己の心で掴みたい一心で、これまで二度に渡り全分野の研究者が一同に集まって議論する「全分野結集型シンポジウム」を実施してきました。これは私自身のためであると同時に、このような議論を現役研究者と交わすことで、みんなで大事なことを思い出そうよ!という投げかけでもありました。学問論は誰か個人が推進するものではなく、大学で研究に従事するすべての研究者が心の内に持つものと考えるからです。
2018年2月に開催した第一弾の全分野結集型シンポジウムでは、76分野の研究者が一堂に会し「真理探究とは何か?」をテーマに縦横無尽の議論を展開しました。当日はファシリテーターが場を制御するわけでもなく、「有識者」が持論を展開するわけでもなく、全分野の研究者が20個の質問に対して自由な回答することにより、各自が学問の俯瞰的目線を獲得していきました。下記のような参加者の感想を読むことで、私自身も「正面から学問を問い、全体で議論する形式」の持つ可能性を実感しました。
・研究者という、基本的には己の探求したい領域をひたすら深掘りする人々が、どうやって他の領域、分野とつながっていくのか。自分の属する領域も含めた大きな「学問の世界」そのものをどうやって俯瞰するのか。そういう意味で非常に画期的かつ興味深い試みであったと思います。
・ここから日本の学術のあり方を変えられないかなと思いました。 思っていた以上に良かったです。学会のシンポジウムは統合に向かいますが、今日の企画は良い意味で拡散に向かっていました。
この第一弾のシンポジウムを終えた後、「真理探究とは何か?」にあえて回答するのであれば、私はある研究者の下記の言葉をもって返答としたいです。
「自分の分野がわからなくなった」
これがおそらくは「研究者」が「学者」に代わる起点であり、学問の出発点はまさにここにあるのではないでしょうか。これこそがどの分野にも一気通貫する分野を超えたところの学問の本質、20世紀初頭に活躍した哲学者カール・ヤスパースがいうところの「無知への態度」だと思うわけです。
しかし現状は、ほぼ孤立分離した「研究分野という村」のなかで、疑ってはいけない前提があることを自覚しながらもそれを禁句とすることで、なんとかその村の問題意識を保っているのではないでしょうか。狭い村のなかで互いに褒め合うだけでは、その村はジリ貧です。村が集まった「学問という全体」もまた然りです。なにより一番悲しいことは、研究者たちが(まっとうにも)このような状態を自覚しているということなのです。
そこで、学問の進展を支えている「学会」を問うことを入り口とし、学問の進展のしかたやあり方について議論したいと思い、2018年9月に第二弾全分野結集型シンポジウムを開催しました。当日は約100名の研究者と一般の参加者の方々と一緒に「学会」を問い直し、下記のような感想を得ました。
・実は「学会」っていらないよねという結論になるとおもっていたけど、案外そうもならなかった笑。ただし、学会というのは形式にすぎない、組織にすぎない、決めごとにすぎない、作りごとにすぎない、と自覚しておかなくてはいけないと思いました。
・学会を考えることは、学問のあり方から専門家のあり方とかの話に移らないといけないと思った。そういう自己批判が伴ったなら「学会」って意味あるよなぁと。
第二弾のシンポジウムを終えて、これまで学問がどのように進展してきたかを改めて認識するとともに、高度化、発展の名のもといかに熟慮なく専門化(タコツボ化)が進められてきたかを実感するに至りました。
第一弾で明らかにした専門分野の風土、研究マインドにおける分野間の差異、第二弾で明らかにした研究推進の形式における分野間の差異に続き、その集大成として「学問そのもの」を真っ正面から問いたいと考えています。
世間では相変わらず学術界に「評価」の嵐が吹き荒れています。しかし「評価」が悪いわけではなく、評価の目的が熟慮なき序列付けや予算配分の管理ばかりであることが問題なのです。改めていうまでもありませんが、相対評価は「学問」と相性が良くありません。しかし、その相対評価を跳ね返すだけの絶対評価を私たち研究者は保持しているのでしょうか。不満を持ちつつ相対評価に付き合うも、日常業務に忙殺されるなかで、いつのまにか「学問」を心の奥深くに閉まったままになってはいないでしょうか。大学制度改革の話も新しい学術政策の話も大いに結構ですが、そもそも何を守るための変革だったのか、それを忘れては本末転倒だと思うのです。
そこで第三弾の全分野結集型シンポジウムでは、学問の評価を考えることを切り口とし、学問の絶対的な価値そのものに迫ってみたいと思っています。言ってしまえば、このシンポジウムは研究者らの「反省」です。研究者が集まって学術そのものを考えるシンポジウムもないことはないですが、どうしても誰かやどこかの組織に対して要求めいた制度論になりがちです。そういう中で、この企画の主題はあまりにマイナーであることは自覚しています。が、それでもやらなければならない!再度ヤスパースを持ち出すなら、彼がいうところの「研究者の深い部分での真面目さ」こそが学問の原動力であるのです。
学問の評価を全分野的に考えることで、その絶対的な価値についてみなで確認し、ふかく納得したい。測れない価値、あるいは、測れるものを跳ね返すだけの何か。言葉以前のその絶対的価値について、苦し紛れでもなんとか対話をしてみたい。そして分野を俯瞰的にみることで、どこで一致し、どこで別れるかをみてみたい。課題解決のもとにあるツール的な異分野連携ではなく、学問のありかたとしてその本性である異分野融合を実践してみたいと思います。
これまでと同様、このシンポジウムをできるかぎり多くの研究者、そして学問の現状に問題意識を抱える人たちに届けたいと思い、当日のライブ配信とドキュメンタリー映像を記録しようと考えました。ライブ配信だけでなく動画に残して一般公開することで、シンポジウムに参加できなかった方々にも、当日の様子を知っていただくことができるためです。
しかしながら、最低限の動画撮影費は用意できるものの、よりアピールできる映像作りや編集の費用を予算から捻出することが難しく、資金繰りに困っている状況です。そこで今回もクラウドファンディングを実施し、みなさんよりご支援をいただけないかと考えました。なお、今回得た資金は、これまで同様すべて学際センターの異分野融合基金に入金し、そこから支出させていただきます。
私たちと一緒に第三弾全分野結集型シンポジウム「学問の評価とは?」を作り上げていきませんか。開催日は2020年3月4日(水)13:00-18:00@Impact HUB Kyoto(下記写真)。現在Zoom経由でご登壇いただける研究者の皆さんも募集中です。日本でも稀有なこの取り組みに、ぜひともご支援のほどよろしくお願いいたします!
時期 | 計画 |
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2020年2月 |
クラウドファンディング開始
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2020年3月4日 |
第三弾全分野結集型シンポジウム
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2020年3月4日(水)に開催する第三弾全分野結集型シンポジウムの様子を撮影し、後日一般公開する予定です。その際のエンドロールにサポーターの皆さまのお名前を掲載いたします!
動画のエンドロールにお名前を掲載(希望者のみ)
3人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
登壇者の感想文を含む、開催レポートをサポーターの皆さまにお送りいたします。 2020年3月下旬のメール配信を予定しております。
登壇者の感想文を含む、開催レポートの送付(PDF) / 製作する動画のエンドロールにお名前を掲載(希望者のみ)
18人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
アリストテレスから始まりフンボルトの近代の大学の形づくり、そして現代の大学形成までを偉人や名著の紹介と共に動画生放送(ZOOM)で講義いたします。また私の感じる現状の大学の問題点と未来についてもお話いたします。日時は2020年3月25日(火)21:30−22:00を予定していますので是非この機会にご覧ください。
30分de学問論・大学論 / 登壇者の感想文を含む、開催レポートの送付(PDF) / 動画のエンドロールにお名前を掲載(希望者のみ)
10人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
2018年9月に行われた第二弾全分野結集型シンポジウムでの議事録をPDF形式でお送りいたします。第三弾との関係性を含めて是非お楽しみください。
第二弾「学会って意味なくない?」の議事録 / 30分de学問論・大学論 / 登壇者の感想文を含む、開催レポートの送付(PDF) / 動画のエンドロールにお名前を掲載(希望者のみ)
2人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
2020年内に発行予定の書籍「問いの哲学(仮)」宮野公樹著(筑摩書房)の謝辞にてお名前を掲載いたします。
「問いの哲学(仮)」宮野公樹著(筑摩書房)の謝辞にてお名前掲載! / 第二弾「学会って意味なくない?」の議事録 / 30分de学問論・大学論 / 登壇者の感想文を含む、開催レポートの送付(PDF) / 動画のエンドロールにお名前を掲載(希望者のみ)
3人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
宮野は、社会人向け京都大学エグゼクティブ・リーダーシップ・プログラムにて初回の講演を毎年担当しています。その内容を支援者向けに改編し講演します。
(※旅費・宿泊費等は別途頂戴いたしますのでご留意ください。)
特別講演「流れる時代と流れない思考ー学問の観点からー」の実施 / 登壇者の感想文を含む、開催レポートの送付(PDF) / 動画のエンドロールにお名前を掲載(希望者のみ)
1人のサポーターが支援しています (限定 5 個)
宮野は学際センターの活動として年間3〜5社のコンサルテーションを実施しています。その取り組みは、2019年内閣府主催の第一回日本オープンイノベーション大会にて「審査委員会選考優良事例」に選定されました。ご要望に合わせて、サポーターの方と個別議論させていただきます。
貴社の課題や業種における次なる時代の方向性についての個別議論 / 特別講演「流れる時代と流れない思考ー学問の観点からー」の実施 / 登壇者の感想文を含む、開催レポートの送付(PDF) / 動画のエンドロールにお名前を掲載(希望者のみ)
2人のサポーターが支援しています (限定 2 個)
当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。
動画のエンドロールにお名前を掲載(希望者のみ)
3
人
が支援しています。
(数量制限なし)
登壇者の感想文を含む、開催レポートの送付(PDF)
18
人
が支援しています。
(数量制限なし)
30分de学問論・大学論
10
人
が支援しています。
(数量制限なし)
第二弾「学会って意味なくない?」の議事録
2
人
が支援しています。
(数量制限なし)
「問いの哲学(仮)」宮野公樹著(筑摩書房)の謝辞にてお名前掲載!
3
人
が支援しています。
(数量制限なし)
特別講演「流れる時代と流れない思考ー学問の観点からー」実施
1
人
が支援しています。
(限定 5 個)
貴社の課題や業種における次なる時代の方向性についての個別議論
2
人
が支援しています。
(限定 2 個)