私達の研究プロジェクトに、多くの温かいご支援と励ましのお言葉を頂戴いたしましたことに、心より感謝申し上げます。お陰様で、募集期間を2週間残して、当初の目標額を大幅に超えるご支援をいただきました。皆様から寄せられた期待の大きさを感じますとともに、身が引き締まる思いです。
そこで、皆様からいただいた貴重な研究費をより有効に活用するため、新たに追加プロジェクトを立ち上げることといたしました。当初の計画は、結核菌の病原因子であるZ因子に「結合して作用をブロックする」特殊なタンパク質を作製し、その免疫増強効果を検証するものです。追加プロジェクトでは、このタンパク質にアレンジを加えて、Z因子を「分解する」機能を持たせることでより強い効果が得られるかを検証します。この戦略は、「標的タンパク質分解誘導」という、近年、世界的に注目されている創薬手法を結核治療薬の開発に応用するものです。この追加プロジェクトの研究費を賄うために、100万円のセカンドゴールを設定しましたので、さらなるご支援をいただければ幸いです。よろしくおねがいいたします。
本研究により、結核に対する免疫療法の全く新しい方法論の確立を目指し、一歩ずつ前進していく所存です。また、その結果は英文の原著論文と学会発表として社会に還元する予定です。この研究活動を皆様のサポートのもとに進めていくことに、強い責任と誇りを感じています。成果発表の予定を2021年と設定しており、研究の進捗に少々時間がかかりますが、皆様に成果をご報告することを私達も心待ちにしています。
どうか今後とも、この研究プロジェクトへのご支援とご鞭撻のほど、宜しくお願い申し上げます。
結核は、今でも世界で年間130万人の死亡原因となっている重大な感染症であり、世界保健機関でも世界3大感染症のひとつとして重点的な対策を求めている疾患です。
結核の病原体は結核菌という細菌です。結核菌は、免疫系による認識と排除を逃れて、免疫細胞のひとつであるマクロファージという細胞の中に寄生し増殖することができます。通常の細菌はマクロファージに取り込まれると殺されて(殺菌されて)しまいますが、結核菌はマクロファージが殺菌作用を引き起こすのに必要な分子の機能を抑える病原因子を作り出すことができるため、マクロファージは十分な殺菌作用を発揮できず、結核菌の細胞内への寄生が成立します。
結核菌は細胞の中に寄生すると、体液中の抗菌分子による攻撃も受けることがなくなります。その結果、マクロファージが結核菌を守り増殖する場を提供することになってしまいます。これが、免疫系がなかなか結核菌を排除できない理由のひとつです。
私たちの研究チームは長年、結核菌に対する免疫応答とマクロファージ活性化の分子機構を研究してきました。その研究結果から、結核菌の病原因子の働きを抑制しマクロファージ機能を強めることによって、有効な抗結核防御免疫を誘導できると考えるようになりました。
結核菌が分泌する病原因子となるタンパク質には複数ありますが、私たちは特に、結核菌の排除に重要な役割を果たしているマクロファージの分泌タンパク質、インターロイキン―1ベータ(IL-1β)の産生を抑制する結核菌の病原因子に注目しています。
私たちの未発表の研究により、この病原因子(ここではZ因子とします)が複数のマクロファージ由来タンパク質を標的として、IL-1βの産生に必要な細胞内情報伝達を抑制することがわかってきました。また、Z因子を欠損する菌に感染したマクロファージでは、IL-1βの産生が増加することも確認しています。
現在、このZ因子の作用機序の詳細を分子レベルで追究しているところですが、それに加えて、Z因子の機能を細胞内で抑制する方法の開発を目指しています。今回の研究では、このZ因子を抑制する方法を開発するために、細胞内に入り込みZ因子に結合してその作用をブロックする特殊なタンパク質を作り、それが結核菌に対する免疫応答を増強することを実証しようと計画しています。
Z因子の働きをうまくブロックすることができればマクロファージの活性化のみならず、結核菌を認識するT細胞の誘導と活性化も強まり、全体として免疫による結核菌の排除が増強するのではないかとも考えています。この方法が成功すれば、これまでとまったく異なる結核に対する免疫療法の可能性が開かれていくと信じています。
結核の治療として、現在では3種の抗結核薬を用いる6か月間の化学療法が標準的に行われています。これは通常の結核菌にはとても有効です。しかし、医療環境によっては化学療法を6か月継続することが困難な場合もあり、それによって多剤耐性結核菌が生じてしまいます。
実際に、化学療法の柱となる2つの抗結核薬に耐性を獲得した多剤耐性結核菌が世界の一部地域で増加していることが問題となっています。さらに、超多剤耐性結核菌と呼ばれる、より多くの抗結核薬に耐性を示す結核菌の出現も報告されており、今後、抗菌薬による治療ができない結核患者さんが出てくるものと危惧されています。日本では多剤耐性結核菌または超多剤耐性結核菌による結核の頻度は低いのですが、グローバル化に伴い、これらの耐性菌の侵入が増加する可能性は否定できない状態です。
化学療法以外の結核に対処する方法として、免疫を活用する方法があります。BCGワクチンは日本でも広く接種されていますが、これは結核菌に近縁なウシ型結核菌の病原性が低くなった株を接種するもので、BCGと結核菌で共通する分子に対して免疫応答が成立します。BCGワクチンは、結核菌を認識するT細胞と呼ばれるリンパ球を誘導し、それが結核菌感染マクロファージの殺菌活性を増強することにより、結核菌の排除に働きます。
BCGワクチンは、小児の結核の予防には非常に有効性が高いことが知られていますが、BCGワクチンの成人肺結核に対する効果は、疫学調査を行った国により大きな違いがあり、必ずしも有効であるとは言えない状況です。また、BCGワクチンの結核予防効果は知られていますが、すでに肺結核を発症した患者さんに対する治療効果は期待できません。私たちが目指すのは、肺結核の患者さんにも有効な新しい免疫療法の確立です。
免疫療法は、さまざまな疾患ですでに実用化されています。いわゆる「抗体医薬」は、さまざまな分子に結合することができる抗体の作用を応用し、がん細胞や、組織損傷に働いてしまう自己の分子に結合する抗体を作製し、それを投与することで治療する方法です。これは体の中の免疫を活用しているわけではないため、投与後の持続性はありません。これに対して、「ワクチン接種」は病原体やがん細胞の分子を接種してそれに対する免疫応答を誘導するもので、感染症では予防的に、がんに対しては治療的に使われています。しかし、結核菌に対しては、菌が細胞内に閉じこもるため抗体は効果がなく、またBCGワクチンはすでに感染した肺結核の患者さんには効果がありません。
私たちが今回提案する、結核菌の病原因子の作用のブロックによる免疫応答増強は、結核菌と免疫の相互作用の情報に基づくまったく新しい考え方で、その新規性と有効性をきちんと証明できれば、結核治療の進歩に大きく貢献できると考えています。今回のクラウドファンディングで集まった資金は、結核菌の病原因子の作用をブロックするタンパク質の作製に必要な酵素類や合成DNA、遺伝子組換えタンパクを産生する大腸菌の培養用試薬類、試験管といった消耗品の購入に使わせていただきます。この研究の過程を社会の皆様と共有することができれば、これに勝る喜びはございません。ぜひ皆様のご協力をいただきたいと考えていますので、どうかご支援をよろしくお願いいたします。
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ご寄附いただいた皆様へ、確定申告により税制上の優遇措置が適用される領収書を琉球大学より発行致します。
なお、領収書の日付は、お申込み受付日やカード決済口座からの振替日ではなく、アカデミスト株式会社より琉球大学に入金された日付となります。予めご了承ください。
(本年12月16日以降に入金となった際には、寄附の領収書は、 翌年の日付で発行される場合があります。この場合、寄附金控除も翌年の対象となりますので、予めご了承ください。)
【法人・団体様からのご寄附】
・全額損金算入が可能です。(法人税法第37条第3項第2号)
【個人様からのご寄附】
・所得税…寄附金額(総所得金額の40%を上限とする)から2,000円を差し引いた額を、当該年の課税所得から控除することができます。
・個人住民税…琉球大学を寄付金控除の対象法人として条例で指定している都道府県・市区町村にお住いの方は、個人住民税の控除を受けることができます。
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時期 | 計画 |
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2019年9月 | クラウドファンディング挑戦 |
2019年12月 | クラウドファンディングの研究資金による研究を開始。(結核菌病原因子に結合する遺伝子組換えタンパクのスクリーニング、細胞膜通過性組換えタンパクの作製、大量産生系の確立) |
2020年6月 | ブロッキング分子の作用の検証(結核菌感染マクロファージ内でのブロッキングタンパク結合の確認、免疫応答増強効果の検証) |
2021年3月 | 研究成果の日本細菌学会総会における発表 |
2021年8月 | 研究成果の英文原著論文としての発表 |
研究の詳細な進捗などをレポートにまとめてお送りします。応援よろしくお願いいたします!
研究報告レポート(PDF版) / 寄付金受領証
10人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
蛍光免疫染色した結核菌感染マクロファージの顕微鏡写真5枚をJPEG形式で電子メールに添付してお送りします。共焦点レーザー走査型顕微鏡と呼ばれる、非常にシャープな画像を得られる顕微鏡での撮影ですので、数マイクロメーターしかない小さな結核菌がきれいに見えます。黒い背景に緑で染まったマクロファージと青い細胞核、赤い結核菌、が配置された画像からは、神秘的な美しさも感じていただけると思います。
蛍光免疫染色した結核菌感染細胞の顕微鏡写真5枚(JPEG形式) / 研究報告レポート(PDF版) / 寄付金受領証
21人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ご同意がいただける方には、挑戦者の所属する琉球大学熱帯生物圏研究センター分子感染防御学分野のWebページのトップページにお名前を掲載させていただきます。
研究室Webページにお名前掲載 / 蛍光免疫染色した結核菌感染細胞の顕微鏡写真5枚(JPEG形式) / 研究報告レポート(PDF版) / 寄付金受領証
20人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
琉球大学熱帯生物圏研究センター(沖縄県中頭郡西原町千原1)で開催するサイエンスカフェにご招待します。また、東京でのサイエンスカフェ開催のご要望があれば、東京工業大学田町キャンパス内の琉球大学東京オフィスでの開催も検討いたします。サイエンスカフェでは、結核や免疫の基本的な解説と今回の研究プロジェクトの進捗状況の報告に加えて、研究の苦労話など、普段は聞く機会のないようなお話をしつつ、皆様との対話を通じて、大学での研究活動がどのように行われているか知っていただきたいと思います。※開催場所までの交通費は各自ご負担をお願いいたします。
サイエンスカフェ(2020年8月上旬頃を予定) / 研究室Webページにお名前掲載 / 蛍光免疫染色した結核菌感染細胞の顕微鏡写真5枚(JPEG形式) / 研究報告レポート(PDF版) / 寄付金受領証
19人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ご同意がいただける方には、2021年3月に開催予定の日本細菌学会総会における本研究に関する発表の際に、謝辞にお名前を掲載させていただきます。また、謝辞を掲載した発表資料のPDFをお送りします。応援よろしくお願いいたします! ※2021年3月の学会発表が叶わなかった場合、その後の学会発表資料の謝辞にお名前を掲載いたします。
学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / サイエンスカフェ(2020年8月上旬頃を予定) / 研究室Webページにお名前掲載 / 蛍光免疫染色した結核菌感染細胞の顕微鏡写真5枚(JPEG形式) / 研究報告レポート(PDF版) / 寄付金受領証
4人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ご同意いただける方は、本研究成果を英文の原著論文として発表する際の謝辞にお名前を掲載させていただきます。※論文発表の時期につきましては、研究計画通りにいかない可能性もございます。予めご承知いただけますと幸いです。
英文原著論文の謝辞にお名前を掲載 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / サイエンスカフェ(2020年8月上旬頃を予定) / 研究室Webページにお名前掲載 / 蛍光免疫染色した結核菌感染細胞の顕微鏡写真5枚(JPEG形式) / 研究報告レポート(PDF版) / 寄付金受領証
16人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
講演会に出張いたします。結核、あるいは免疫学について、ご要望にお応えする形で講演させていただきます! ※旅費・宿泊費等は別途頂戴いたしますのでどうかご了承ください。
出張講演会の開催 / 英文原著論文の謝辞にお名前を掲載 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / サイエンスカフェ(2020年8月上旬頃を予定) / 研究室Webページにお名前掲載 / 蛍光免疫染色した結核菌感染細胞の顕微鏡写真5枚(JPEG形式) / 研究報告レポート(PDF版) / 寄付金受領証
1人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。
研究報告レポート(PDF版)、寄付金受領証
10
人
が支援しています。
(数量制限なし)
蛍光免疫染色した結核菌感染細胞の顕微鏡写真5枚(JPEG形式) 他
21
人
が支援しています。
(数量制限なし)
研究室Webページにお名前掲載 他
20
人
が支援しています。
(数量制限なし)
サイエンスカフェ(2020年8月上旬頃を予定) 他
19
人
が支援しています。
(数量制限なし)
学会発表資料の謝辞にお名前掲載 他
4
人
が支援しています。
(数量制限なし)
英文原著論文の謝辞にお名前を掲載 他
16
人
が支援しています。
(数量制限なし)
出張講演会の開催 他
1
人
が支援しています。
(数量制限なし)