「ウミガメを活動したアニマルセラピーの効果を検証したい!」
サポーターの皆様
この度は大変お世話になっております。
皆様のご支援をいただきまして、この度お陰様で本PJのゴールを達成いたしました!!!!
皆様のご支援に心から御礼申し上げます。
研究の世界は、研究費を支援していただいた/落とされた理由が不明瞭であることが多いのですが、皆様からご支援を頂く形のクラウドファンディングは直接ご意見を伺う事ができ、企画している側として学ぶことが多かったです。なによりも、支援してくださる方々のお顔が想像できる中での研究は、良い意味でプレッシャーにもなることに気がつきました。
また、ウミガメの保護活動に関して誤った情報が多いことも再認識致しました。
地に足がついた情報を発信する大切さを感じました。
その視点からも、クラウドファンディングを通して研究費を集めることは企画側、研究者側にとって大きなメリットがありました。もし、ご支援いただいた方の中に、研究者がいましたら、是非皆様にもクラウドファンディングにチャレンジしていただきたいです。
PJ達成のみならず、多くの学びと気づきを与えてくださいましたこのご縁とチャンスに、改めて御礼申し上げます。
いよいよPJスタートなので、良い報告ができるよう、精一杯取り組ませていただきます。
引き続きよろしくお願い申し上げます。
高齢社会総合研究機構
高瀬麻以
皆様は動物と触れ合っているうちに、それまで感じていた緊張感や不安感が和らいだ経験はありませんか? その現象をもとに生まれたのがアニマルセラピーです。アニマルセラピーは、犬や猫、魚などの動物と触れ合い、緊張や不安を和らげることを目的とします。たとえば、病院に水槽を設置して治療に対する不安を軽減する試みが行われています。また、犬や猫と触れ合えるイベントで参加者に癒しを提供するのもアニマルセラピーの一種であると考えられます。最近は老人ホームなどのシニア向けの施設でもこのようなイベントが開催されています。
高齢になると日常生活を送るために周りの助けが必要になる場合があります。おひとりで自立した生活が難しくなると外出する機会も徐々に減って行ってしまいます。そのようなシニアの方向けに、生活の支援と他者との交流の機会を提供する「デイサービス」という支援が行われています。デイサービスは普段ご自宅に住むシニアが定期的に福祉施設に通うことにより提供されます。デイサービスに通うシニアの方は、生活周りの援助を受けるだけではなく、施設が提供するイベントにも参加します。犬や猫と触れ合えるイベントが企画された場合はアニマルセラピーを受ける側になります。
一方で、デイサービスに通うシニアの方は全員、我々よりも長く生きて多様な経験をされてきた人生の先輩です。デイサービスに通うことを楽しみにしていながらも、常に「お世話をさればかりで申し訳ない」と感じている方がいるのが現状です。これまで自分の世話はご自身でなさってきた方が多く、加齢に伴うご自身の身体の変化をしっかりと認識されています。デイサービスを運営するスタッフはシニアの子ども世代や孫世代に当たりますが、彼らの手を借りないと生活ができないことを申し訳なく思うようです。
そのような状況のなかで、水槽を設置している福祉施設の関係者におもしろい話を伺いました。本来はインテリア、またはリラックス効果を誘導するために設置したはずが、シニアの方が水槽に入っている観賞魚の様子を報告するようになったそうです。この話から、もしかするとシニアの方は観賞魚を観察することによって、不安感の解消などのリラックス効果のみならず、何かしらの刺激を受けているかもしれない、また観賞魚の様子をモニタリングして報告することによって自分の存在意義を確認しているのでは? という仮説が生まれました。また、福祉施設で継続的な飼育を可能とするのは、行動の範囲が限定される水槽の中で飼える生きものであることに気がつきました。
これまでの別の研究で観賞魚を観察しているシニアの観察ポイントや観察の効果などを調べてきましたが、水槽の中の観賞魚を眺める行為はやはりシニアの方にポジティブな影響を与えることが示唆されています。その研究をもとに、水槽を用いてシニアの生活を豊かにできないかと模索をしていくなかで、ウミガメを対象とした大変興味深い取り組みと出会う機会がありました。
ウミガメ、特に今回の研究で注目するアオウミガメは海の女神とも呼ばれており、古くから信仰の対象となってきました。しかしながらレッドリストに登録された絶滅危惧種であり、世界的に保護活動が進められています。
日本でもウミガメの保全活動は積極的に行われており、この度、アオウミガメの子どもをある程度大きくなるまで育ててから海に放流するプログラムとご縁がありました。アオウミガメに限らず、孵化したばかりの仔ガメのほとんどは外敵に狙われて死んでしまいます。このプログラムでは、一定期間人の手でアオウミガメを育て、仔ガメを大きくし(約5〜20 cmくらいになるまで)、捕食されるリスクを少しでも下げて放流することによってアオウミガメの保護を試みています。
このプログラムのお話を伺ったときに、デイサービスに設置された水槽がすぐに浮かびました。もちろん観賞魚が入った水槽は色も鮮やかで、魚がよく泳ぎ廻るので見ていて飽きません。シニアの方も目で追ったり、魚同士の行動を観察してストーリーなどを描いたりして楽しんでいるようです。しかしながらポジティブな効果がありながらも、観賞魚の水槽は施設環境下で完結し、外との世界との接触を生み出すことはできません。
一方で、アオウミガメの仔ガメをデイサービスで育てることができれば、ゆくゆくは海に放流するため、デイサービスに通いながらも自然保護活動の一部を担うという責任感が生まれるのではないかと考えました。老いても社会的な役割を担えると感じていただければ、あるいは生きる楽しみにも繋がる可能性にもなるのではないでしょうか。
シニアの方のなかにはデイサービスに通うことに難色を示す方もいます。客観的に判断すると生活を送るのに支援が必要であるのに、ご自身では未だひとりで生活ができるという気持ちが強い場合です。デイサービスに通うごとにウミガメの様子を観察してもらうなどの役割を担っていただければ、デイサービスに通うモチベーションのひとつになる可能性があります。介護をする家族やスタッフが必要であるケアを提供できるきっかけになるかもしれないのです。
今回の研究では、ウミガメの飼育がデイサービスに通うシニアに与える影響を検討します。まずはアオウミガメの仔ガメを施設に導入し、その後は施設運営側と相談しながらデイサービスに通うシニアに飼育の一端を担っていただける体制を考案します。
たとえば、仔ガメの健康状態は水温や水質などの環境に左右されるので、水温や水質の記録を行ってもらいたいと考えています。さらに甲羅に苔は生えているか、手脚に傷はできていないか、餌は食べているか、などといった観察をしてもらい、問題があれば報告をしてもらう体制を作ることを検討しています。水温や水質はセンサーで測定ができ、観察はウミガメに触れずにできるので、シニアの方が噛まれるなどの直接的な害が及ぶ心配もありません。
無事にウミガメが育った後は、ウミガメは小笠原で放流されます。シニアの方は現地まで同行することが難しいかもしれませんが、スタッフがその状況を動画で撮影し、後日施設で上映して、自分たちの努力が実ったことを伝えたく思っています。
研究としては、ウミガメの飼育前後で高齢者の方にインタビュー調査とアンケート調査を行う計画を立てています。想定している人数は10名から20名ほどです。特に今回のようなアニマルセラピーの効果を測れる指標は未だ少なく、ウミガメの飼育に関わったシニアの方の感想や生活の変化をしっかりと聞き取るインタビュー調査が大切であると考えています。たとえばウミガメを飼育することによってシニアの方が感じた生活のなかの変化(自分が存在する意義など)、デイサービスに通う意欲の変化などを詳細に聞き取る予定です。この調査によりウミガメの飼育が高齢者の自己存在意義を向上させるなどの効果を及ぼすことが明らかになれば、新しい形のアニマルセラピーが実現するかもしれません。
現在アカデミアにて研究費を獲得する手段は科研費や財団の助成などが主であり、研究の結果は該当分野の学会や論文を通して公開されます。個人的に、この閉鎖的な環境に関して大きな課題感を抱いています。研究には実社会における課題の解決をゴールにする側面があります。専門的に研究を発展させるためには大切な手段ですが、本来研究を還元したい「社会」から研究が分離されており、研究の本来の動機(社会における課題)でさえ公に認識されない場合があるからです。シニア人口が高い日本にて、シニアが抱える問題に気がついて欲しい(このプロジェクトでいうと、シニアが感じる申し訳なさやデイサービスに通うモチベーションの低さ)、周りを海で囲まれた島国である日本にて、アオウミガメの保全活動のことを知って欲しい、そして一緒にこの課題にチャレンジして欲しい——。そうした想いから、クラウドファンディングに挑戦することを決めました。
支援者の皆様からいただいた研究費はウミガメを飼育する予定の施設のシニアへのインタビュー調査やアンケート調査に主に使わせていただく予定です。また、単にウミガメを飼育するだけではなく、ウミガメを研究している若い研究者に簡単なワークショップを開いてもらい、仔ガメを育てる意義をしっかりと認識したうえで育てていただきたいと思っています。
今回の研究でウミガメの飼育がシニアにとって好ましい影響を与えると明らかになった場合、ウミガメの飼育プログラムを導入する施設を増やし、シニアとウミガメの相乗効果をより広い範囲で普及させたいと考えています。将来的に、デイサービスに通うシニアが絶滅危惧種の保全に関わる世界が実現するかもしれません。
※万が一、デイサービスで飼育するウミガメがうまく育たなかった場合には、調査を後ろ倒しして実施する可能性がございますので、ご承知おきいただけますと幸いです。
時期 | 計画 |
---|---|
2019年8月 | クラウドファンディング挑戦 |
2019年9〜10月 | 仔ガメのお引越し (小笠原→福祉施設へ) |
2019年9月頃 | 介護施設にて簡易アンケートやインタビューの調査 (飼育開始時) |
2019年10月頃 | 施設利用者向けのウミガメの講義を開催 |
2020年2月頃 | 介護施設にて簡易アンケートやインタビューの調査 (途中経過) |
2020年初夏 | 仔ガメの放流、放流シーンを利用者と共有 |
2020年初夏 | 介護施設にて簡易アンケートやインタビューの調査 (飼育終了時) |
2020年秋頃 | 論文投稿予定、国内学会で発表 |
2021年春頃 | 国際ウミガメ学会で発表 |
研究の詳細な進捗などをレポートにまとめてお送りします。応援よろしくお願いいたします!(本プロジェクトが達成した場合、決済日は10月4日以降の予定です。消費税率が10%となる可能性があります。)
研究報告レポート(PDF版)
3人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
デイサービスで飼育するウミガメの様子などを撮影した動画と、ウミガメの写真を用いて作成したクリアファイルをお送りします。(本プロジェクトが達成した場合、決済日は10月4日以降の予定です。消費税率が10%となる可能性があります。)
ウミガメの動画とクリアファイル / 研究報告レポート(PDF版)
19人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
2020年の冬季に開催予定のサイエンスカフェにご招待いたします。当日は東京大学にてウミガメの生態や保全活動について専門家にお話し頂きます。ご参加をお待ちしています!※当日ご参加いただけない場合には、後日資料を共有させていただきます。また開催地までの交通費はご負担をお願いいたします。(本プロジェクトが達成した場合、決済日は10月4日以降の予定です。消費税率が10%となる可能性があります。)
サイエンスカフェ参加権 / ウミガメの動画とクリアファイル / 研究報告レポート(PDF版)
13人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
2020年と2021年に参加予定の学会にて本研究に関する発表をする際、謝辞にお名前を掲載させていただきます。また、発表資料(電子版)を送付いたします。お力をお貸しください。応援よろしくお願いいたします!(本プロジェクトが達成した場合、決済日は10月4日以降の予定です。消費税率が10%となる可能性があります。)
学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / サイエンスカフェ参加権 / ウミガメの動画とクリアファイル / 研究報告レポート(PDF版)
9人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究成果を発表する際の謝辞にお名前を掲載させていただきます。※研究成果をまとめられるよう努力いたしますが、論文の掲載に至らない可能性もございますこと、ご承知おきいただけますと幸いです。(本プロジェクトが達成した場合、決済日は10月4日以降の予定です。消費税率が10%となる可能性があります。)
論文謝辞にお名前掲載 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / サイエンスカフェ参加権 / ウミガメの動画とクリアファイル / 研究報告レポート(PDF版)
6人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ウミガメの保全活動や本プロジェクトの取り組みなどに関して、ご要望にお応えする形で出張講演をさせていただきます。※旅費・宿泊費等は別途頂戴いたしますのでご留意ください。(本プロジェクトが達成した場合、決済日は10月4日以降の予定です。消費税率が10%となる可能性があります。)
出張講演 / 論文謝辞にお名前掲載 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / サイエンスカフェ参加権 / ウミガメの動画とクリアファイル / 研究報告レポート(PDF版)
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。
研究報告レポート(PDF版)
3
人
が支援しています。
(数量制限なし)
ウミガメの動画とクリアファイル 他
19
人
が支援しています。
(数量制限なし)
サイエンスカフェ参加権 他
13
人
が支援しています。
(数量制限なし)
学会発表資料の謝辞にお名前掲載 他
9
人
が支援しています。
(数量制限なし)
論文謝辞にお名前掲載 他
6
人
が支援しています。
(数量制限なし)
出張講演 他
0
人
が支援しています。
(数量制限なし)