トマトには、大きく分けてサラダで食べる生食用の品種と料理に使う加熱用の品種があることをご存知ですか? 一般的に日本国内で流通している品種は、サラダ向けの生食用のトマトです。ジューシーで美味しいのですが、熱を加えると煮崩れしてしまいます。これに対し、イタリアやアメリカなどの海外の品種は、煮込み料理に使われる加工用のトマトが主流です。いわゆるダシとして使われるので、うまみがありますが、甘味、酸味が低く味が薄く、生食しても美味しくありません。
神奈川県で生まれたトマト「湘南ポモロン」は、生食も加熱も美味しいトマトとして、日本のトマト品種と海外の加熱用の品種を掛け合わせることで開発されました。いわば、"いいとこ取り"をしたトマトであるといえます。
このお菓子を連想させるかわいらしい名称は、イタリア語でトマトを意味する「ポモドーロ」と、果実の形である「ロング」を組み合わせた造語で、2013年に神奈川県の黒岩祐治知事によって命名されました。
県知事の記者会見で華々しくデビューした湘南ポモロンですが、栽培の難しさや流通のハードルなどから、当初想定していたほど普及が進んでいないのが課題になっています。生産者は売れることがわかっていないと個性的で特徴がある品種の栽培を拡大できない一方で、生産量が少ないと本当に欲しいと思っている消費者まで届かないというスパイラルに陥ってしまいやすい状況にあります。
良いものをつくっただけでは売れないという話を聞いたことがある人も多いと思いますが、こうした状況を打破するためには、農家の方々が湘南ポモロンを栽培しやすくなる仕組みを整えることはもちろん、売れる戦略、つまりマーケティング戦略を提案・実行していくことが重要です。
たとえば、神奈川県が開発した柑橘「湘南ゴールド」のブランドイメージの作成と販売戦略に向けて実施した過去の研究では、消費者にグループインタビューを行い、商品イメージや商品化のアイディアを収集しました。そして、その過程で出てきた消費者からの「今までにない味と香りで、食べると幸せになる」という意見を反映し「幸せを呼ぶ、新感覚オレンジ」というキャッチコピーを付けたところ、各種の販売場面で取り上げられ、販売促進に繋げることができました。
スーパーや直売所に並ぶ多くの農産物の中から消費者の目に止まるには、買いたくなるストーリーが必要です。そのためには、グループインタビューなどで消費者の声を直接聞き、隠れたニーズやインサイトを掴むことが非常に有効と考えています。
では、湘南ポモロンにはどのようなストーリーを持たせることができるでしょうか。私たちは、カロテノイド色素の一種である「リコピン」が一般的に国内に流通している大玉トマトと比較して1.5倍程度含まれているという湘南ポモロンの特徴に着目しました。リコピンの有効性についてはさまざまな研究が進められているところですが、抗酸化物質として作用すると言われており、血中LDLコレステロールの低下との関連も報告されています。機能性表示食品としてリコピン含有商品を登録・販売している大手飲料メーカーもあります。
そこで今回、湘南ポモロンのジュースを取り上げ、機能性表示食品として販売することを想定し、消費者調査から「買う人の心に響く」商品ストーリーを作成します。さらにその効果の検証を行うことで、機能性表示が農産物の付加価値化につながるかどうか、購買者となる方はどんな方か(どんな生活スタイルで、買い物はどこで、どんな風にしているのか)を探っていきたいと考えました。
同じ機能性の成分でも、消費者にとってピンとくるような言葉選びをしなければ、機能性を表示する効果はありません。研究では、まずグループインタビューによって、消費者の生活欲求を探り、リコピンに対するイメージ、トマトを買いたくなるようなリコピンの効果について参加者に聞いていくことで、消費者のインサイトにマッチするストーリーを作成します。
そして作成した商品ストーリーを検証するためにWebアンケート調査を行い、ストーリーを付与した機能性表示食品について地域別・年代別の関心程度から、機能性表示食品に特に関心がありそうな地域の絞り込みや、買ってもらえそうな消費者層を明らかにしていきます。さらに、購買行動分析に基づき「買いたくなる」商品のプロモーション手段を探っていこうと考えています。
今回の研究結果は、ほかの農作物のマーケティングにも展開していくことができると信じています。消費者の健康志向は高まっていて、「甘い」、「美味しい」と同じように「健康に良い」も農産物の重要な価値です。農産物の価値を評価し、本当に欲しいと思っている消費者へきちんと届けることが大切です。そして、「健康は日々の食事から作られる」と思っています。神奈川県産の農作物を県民の方にもっと知っていただき、そして食べていただくために、興味のある方の目に止まるような売り場に着実に置くことができるよう研究を進めていきます。ご支援いただいた研究費はグループインタビューや大規模なWebアンケート調査を実施するための費用として使わせていただく予定です。
消費者が買う、買い続けるということは、生産者にとっても所得の向上、経営の安定につながる嬉しいことです。現在、湘南ポモロンを栽培している生産者は35名、年間生産量は約50tですが、さまざまな栽培の支援とともに今回の取り組みを加えた普及活動を進めることで、2022年には生産者60名、年間生産量100tを目指していきます。農産物のマーケティングによって生産者と消費者双方がハッピーになる枠組みをつくることで、神奈川県の農業を盛り上げていきたいと思っています。ご支援のほどどうぞよろしくお願いいたします。
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本プロジェクトは目標金額の1,000,000円を達成した場合、その後の支援募集を停止する可能性がございます。
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時期 | 計画 |
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2019年7月 | クラウドファンディング挑戦 |
2019年8月 | クラウドファンディング終了 |
2019年10月 | グループインタビュー実施 |
2019年11月〜12月 | Webアンケート実施 |
2020年4月 | 調査報告会実施 |
研究の詳細な進捗などをレポートにまとめてお送りします。
研究報告レポート(PDF版)
19人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
神奈川県農業技術センターの広報誌「農業技術センターニュース」等にて、今回の取り組みを紹介するとともにお名前を掲載させていただきます。 ※当所発行の広報資料はいくつかあり、たとえば研究報告に今回の研究成果が掲載された場合、謝辞にお名前を掲載させていただく場合もあります。
(Aコース)神奈川県農業技術センター広報誌にお名前掲載 / 研究報告レポート(PDF版)
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
これまでに公開済みのレシピに加え、各種イベント等で作成した湘南ポモロンをはじめ、農業技術センター育成したナス「サラダ紫」、ネギ「湘南一本」について、HP上では公開していないレシピをまとめたレシピ集をメールでお送りします。
(Bコース)オリジナルレシピ集(PDF版) / 研究報告レポート(PDF版)
5人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
2020年4月18日に、一般の方向けに施設を公開する神奈川県農業技術センターの「施設公開行事」を行います。講演会や体験イベントが開催されます。このなかで今回の取り組みの報告と湘南ポモロンのジュースの試飲を予定しています。支援者の方々には試飲のほかに、お持ち帰りのジュースをお渡しいたします。さらに湘南ポモロンの果実も配布予定です。このお持ち帰りの特典は支援者お一人につき、2名様分まで可能です。ただ、ジュースにつきましては本数に限りがあり、調査でも使用しますので、同等の県内の生産者が製造しているトマトジュースになる可能性もあること、生のポモロンも生育の状況では、代替の試験場で栽培されている生産物になる可能性があることをご了承下さい。(会場までの交通費は、各自ご負担をお願いいたします。当日ご欠席の方には、報告会での発表資料をメールでお送りいたします。)
調査報告会ご招待(トマトジュース試飲&湘南ポモロン配布付き) / オリジナルレシピ集(PDF版) / 神奈川県農業技術センター広報誌にお名前掲載 / 研究報告レポート(PDF版)
24人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
神奈川県農業技術センターでは、今年から毎週火曜日と木曜日(7月中旬から9月中旬を除く)に見学ツアーを実施しています(所要時間90分)。この通常実施している見学ツアーのコースに、神奈川県の農産物に関する特別講義を加えたツアーを実施します。県内各地の特産品の紹介や直売所情報などを講演します。試験場で時期によって収穫される農産物のお土産つきです。時には、新品種の試食もできるかもしれません。なお本リターンの対象時期は2020年度中(2021年3月まで)とさせていただきます。
神奈川県農業技術センター本所見学ツアー(特別編) / 調査報告会ご招待(トマトジュース試飲&湘南ポモロン配布付き) / オリジナルレシピ集(PDF版) / 神奈川県農業技術センター広報誌にお名前掲載 / 研究報告レポート(PDF版)
9人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
過去に私が取り組んできた農作物マーケティングの事例を集めた資料をPDFでお送りいたします。
農作物マーケティングの過去事例集(PDF版) / 神奈川県農業技術センター本所見学ツアー(特別編) / 調査報告会ご招待(トマトジュース試飲&湘南ポモロン配布付き) / オリジナルレシピ集(PDF版) / 神奈川県農業技術センター広報誌にお名前掲載 / 研究報告レポート(PDF版)
2人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
神奈川県の農作物マーケティングの取り組みに関して講演いたします。また、農作物マーケティングに関するコンサルティングにも対応いたします。日時は2020年度内(2021年3月まで)とさせていただきます。できるだけ、ご要望にお応えさせていただきますのでご相談ください。最近では、農産物直売所のマーケティングについて講演をお引き受けした実績がございます。 ※旅費・宿泊費等は別途頂戴いたしますのでご留意ください。
出張講演 または コンサルティング / 農作物マーケティングの過去事例集(PDF版) / 神奈川県農業技術センター本所見学ツアー(特別編) / 調査報告会ご招待(トマトジュース試飲&湘南ポモロン配布付き) / オリジナルレシピ集(PDF版) / 神奈川県農業技術センター広報誌にお名前掲載 / 研究報告レポート(PDF版)
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
神奈川県において、地産地消の取り組み、引いてはSDGsの推進のためにご支援をいただいたことのお礼として、感謝状を贈呈します。
感謝状贈呈 / 出張講演 または コンサルティング / 農作物マーケティングの過去事例集(PDF版) / 神奈川県農業技術センター本所見学ツアー(特別編) / 調査報告会ご招待(トマトジュース試飲&湘南ポモロン配布付き) / 湘南ポモロンレシピPDF版 / 神奈川県農業技術センター広報誌にお名前掲載 / 研究報告レポート(PDF版)
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。
研究報告レポート(PDF版)
19
人
が支援しています。
(数量制限なし)
(Aコース)神奈川県農業技術センター広報誌にお名前掲載 他
0
人
が支援しています。
(数量制限なし)
(Bコース)オリジナルレシピ集(PDF版) 他
5
人
が支援しています。
(数量制限なし)
調査報告会ご招待(トマトジュース試飲&湘南ポモロン配布付き) 他
24
人
が支援しています。
(数量制限なし)
神奈川県農業技術センター本所見学ツアー(特別編) 他
9
人
が支援しています。
(数量制限なし)
農作物マーケティングの過去事例集(PDF版) 他
2
人
が支援しています。
(数量制限なし)
出張講演 または コンサルティング 他
0
人
が支援しています。
(数量制限なし)
感謝状贈呈 他
0
人
が支援しています。
(数量制限なし)