ご支援いただいた方々、情報発信していただいた方々心よりお礼申し上げます。目標額達成によってこの研究の良いスタートを切れることをうれしく思います。
これだけ多くの支援をいただけたことは皆さんの津波災害への関心の高さと津波像復元への期待によるものであると感じ、気が引き締まると同時に励みになります。
出来るだけを広くわかりやすく伝えいていけるよう努力しますので今後ともよろしくお願いいたします。
私が大学の卒業論文のテーマを選んでいる最中の3月11日に東日本大震災は起きました。私が住んでいた札幌市は太平洋に面していないため津波の被害はありませんでしたが、報道によって流れる映像から目を離すことができなかったことを今でも覚えています。
私の所属していた研究室では2006年から北海道の太平洋沿岸において津波によって運ばれ地層中に残された「津波堆積物」の研究が継続的に行われていました。この津波堆積物は17世紀頃に堆積したとされており、その堆積物を運んだ津波の波源は未だに明らかにされていません。2011年の東日本大震災をきっかけに広く知られるようになった震源域が連動した「超巨大地震」によるものであった可能性が考えられています。私は北海道においても東日本大震災のような巨大な津波が本当に起きうるのか、という危機感と好奇心からこのテーマに挑むことにしました。
千島海溝に面している北海道の東部(十勝~根室)では多くの研究成果が残されています。これまでの研究によると東部で採取した津波堆積物から推定される巨大津波の平均発生間隔は340から380年とされています。現在、直近に発生した17世紀津波から約400年が経過しようとしていることになります。
巨大地震の発生が差し迫った状況といえますがその地震の震源域や規模については実はわかっていないことが多いです。特に胆振東部地震の被災地である胆振を含む太平洋沖西部の地域では津波痕跡の調査がほとんど進んでいません。西部の胆振・日高地域においても17世紀頃の地層でのみ津波堆積物が確認されていますが、その津波の原因は不明のままです。
17世紀頃の地層で見つかった津波堆積物の由来として3つの候補が知られています。1640年の駒ケ岳噴火による山体崩壊によって生じた津波、東北地方で大きな被害をもたらした1611年の慶長津波、千島海溝の巨大地震による津波の3つです。
もし胆振・日高地域の津波堆積物が先述した北海道東部で起きた17世紀津波によってもたらされたものであれば、M9.1以上の規模の地震と3.11級の超巨大津波が千島海溝でも起こっていたことになります。私はこの17世紀のみに残された津波堆積物がどのような波源でどの程度の規模の津波によって運ばれたものなのかを究明したいと考えています。
北海道における古文書等による17世紀以前の記録はほとんど残されていないため、研究では自然の書物である「地層」を調べることによって津波の発生年代や津波が届いた範囲などを調べます。
私はこのような調査をすべて人力で行なっています。具体的には、簡易的なボーリングをたくさん打ち込むことで噴火した時代のわかっている火山灰や砂の薄層を探し出します。これらの地層は基本的に植物が生育し、枯死した炭素を含む有機物が少しずつ積もった地層です。この地層に残された炭素のわずかな質量の差を東京大学大気海洋研究所の所有するSingleStageAMS装置(加速器質量分析計)を用いて測ることで精度よくその年代を知ることができます。そのため津波によって運ばれた砂層の上下の炭素を分析することで津波の発生年代が明らかになります。また、ボーリング調査によって内陸における津波堆積物の分布についても知ることができます。この分布から古津波の大きさを推定することもできるのです。
昨年の調査では日高海岸の比較的千島海溝に近い浦河町で17世紀以前の古い地層に数百年おきに堆積する砂層を発見しました。これらのイベント層はその発生間隔から海溝型の巨大地震によってもたらされた可能性が高いと考えています。もし、この複数の砂層が海溝から離れた地点で見られなくなっていった場合、同じく海溝から離れた地域である胆振に唯一見みられる17世紀津波堆積物の波源は数百年間隔の海溝型の巨大地震による津波とは異なっていると考えられます。17世紀津波堆積物と海溝型の巨大地震による津波堆積物の分布範囲などを比較することによって、17世紀の津波の正体が巨大地震によるものなのか、火山噴火による山体崩壊によるものなのかを突き止めたいと考えています。
academistでの挑戦を決めたのは多くの方にこの研究を知っていただき、応援していただけると考えたからです。私の研究は防災・減災へと直結するものであると考えていますが、私や周りの研究者が知っているだけではその効果は半減してしまうと思っています。高校教員の経験を活かし、教育の場で活用が可能なリターンや報告を行うことで、研究の成果をより多くの方に知っていただきたいです。
千葉に引っ越したことで調査地である北海道が遠隔地になったため、支援いただいたお金は高額になった調査実施の運営費に充てたいと考えています。皆さんの協力のもと、調査や分析を行い、差し迫っていると言われている北海道の巨大津波の真相に少しでも近づきたいと思っています。
時期 | 計画 |
---|---|
2019年5月 | クラウドファンディング挑戦 |
2019年5月 | 学会発表(JpGU) |
2019年8月 | 北海道において調査 |
2019年9月 | 学会発表 |
2019年 | 年内に論文投稿予定 |
2020年1月 | サイエンスカフェ |
これまでと今回の調査の成果をできるだけわかりやすい形でまとめたレポートを送付いたします。応援よろしくお願いいたします!
研究報告レポート(PDF版)
21人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
2019年9月の日本地質学会にて本研究に関する発表をする際、謝辞にお名前を掲載させていただきます。また、発表資料(電子版)を送付いたします。お力をお貸しください。応援よろしくお願いいたします! ※学会発表が叶わなかった場合、その後の学会発表資料の謝辞にお名前を掲載いたします。
学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / 研究報告レポート(PDF版)
14人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
サイエンスカフェにご招待いたします。関東と北海道のふたつの地域で開催いたします。1回目は2020年1月11日(土)に東京大学柏の葉キャンパスで、2回目は2020年1月18日(土)に北海道教育大学札幌校で開催いたします。当日は調査結果や津波災害についてお話させていただきます。希望があれば教材やアウトリーチに活用できるような内容にしたいと思いますのでご参加をお待ちしています! ※当日ご参加いただけない場合には、後日資料を共有させていただきます。
サイエンスカフェ参加権 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / 研究報告レポート(PDF版)
11人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究成果を発表する際の謝辞にお名前を掲載させていただきます。 ※研究成果をまとめられるよう努力いたしますが、論文の掲載に至らない可能性もございますこと、ご承知おきいただけますと幸いです。
論文謝辞にお名前掲載 / サイエンスカフェ参加権 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / 研究報告レポート(PDF版)
2人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
調査によって発見した災害履歴を残した地層をそのまま剥がした“剥ぎ取り標本”をお届けします。広域火山灰や砂層の分析データ付きです。教材やアウトリーチにご利用ください。※大きさは幅10㎝高さ60㎝ほどを予定しています。
地層の剥ぎ取り標本贈呈 / 論文謝辞にお名前掲載 / サイエンスカフェ参加権 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / 研究報告レポート(PDF版)
1人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
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研究報告レポート(PDF版)
21
人
が支援しています。
(数量制限なし)
学会発表資料の謝辞にお名前掲載 他
14
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サイエンスカフェ参加権 他
11
人
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論文謝辞にお名前掲載 他
2
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地層の剥ぎ取り標本贈呈 他
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