本プロジェクトに対するご支援、誠にありがとうございます。おかげさまで公開から9日目にして目標額を達成することができました。皆様からはまた大変ありがたい激励のメッセージも多数頂戴しました。心より感謝申し上げます。多くの方の期待を感じ、身の引き締まる思いです。
ご支援いただいたお金は、所定の計画通り、2019年4月にウィーン大学で開催されるワークショップで発表する際の渡航費・滞在費・英文校閲費として活用させていただきます。
残りのチャレンジの期間では、セカンドゴールを50万円に設定し、すでに応募済みの他の国際会議での発表や文献購入の費用のご支援をお願いしております。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
私の研究を導く問いは、「現代において哲学が取り組むべき課題や使うべき方法とはどのようなものか? それは自然科学・社会科学と連続的なものでなければならないのか? それとも哲学に固有の課題や方法があるのか?」というものです。
私のこれまでの研究ではおもに歴史的なアプローチを採用し、「哲学のアイデンティティ・クライシス」と呼ばれる状態にあった19世紀後半から20世紀前半のドイツ哲学を研究してきました。当時のドイツは、一方で、ヘーゲル(1770-1831)という大哲学者が亡くなり、他方で、心理学を含む経験諸科学が急速に発展しつつある、という状況でした。このような状況のなかで「哲学の意義や課題とは何なのか」という問題が真剣に議論され、新カント派や現象学、論理実証主義といったさまざまな潮流が誕生しました。哲学の意義や課題をあらためて問う必要があるという点で、現在私たちが置かれている状況は当時のドイツの状況と近いところがあります。
そこで私は当時の議論を再検討することが現代における哲学の意義や課題を考えるうえで有益なのではないかと考え、実際にそうした研究に取り組んできました。
現代において哲学に何ができるでしょうか? 私が現在最も有望だと考えているアイディアは、ルドルフ・カルナップ(1891-1970)に遡ることのできる、「概念工学としての哲学」というものです。私たちがもっているさまざまな概念を批判的に吟味し、それらを改良したり新しい概念を作ったりしていくことは、科学においても政治においても日常生活においても重要な作業です。概念的な混同を取り除いたり、新たな概念を考案したりすることによって、新たな問いや仮説を立てることが可能になったり、新たな選択肢が生まれたりします。
概念工学では、概念というものを「評価」、「改良」、「構築」の対象として捉え直し、私たちがもっている概念をより良いものにすることを目指します。概念をより良いものにするということは、たしかにこれまでにも哲学の内外でなされてきました。しかし、これを哲学が取り組むことのできる重要な課題のひとつとして改めて自覚的に引き受けて、その可能性を探求してみよう、というのが「概念工学としての哲学」の基本的な発想です。
概念工学の課題は、「実践編」と「理論編」のふたつに大別できます。実践編では、私たちがもっているさまざまな概念を実際に検討し、場合によってはそれらを改良したり新たな概念を構築したりします。たとえば、「ロボットは責任をもつのか?」という問いが現実味を帯びてくると、それに応答するかたちで、「責任」、「自由」、「行為」といった関連する概念を見直し、場合によっては作り変えていくことが必要になります。これに対して、理論編の課題は、「既存の概念の改良や新たな概念の構築を支えているメカニズムとはどのようなものか?」といった問いに答えることです。こうした問いは、単に理論的に興味深いだけでなく、個々の概念を評価・改良・構築する際の参照軸にもなりうるという点で実践的にも重要です。今回の研究では理論編に取り組みます。
今回の研究課題は、「概念の改良を支えるメカニズムとはどのようなものか」という問いに対して、「推論主義的アプローチ」という立場を打ち出すことです。
推論主義とは、概念に関するひとつの理論で、ある概念の意味を、それが他の諸概念とどのようなネットワークを形成しているかという観点から説明するものです。推論主義は、「正しさ」や「責任」といった実体のない抽象的な概念の説明においてとりわけ効果を発揮します。しかしながら、推論主義は、概念の改良のような「ダイナミック」な現象を説明するのには適していない、と言われることがあります。今回の研究では、推論主義に対するこうした否定的な評価を覆し、推論主義の立場から概念の改良をうまく説明できることを示したいと考えています。
本研究で私が採用する方法論は、ウィルフリッド・セラーズ(1912-1989)という哲学者の1950-70年代の仕事に着目し、それをさらに発展させる、というものです。セラーズは推論主義の先駆者として知られていますが、セラーズが概念の改良のようなダイナミックな現象も視野に入れていたことはあまり知られていません。私は、セラーズの議論を批判的に継承することで、推論主義に対する従来の否定的評価を覆すことができるだろう、と考えています。こうした試みは世界でまだ誰も行っていないため、国際的に大きなインパクトを与える可能性があります。
私はこの研究課題にすでに部分的に取りかかっており、その成果を2019年4月にウィーン大学で開かれるワークショップ “The Social Institution of Norms: A Workshop with Robert Brandom” で発表することがすでに決定しています。このワークショップは、同大学で行われるロバート・ブランダム教授の「ブレンターノ講演」という名誉ある講演に付随して開かれるもので、世界的に注目度が高くなることが予想されます。このような舞台で発表できるということは、自分の存在や研究を世界にアピールするまたとないチャンスだと捉えています。
しかし、このワークショップで発表するにあたって、渡航費・滞在費・英文校閲費などを合わせると30万円ほどの費用がかかる見通しです。現在米国に滞在中で、3月に日本に帰国予定の私は、帰国後の収入の見込みがなく、このままでは全日程参加するのは難しい状況です。そこで、今回の渡航費・滞在費・英文校正費などをご支援いただけないかと思い、クラウドファンディングに挑戦することを決めました。
本研究は「現代において哲学に何ができるのか」という問いに答えるという私の大きなプロジェクトの重要な一部をなしています。ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
時期 | 計画 |
---|---|
2019年2月 | クラウドファンディング挑戦 |
2019年3月 | 日本に帰国 |
2019年3月 | 発表原稿・発表資料の作成 |
2019年4月8-10日 | ウィーン大学で開催されるワークショップ “The Social Institution of Norms: A Workshop with Robert Brandom” にて、 “Inferentialism and Conceptual Engineering: A Sellarsian Approach” の発表 |
2019年5月以降 | 発表時のフィードバックを踏まえて原稿を改訂し、海外ジャーナルに投稿 |
英文要旨(約1500語)とその日本語訳をPDF形式でお送りします。応援よろしくお願いいたします!
英文要旨(約1500語)とその日本語訳(PDF)
43人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
4月のワークショップ “The Social Institution of Norms: A Workshop with Robert Brandom” にて発表をする際、謝辞にお名前を掲載させていただきます。当日使用した資料は、ワークショップ終了後、サポーターの皆様にお送りいたします。
ワークショップ発表資料の謝辞にお名前掲載 / 英文要旨(約1500語)とその日本語訳(PDF)
12人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
5,000円のリターンに加えて、哲学カフェにご招待いたします。ワークショップの報告や私の研究の紹介を行います。場所は東京都内、日にちは、6月16日(日)を予定しています(※やむをえない事情により日にちを変更する可能性があります)。
(プランA)哲学カフェ参加権 / ワークショップ発表資料の謝辞にお名前掲載 / 英文要旨(約1500語)とその日本語訳(PDF)
19人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究成果を論文として発表する際の謝辞にお名前を掲載させていただきます。人文系の論文は賞味期限が比較的長いので、うまくいけば長く読まれる可能性があります。(※研究成果をまとめられるよう努力いたしますが、論文の掲載に至らない可能性もあること、ご承知おきいただけますと幸いです。)
(プランB)論文謝辞にお名前掲載 / ワークショップ発表資料の謝辞にお名前掲載 / 英文要旨(約1500語)とその日本語訳(PDF)
8人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
10,000円のリターン(A)に加えて、ロバート・ブランダム氏とのワークショップでのエピソードも交えながら彼の『推論主義序説』(春秋社、2016年)序論の一部を一緒に読む会をSkypeで行いたいと思います。日にちは2019年6月15日(土)を予定しています(※やむをえない事情により日にちを変更する可能性があります)。
ロバート・ブランダム『推論主義序説』読書会参加権 / (プランA)哲学カフェ参加権 / ワークショップ発表資料の謝辞にお名前掲載 / 英文要旨(約1500語)とその日本語訳(PDF)
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
10,000円のリターン(B)に加えて、ロバート・ブランダム氏とのワークショップでのエピソードも交えながら彼の『推論主義序説』(春秋社、2016年)序論の一部を一緒に読む会をSkypeで行いたいと思います。日にちは2019年6月15日(土)を予定しています(※やむをえない事情により日にちを変更する可能性があります)。
ロバート・ブランダム『推論主義序説』読書会参加権 / (プランB)論文謝辞にお名前掲載 / ワークショップ発表資料の謝辞にお名前掲載 / 英文要旨(約1500語)とその日本語訳(PDF)
1人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
30,000円のリターン(A)に加えて、「概念工学」とは何か、そこにはどのような可能性があるのか等に関する入門講義を行います。簡単な資料も用意します。東京都内あるいはSkypeで行います(参加者の都合に合わせます)。日にちは2019年6月16日(日)を予定しています(※やむをえない事情により日にちを変更する可能性があります)。
「概念工学」入門講義参加権 / ロバート・ブランダム『推論主義序説』読書会参加権 / (プランA)哲学カフェ参加権 / ワークショップ発表資料の謝辞にお名前掲載 / 英文要旨(約1500語)とその日本語訳(PDF)
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
30,000円のリターン(B)に加えて、「概念工学」とは何か、そこにはどのような可能性があるのか等に関する入門講義を行います。簡単な資料も用意します。東京都内あるいはSkypeで行います(参加者の都合に合わせます)。日にちは2019年6月16日(日)を予定しています(※やむをえない事情により日にちを変更する可能性があります)。
「概念工学」入門講義参加権 / ロバート・ブランダム『推論主義序説』読書会参加権 / (プランB)論文謝辞にお名前掲載 / ワークショップ発表資料の謝辞にお名前掲載 / 英文要旨(約1500語)とその日本語訳(PDF)
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
50,000円のリターン(A)に加えて、Skypeでマンツーマンのディスカッションをさせていただきます。
ディスカッションチケット / 「概念工学」入門講義参加権 / ロバート・ブランダム『推論主義序説』読書会参加権 / (プランA)哲学カフェ参加権 / ワークショップ発表資料の謝辞にお名前掲載 / 英文要旨(約1500語)とその日本語訳(PDF)
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
50,000円のリターン(B)に加えて、Skypeでマンツーマンのディスカッションをさせていただきます。
ディスカッションチケット / 「概念工学」入門講義参加権 / ロバート・ブランダム『推論主義序説』読書会参加権 / (プランB)論文謝辞にお名前掲載 / ワークショップ発表資料の謝辞にお名前掲載 / 英文要旨(約1500語)とその日本語訳(PDF)
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。
英文要旨(約1500語)とその日本語訳(PDF)
43
人
が支援しています。
(数量制限なし)
ワークショップ発表資料の謝辞にお名前掲載 他
12
人
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(数量制限なし)
(プランA)哲学カフェ参加権 他
19
人
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(数量制限なし)
(プランB)論文謝辞にお名前掲載 他
8
人
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(数量制限なし)
(プランA)ロバート・ブランダム『推論主義序説』読書会参加権 他
0
人
が支援しています。
(数量制限なし)
(プランB)ロバート・ブランダム『推論主義序説』読書会参加権 他
1
人
が支援しています。
(数量制限なし)
(プランA)「概念工学」入門講義参加権 他
0
人
が支援しています。
(数量制限なし)
(プランB)「概念工学」入門講義参加権 他
0
人
が支援しています。
(数量制限なし)
(プランA)ディスカッションチケット 他
0
人
が支援しています。
(数量制限なし)
(プランB)ディスカッションチケット 他
0
人
が支援しています。
(数量制限なし)