またまた、前回の活動法億から随分と時間が経ってしまいました。ご支援いただいている方々、心苦しく思います。現在、仕込み作業を行っている仕事が佳境でして何かと多忙にしております。その仕込み作業が整い、対外的にお示しできる段階になりますと、多少、頻度よくご報告できることもあろうかと思いますので、なにとぞご容赦くださいませ。
さて、前回の続きで、今回は国家公務員は教員足りえるのか、ということについて、少し書かせていただきますね。
現実には、僕の在籍する京都大学経済研究所先端政策研究分析センターには、霞が関の各府省からの出向者が現時点で僕を含めて6名、在籍しております。そして、京都大学やそのほかの大学にも実務家として教員をやっている方々が、それこそ数多くいらっしゃいます。そしてそれらの方々は、僕も含めてですが、大学内の然るべき選考プロセスを経て、採用・着任しておりますので、答えはイエスです。
それでは、何が期待されているのか。
まずは、実務に根差した政策形成現場におけるこれまでの業務や活動実績が、大学における教育にも役立つということだと思います。例えば、僕は、来年から京都大学公共政策大学院において教員として授業を持たせていただく予定となっておりますが、その授業の中では、実務経験に根差した問題意識や課題を提示し、学生の皆様に考えていただくこうと思っております。公共政策大学院には、国家公務員、地方公務員、国際公務員など、公務員を目指す学生もそれなりにいらっしゃるため、実務経験に根差した問題意識や課題を教員と一緒になって考えることができる授業は、将来との関係性で役立つ面もそれなりにあろうかと思います。
また、実務に根差した国家公務員の中には、国内外の留学や政策研究を行う大学への社会人学生としての経験などを有しているものもあり、そもそも教育研究活動に携わったことのある教員もそれなりにおります。僕自身も、政策研究大学院大学の博士後期課程に社会人学生として在籍した経験があります(残念ながら、博士号取得とはならず、単位取得満期退学となってしまいました。。。)。このような人材は、大学における教育現場の実態と、政策形成を行う現場の双方を知っているため、お互いがどのような相互作用を及ぼし得るのかについての知見をそれぞれが持っております。少し一般化すれば、研究を進めるうえでのリサーチデザイン(研究の方向性)やリサーチクエスチョン(研究の仮説)は、あくまでも研究としての活動の一環であり、政策形成プロセスにおける政策の企画立案、実施、評価、改善などの政策のサイクルは政策実務の活動の一環であり、一見別物に見えますが、その根底にある、問題の背景や課題設定の根拠(アジェンダなど)は、共通する部分も多くありますし、僕はそのように研究と政策形成の実務の関係性を捉えております。その共通する部分と違う部分を自分なりに理解すると、双方の接続点が自分なりに見えてきますし、それぞれのフィールドで議論をした内容を、それぞれのフィールドにフィードバックをすることもできたりします。そして、今の世の中、社会経済が複雑化、多様化し、一つの問題や課題がほかの問題や課題と入り組んだ構造になっていることが多い中で、このような相互作用や関係性を構築すること自体が、教育研究、政策形成の双方によい効果をもたらす(いわゆる相乗効果がある)ことになることも多いと思います。
大きくは、この二つが国家公務員が教員として、実務家教員として、大学において役立つことにつながると思っておりますし、それは、今後さらに発展する可能性があるんだと考えております。無論、僕は、国家公務員が教員になることだけではなく、大学教員が政策実務の現場を経験する機会も増やしていくことが大切だと考えます。
とはいえ、国家公務員が教員になることや、教員が国家公務員を経験する機会は、まだまだ質・量ともに大したボリュームではありませんので、ますます、お互いの関係性が深化し、両側を経験した人材が多様に活躍できる仕組みや環境を如何に生み出していくかが重要だと考えています。
最後に、こんなに格好のいいことを言ってしまうと、自分にブーメランとして跳ね返ってくることももちろんあるわけで、それもきちんと考えないといけないですね。