いつも我々の研究をサポートしてくださり、誠にありがとうございます。
心より感謝申し上げます。
さて、本日、QuizKnock様のオンライン取材の記事が公開されました!
https://web.quizknock.com/quiz_researcher_interview
お忙しいなか、素敵な記事をご作成くださったあさぬま様、ならびに関係者の皆様には、改めて感謝申し上げます。
僕のとりとめのない話を丁寧に分かりやすくまとめてくださり、誠にありがとうございます。
取材当日、「早押しクイズの研究を初めてクイズ関係者の方々に話す」ということもあり、最初はめちゃくちゃ緊張していました。しかし、QuizKnockの皆様が気さくに話してくださり、気づけば緊張もほぐれていました。分析に関して鋭い議論をしていただいたことも嬉しかったです
(今後も適宜、議論させていただければ幸甚です。またお声がけいただけるように頑張ります!)。
思えば、この取材を機に、自分のやってきたことに自信がついたようにも感じます。
引き続き、頑張ってまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、取材記事での研究内容をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご笑覧ください
※ ただし「査読前」である点にはご留意ください
https://psyarxiv.com/tghax/
## ちなみに今回、「クイズの研究者」という二つ名を頂戴いたしましたが、クイズの研究(=このクラウドファンディングプロジェクト)を始めたのは今年5月からです。
普段はこんなことをしています。
https://sites.google.com/view/masaru-shirasuna/home/publications-works
▽人が環境に応じてうまくヒューリスティックを使っているのかを検証したり、
▽判断の正確さを高めるための低コストな介入策を検討したり、
▽判断に至るまでの過程をマウスカーソルの軌跡から分析したりしています。
実験室実験のほか、計算機シミュレーション(例えば、「1人で行っていた判断が『複数人』になった場合はどうなるか」など)を用いた理論的検証も行っています。
AIと認知科学の両方に興味がありますが、僕の専門は「認知科学」であり、AI研究者ではありません。
ただ、だからこそ、「AIすなわち『機械の知性』を通して、人らしい思考すなわち『人の知性』を見る」、そのようなアプローチをしていきたいと常々思っています。
## きょうのもんだい ######
Q. 着実な手順で解を求める「アルゴリズム」と対比されることもある、常に正確とは限らないが多くの場合にうまくいくような単純な判断方略・経験則の一種を何というでしょう
A. ヒューリスティック(heuristic)
【ひとこと】人は、AIと比べると計算処理能力や記憶容量に制約があります。そのような状況のもと、短時間かつ簡便な方法として用いられる判断方略が「ヒューリスティック」です。「代表性ヒューリスティック」「利用可能性ヒューリスティック」など様々なものがありますが、記事で紹介しているのは「再認ヒューリスティック(見知っている方を選ぶ)」あるいは「親近性ヒューリスティック(よりなじみ深い方を選ぶ)」です。実は「ヒューリスティック」は、元々はそれ専用の用語とかではなく、普通の英単語でした。TverskyとKahnemanという超有名人の一連の研究(1970s以降)で広く知られるようになりましたが、彼ら自身も「just of language」つまり「(人の直感的な判断を表現するうえで) heuristicという単語が一番しっくりきた」という理由で使い始めたそうです。
・なお以前、僕は株式会社リバネス様よりインタビューを受けたことがございますが、その記事の
『ヒューリスティックスに魅せられて認知心理学研究者の道へ』
というタイトルが気に入っています(ありがとうございます!)
https://r.lne.st/adopter/27195/
・こちらは宣伝で恐縮ですが、過去に僕はヒューリスティック研究の歴史について概説した論文を書いたことがあります。日本語で誰でも読めますので、ご興味があればご笑覧ください
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcss/29/3/29_2022.028/_article/-char/ja/
Q. 生成AIの普及に伴って注目されている、AIから望ましい出力を得るために、指示や命令を設計し最適化するスキルのことを何というでしょう
A. プロンプトエンジニアリング
【ひとこと】例えばChatGPTなどに、漠然と「認知科学について教えて」と問うのではなく、「あなたは認知科学の研究者です。意思決定研究におけるヒューリスティックの非合理的な側面と合理的な側面について、1970年代以降の先行研究を挙げながら、500字程度で教えてください」のように、役割を与えたり問いを具体化したりするのがよいとされています。
なお今回の記事で、ChatGPTに早押しクイズを解かせていましたが、その際には次のようなプロンプトを投げました(そのうえで、ChatGPTはあの回答でした):
---------------------
あなたは早押しクイズの回答者です。早押しクイズでは、他の回答者よりも早くボタンを押して、正答を導き出すことが求められます。
早押しクイズでは、問題文のどこかの時点で、回答を1つに絞り込むことができます。以下に、クイズの「問題文」と「正答」が書かれています。 それぞれ、問題文を最低限どこまで聞けば、正答を導き出すことができますか。教えてください。
---------------------
詳細は過去報告記事「生成AIにクイズを解かせてみた」もご笑覧ください(サポーター限定)
https://academist-cf.com/fanclubs/300/progresses/2930?lang=ja#documentBody
Q. 英語で「dizygotic twins」や「fraternal twins」といえば、一卵性双生児、二卵性双生児のどちらを指すでしょう
A. 二卵性双生児
【ひとこと】クイズ界の双子といえば東兄弟が有名ですが、実は僕も双子です。二卵性双生児です。双子の兄は研究者でもクイズ屋でもありませんが、クイズの話に乗ってくれたり論文をチェックしてくれたりします。ちなみに、クイズ大会の上位成績者を掲載している「新・一心精進」というページがあるのですが、2015年に双子の兄も載ったことがあります(第一回 最強のふたり。僕の先輩と一緒に出場しました。先輩にも感謝)!
http://www1.plala.or.jp/an/sq/result/res15.htm
さらには同年、僕も奇跡的に上位に入り、名前を載せていただいたことがあります(中央大学オープン2015)。
「双子が2人ともクイズ屋で、2人とも一心精進に載ったことがある」という東兄弟もすごいですが、「双子の一方はクイズ屋ではないのに、2人とも一心精進に載ったことがある」という僕らもすごくないですか(勝手な対抗心ごめんなさい)。
0 supporters back
(No quantity limit)
0 supporters back
(No quantity limit)
0 supporters back
(No quantity limit)