Challenge period
2024-03-01 - 2026-12-31
Final progress report
Thu, 14 Nov 2024 16:56:31 +0900
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Fri, 01 Mar 2024 10:00:00 +0900
はじめまして!
私はクラシック音楽から発展した、いわゆる現代音楽の作曲家です。現在は沖縄県立芸術大学に非常勤講師として勤務し、作曲と研究活動を行っています。作曲をするという事は、いわば温故知新です。過去の偉大な作品を研究し、そこから一歩理論を進めることで新しい音楽を生み出す活動と言えるでしょう。現在は琉球古典音楽を研究し、その特徴を取り入れた新しい音楽を作曲する活動を行っております。沖縄に移住しすでに20年近くたちます。もう沖縄は私の第二の故郷と呼べるかもしれません。その沖縄の伝統音楽を継承し、正当に発展させた音楽を作りたいと思っています。
沖縄の音楽を使用した新しい創作、それも現代音楽に留まらず創作民謡や新しいポップス音楽など、ジャンルを問わず創作が可能になるような作曲理論を構築したいと考えています。
琉球古典音楽は200曲近くが伝承され、親しまれています。しかし残念ながらその作曲理論は失われています。沖縄の旋律を使用した音楽は沢山ありますが、実は沖縄の音階を使用したメロディーに西洋のコード理論で和音をつけるというやり方で行われています。これは沖縄の音楽の作曲理論を基にしているというよりも、作曲家独自の勘と西洋音楽理論による音楽だと言えるでしょう。
実は沖縄の音楽には、和音という概念がありません。歌と三線で似通ったメロディーを少しずらして重ねる、ヘテロフォニーと呼ばれる技法で作曲されています。
沖縄音楽独自の作曲理論を解明し、それを広めることで、私の専門とする現代音楽だけではなく、様々なジャンルで新しい創作が可能になる事を願っています。
作曲家による音楽分析は、特定の1作品を対象に行われる事が多いため、まず複数の曲から抽出したデータを比較分析する手法の有用性を検証する所からスタートしました。
ベートーヴェンのピアノソナタを対象として比較分析を行い、その手法が有用である事を学内の論文誌にて発表しました。
琉球音楽とはジャンルが違うのではないかとお考えになる方もいるでしょう。しかし、楽譜を基に音の並べ方のルールを見出す場合、アプローチ方法は同じです。ベートーヴェンは大変有名で、研究もされつくしています。分析手法の有用性を検証する作曲家としては、むしろ最適と言っても良いでしょう。
昨年度、私は琉球古典音楽の各楽曲を比較し、旋律の冒頭、二段階の修飾、それらを排除して現れる骨組み、という要素に分類可能である事を発見し、学内の論文誌にて発表しました。
まずは対象となる全ての旋律から、骨組みを抽出し、比較分析を行います。
骨組みを作る方法が判明した後、二段階の修飾はどのように作られているのか、どのような法則で骨組みに付与されているのかを分析します。
その後に旋律の冒頭の比較分析を行い、旋律の冒頭はどのように作られているのか分析を行います。
現在は、対象とする楽曲の骨組みを全て抽出し終え、比較分析をした成果をまとめている段階です。
抽出した骨組みは、Ⅴ字型のような動きをするメロディーやW字型のような動きをするメロディーなど、折れ曲がりをしています。
まずは、それらのメロディーを折れ曲がりの画数に応じてv字型、h字型、w字型などに分類をし、比較しました。
その結果折れ曲がりの頂点となる音は、どの音でも良いのではなく、特定の音でしか折れ曲がりが行われない事を突き止めました。
また、単純にメロディーが上昇する際の上昇の仕方、下降の仕方の法則も収集し終えた段階です。
従って現段階で、旋律の骨組みの作曲方法はある程度判明したと言っても差し支えないでしょう。
この成果を音楽学部の研究誌に投稿し、次は一段階目の修飾のデータ採取と分類を行っていきます。
経済的な理由と広報としての理由があります。
まず経済的な理由についてですが、非常勤講師という仕事上、生活のために学校外で専門分野外の仕事にも従事する必要があり、研究時間が圧迫されているのが現状です。専門外の仕事の分量を少しでも減らし、研究時間を捻出したいというのが大きな理由です。
もう一つの大きな理由は、広報についてです。
この研究は、私の専門であるクラシック系の現代音楽作曲家が使用する事は稀だと考えます(もしかしたら私しかいないかもしれません)
むしろ、ポップスに代表されるような大衆音楽を作曲するために使用する方々が多い事でしょう。
従って、音楽大学関係者だけではなく、ポップミュージックのファンなど、あらゆる音楽ファンにこの研究を認知して頂く必要があります。
ちなみに、上で申し上げた通り私の専門はクラシックを母体とする現代音楽です。従って、西洋音楽の研究も私にとっては重要な研究です。活動報告では、琉球古典音楽研究の進捗だけではなく、西洋音楽に関する内容も報告していきたいと思います。
支援者の皆様とともに、琉球古典音楽が新しい形で、様々な音楽シーンで使われる環境を作ることができれば幸いです。
沖縄の三線の音楽は、今や全国的に愛好されていますが、理論的にアプローチする研究は希です。とりわけ、芸術的な音楽―「琉球古典音楽」の作曲技法の研究は、これまで誰も取り組んだことのない未開拓の分野です。音階やリズムの特徴を論じた研究はありますが、新しい音楽作品を作り出すための技法を論じた研究はありません。まさに野心的な試みと言えるでしょう。この研究の成果は新しい音楽作りに生かされるでしょう。実践的な研究に期待しています。
小野寺雅さんは、響キ前線やSui音蔵などのグループに参加しながら創作活動を続けている作曲家です。琉球古典音楽の研究に着手したのは5年ほど前からで、その成果は、既に2つの作品として結実しています。彼が今後も粘り強く研究を続けていくことは間違いありません。内容的にはまだ発展途上で、批判を受けることもあるかもしれませんが、有意な助言をしっかりと受け止め、必ず自らの志した研究を成就させてくれることでしょう。期待しています。
琉球古典音楽の作曲理論を見つけ出すことは、大きな意義があります。小野寺さんの目指している「新たな創作活動の広がり」というのはもちろんですが、演奏家にとっても自らの演奏する音楽が、どのように作られているのかを知ることは大変重要です。小野寺さんは学生時代から長い間沖縄で過ごし、沖縄の音楽をモチーフとした作曲・編曲作品を多く発表しています。その彼ならではの視点での分析的研究を通じ、沖縄の音楽がますます発展することを期待し、推薦いたします。
琉球古典音楽は、様々な研究がおこなわれていますが、それを模倣した作品を書くための理論は確立していません。小野寺さんは沖縄をテーマとした音楽作品も多数手がけてきた作曲家ですが、楽曲分析に関する論文も複数発表しています。彼の研究は、琉球古典音楽だけではなく組踊や民謡など、琉球・沖縄の芸能における曲想や創作方法に迫る、興味深い内容です。
作曲家の視点から琉球古典音楽を見つめ、作曲理論を見出す事を期待し、この研究を推薦したいと思います
Date | Plans |
---|---|
2024年3月 | 月額型支援クラウドファンディング開始 |
2024年3月~ | 一段階目の修飾音のデータ収集と分析 |
2024年12月 | 一段階目の修飾音に関する論文を投稿 |
2024年12月~ | 二段階目の修飾音の収集と分類 |
2025年12月 | 二段階目の修飾音の分類結果を論文にまとめ投稿 |
2025年12月~ | 二段階目の修飾音の作曲ルール分析 |
2026年12月 | 二段階目の修飾音の作曲法則を論文にまとめ投稿 |
2026年12月~ | 旋律の冒頭の収集と分類、及び作曲法分析 |
2027年12月 | 旋律の冒頭の作曲ルールを論文にまとめ投稿 |
2027年12月 | 月額型支援クラウドファンディング終了予定 |
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