Challenge period
2022-11-01 - 2026-03-31
Final progress report
Sun, 09 Feb 2025 19:16:47 +0900
Progresses
27 times
Supporters
10 people
Elapsed time
Tue, 01 Nov 2022 10:00:00 +0900
こんにちは、野村佳祐です。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。
【近況報告】
近況としては大きく変わらず、第一に取り組んでいるのは論文執筆と不足するデータ収集のための実験です。研究者としての業績を測るものは、第一に論文です。ホームランを狙う野望だけでなく、確実に論文を書いてヒットを積み重ねることも大事です。ヒットを重ねれば、どれくらいの力(データ)を込めてスイング(投稿)すればホームランになるか(トップジャーナル)になるか、見えてくるものだと思います。
【研究者は、研究するだけでいいのか?】
一方で、論文を書くだけで世界は変わりません。
現状、健康に関わる腸内細菌の働きを解明されても、その成果が社会に還元されるには、いささか時間がかかり過ぎです。
例えば、腸内細菌叢が人によって異なることは少なくとも20年前の2005年には科学界では既に常識となっていて(Eckburg et al., Sci. 2005)、腸内細菌の代謝産物の一つである短鎖脂肪酸(SCFA: Short Chain Fatty Acid)については、健康との関連について少なくとも1989年から2025年現在に至るまで少なくとも2,730件論文が出ています(医学・生命科学系の論文データベース・Pubmedで「SCFA health」と検索した場合)。
腸内細菌の作る短鎖脂肪酸が免疫、脂肪燃焼、持久力向上、筋力向上…etc.様々な健康機能に繋がることは、科学界では長らく常識です。しかし、多くの一般の方々が腸内細菌と健康について連想するのは、現状「便通改善」くらいでしょう。
しかし、日本ではようやく、2010年代後半から、個々の腸内細菌叢分析に基づいて食生活をアドバイスするサービス(サイキンソー『Mykinso』)が始まり、2023年にようやく、個々人の腸内細菌を調べて短鎖脂肪酸を産生させるために最適なグラノーラを届けるサービス(カルビー『Body granola』)が開始しました。
腸内細菌の話に限らず、科学的に健康を維持・増進する方法は山ほどあるのに、その知識は一般人の生活に浸透していません。不摂生な生活をして病気になっても、国民皆保険によって医療費負担が少ない日本では治療を受けて延命できる可能性は高いです。
でも、「健康を害してから治療する」という考え方だけの社会は健全でしょうか?
気づいたときには末期ガンということもあります。普段から免疫を強く保っていれば…。
動脈硬化により心筋梗塞が起こり突然亡くなることもあります。脂質をため込まない生活をしていれば…。
筋力が衰えたことで転んで、頭を打って突然意識不明になることもあります。筋力を維持していれば…。
医療は最後の防波堤として重要ですが、前触れもなく突然亡くなるリスクがある以上、医療がいくら発達しても救えない命が出てきます。なのにどうして、そもそも「健康を害させない」事、そして「より強い体」を平常時から目指す事に、どうして人々は向かっていけないのか…。
これには、人々の考え方から変え、生活様式を変える事、腸内細菌で言えば、「個々人が持つ様々な腸内細菌の健康機能をフル活用する食生活」という文化形成が必要です。
【新たな腸内細菌ベンチャーを目指す同世代の研究者に会ってみた】
先日、academist Prize for DeepTechというイベントで、新たな腸内細菌ベンチャーを目指す東京科学大学博士3年の千葉のどかさんという方とお話ができました。
まさに、上記に書いたように、腸内細菌の機能を活用した健康的な食生活の実現に向け、今までにないほど科学的知見を「網羅的に」活かして、かつ、今までにないほど「手軽な」サービスを作って普及させようとしている方です。(詳しくは千葉さんのプロジェクトページをご覧ください:https://academist-cf.com/projects/371?lang=ja)
同世代で果敢に、社会を変革しようとベンチャーに挑む姿は、とても励みになりました。私も微々たる額ですが支援させて頂きました。この記事をご覧になっている方々にも、ぜひ応援してほしいです。
健康に役立つ知見を最先端で生み出す科学者側から消費者側にアプローチする事が、真に人々の健康寿命を延伸させる事に繋がると、僕は信じていますし、将来的に僕も科学・社会双方に貢献できる存在になれるよう、努力を続けたいと思います。