Challenge period
2022-11-01 - 2026-03-31
Final progress report
Sat, 19 Oct 2024 09:02:56 +0900
Progresses
24 times
Supporters
8 people
Elapsed time
Tue, 01 Nov 2022 10:00:00 +0900
こんにちは、野村佳祐です。
久々の活動報告となります。
私の近況としては、実験は行いつつ、かなりの時間を割いて学振特別研究員DC2(早く「特別」じゃなくて「一般」とよべるほど拡充されればいいなと思ってます)の申請書を必死に書いているというのが現状です。
JST次世代から頂いている生活費と民間から得ている奨学金で十分生活できていますが、DC2に採択されれば、以下のようなメリットがあると考え、今年は応募しようとしています。
① 使用できる研究費が、年額で最大50万円増える(JST次世代:50万円/年 DC2: 最大150万円
② 博士2年次にDC2に採択されると、博士3年次には月200,000円、ポスドク1年目の給与を得る事ができ、ポスドク1年は学振PDと同じ扱いを受け、給与が月362,000円に増える
③ 学振に採用されると箔?がついて、アカデミアで優遇されやすい?という噂
④ 申請書を書く経験は、将来科研費を申請する際に役立つ
やるだけやってみますが、学振に落ちたとしても意に介さず、「まだ人類には早すぎた研究だったんだなあ」と思ってやっていこうと思っています。大事なのは論文です。
この2か月であった面白い事のハイライトとしては3月に、腸内細菌ベンチャー・メタジェン、およびその代表を務める慶応義塾大学特任教授・福田真嗣先生の研究室を見学させて頂きました。
福田先生(https://researchmap.jp/shinji_fukuda)
は、おそらく腸内細菌分野の国内研究者では知らない人はいないほどの有名人で、糞便中の腸内細菌集団のオミクス解析(細菌叢、遺伝子発現、代謝産物の全体情報(オーム:ome)をメタデータとして取得して調べる手法)を軸とした研究のエキスパートで、これまで130本を超える論文に携わっています。
また、2015年には腸内細菌を用いて「病気ゼロの健康社会」を目指す慶応大発のベンチャー「メタジェン」を創業し、研究成果を食・医療の分野へ社会実装を推進しています。特に、2023年にはカルビー(株)と共同で、個々人の腸内細菌叢検査に基づいて、個々人に合った食物繊維を配合したグラノーラ「Body Granola」のサービスを開発しています。
研究者かつ経営者として、テレビなどでコメンテーターとして呼ばれる事もあるので、一度目にした人もいるかもしれません。
福田先生とはスポーツ腸内細菌ベンチャーのaubの研究会でお会いしたり、幣研究室のOGが福田先生の研究室に所属している、という経緯があり、ぜひ一度お話したいと考えて、山形県にあるラボまで足を運びました。今回、つくばから山形県に来てくれた、と丁寧に案内をして頂けて嬉しかったです。
福田先生からは、
個々人が持つ腸内細菌叢は、遺伝的な近さよりも生活習慣が近い方が似たような細菌叢をもつ話や、
(例:別居している兄弟よりも同居している夫婦の方が近い細菌叢を持つ)
ガン患者の腸内環境の特徴と、がんの治療薬である免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果の関連を見出し、糞便移植と組み合わせて薬を処方する事で、薬の効果の個人差を減らす(奏効率を上げる)話
など、研究の面で面白い話をたくさん聞く事ができ、また研究成果を社会実装する事の面白さや難しさ、ベンチャー経営の考え方についても様々なお話を伺う事ができました。
また、私が現在行っている腸管モデルを用いて研究についても紹介させて頂き、腸内細菌の腸管定着をより詳細に研究できるツールとして面白いと言って頂けて嬉しかったです。個人的には、現在の腸内細菌研究の本流である、糞便のオミクス解析の権威である福田先生から、腸管モデルを用いた個々の腸内細菌の定着メカニズムの詳細な解析について評価を頂けた事はとても自信になりました。