

挑戦期間
2022/11/01 - 2027/10/31
最終活動報告
2026/03/02 12:45:37
活動報告
71回
サポーター
35人
経過時間
2022/11/01 10:00:00

これから寄付募集のアクションリサーチを生成AIを交えて様々な組織に進めていただくにあたり、生成AIをどう使うと(寄付募集以外の多様な)タスクの質や効率を高めるのか?という問いについて軽く調べてみました。
最新の複数の研究では、AIがもたらす恩恵は一律ではなく、「タスクの性質」「個人の能力」「利用環境」によって、天と地ほどの差が生まれるようです。
まず、AIが最も輝くのは「個人の執筆業務」だそうです。
(私もこの記事を書くのに使ってみています)
MITの研究によると、プレスリリースの作成やレポート執筆などの専門職タスクにおいて、ChatGPTは作業時間を40%短縮させ、成果物の質を18%向上させました(!)。
ここで特筆すべきは、「能力の低い人ほど恩恵が大きい」という格差是正の効果です。
AIがスキルの不足を補う「強力な補助輪」として機能し、労働者間のパフォーマンス格差を半分以上も縮小させました。
しかし、業務が「経営判断」のような複雑な課題に移行すると、景色は一変します。
ケニアの起業家を対象とした実験では、AIは能力の高い層の業績を20%向上させた一方で、低い層の業績を10%悪化させるという「格差の拡大」を引き起こしました。
この原因はAIの回答精度ではなく、利用者の「タスク選択」にありました。
業績の低い層は、倒産危機や激しい競争といった、AIでも解決が困難な極めて厳しい課題について助言を求める傾向があり、その結果、実行コストが嵩んだり、不適切な解決策を強行したりして状況を悪化させたのです。
さらに、意外な「AIの落とし穴」が見つかったのが「チームでのアイデア出し」です。
ブリガムヤング大学の研究では、ChatGPTを使ったチームよりも、付箋とマーカーを使ったアナログなチームの方が、2倍以上の数のアイデアを生み出しました。
AIを使うチームは、AIが即座に生成する大量の回答を読み、議論することに時間を奪われ、自ら考え、記録するという「能動的な思考」が停滞してしまったのです。
これらの研究から学べる教訓は明確です。
生成AIは、明確に定義されたタスクや、個人の基礎能力を補完する場面では圧倒的な力を発揮します。
しかし、複雑すぎる現実の課題や、チームの独創性が求められる場面では、かえって人間の思考を奪い、判断を誤らせるリスクがあるということです。
今回、アクションリサーチには複数人で参加くださる団体もありますので、チームの独創性をAIが奪わないように配慮したいと思います。
このような文献と実際の活動から、生成AIを寄付募集アクションリサーチの中でどう使うのが良いのか、団体の方々とともに探求していきたいと思います。
<参考文献>
Bunn, B. J., Howell, B. F., & Wright, G. (2025). Understanding ChatGPT’s impact on student-team ideation outcomes for new product development. Proceedings of the Design Society, 5, 3281–3289. https://doi.org/10.1017/pds.2025.10342,,
Noy, S., & Zhang, W. (2023). Experimental evidence on the productivity effects of generative artificial intelligence. Science, 381(6654), 187–192. https://doi.org/10.1126/science.adh2586,
Otis, N. G., Clarke, R., Delecourt, S., Holtz, D., & Koning, R. (2023). The uneven impact of generative AI on entrepreneurial performance (Working Paper No. 24-042). Harvard Business School. https://www.hbs.edu/ris/Publication%20Files/24-042_9ebd2f26-e292-404c-b858-3e883f0e11c0.pdf