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Kenjiro Kawaguchi

千葉大学、博士課程3年

Challenge period

2022-11-01 - 2023-08-31

Final progress report

Sun, 20 Aug 2023 22:37:07 +0900

Progresses

14 times

Supporters

18 people

Elapsed time

Tue, 01 Nov 2022 10:00:00 +0900

Profile

Kenjiro Kawaguchi

私は、外来で勤務する内科医でもあり、高血圧患者でもあります。薬をよく飲み忘れ、業界でいう「アドヒアランスの悪い患者」の典型例です。医師として病気の予防の重要性を理解している一方で、患者として健康行動を意識して生活する難しさも実感しています。

環境にアプローチする魅力は、健康への意識が要らなくなることです。日常生活の中で、健康以外に考えるべきことは数多くあります。健康を日々意識する必要がなくなれば、私たちはもっと有意義なことに時間が費やせるようになり、より豊かな人生を送ることができるのではないでしょうか?

What do you want to achieve through your research?

私は、「暮らすだけで自然と健康になる環境づくり」を目指します。

健康は、個人のライフスタイルの問題として捉えられがちです。特に、生活習慣病と呼ばれる病気に関しては、「本人の自己責任」という行き過ぎた意見を耳にすることもあります。しかし、個人を取り巻く環境も、健康を考える上で非常に重要な要素です。実際、個人の健康を決定する要因の30–50%は、社会的要因、すなわち、生まれた家庭や住む場所、教育歴、所得などが占める、ということがわかってきました。

健康が誰にとっても大切であることに疑問の余地はありません。一方で、私たちは健康のために生きている訳でもありません。もし、「暮らすだけで自然と健康になる環境」が実現すれば、個人の頑張りによらなくても病気を予防し、健康を維持・増進することが可能になります。そのような社会の基盤となる環境づくりに貢献したいと私は考えています。

What kind of process are you trying to achieve?

私は、環境の中でも建造環境に着目します。建造環境とは、建物や道路など、人工的に造られた物理的な環境を指します。

最近の研究により、様々な建造環境が人々の健康に影響を及ぼすことがわかってきました。例えば、緑が多い地域に暮らす高齢者でうつが少ない、歩道の多い地域で認知症発症が少ない、といった報告があります。一方で、国や地域によって都市構造や社会・文化的背景が異なることから、建造環境と健康の関係もさまざまだと考えられ、日本における知見を蓄積する必要があります。

私は、さまざまなデータを活用して、「健康にとって望ましい建造環境とは何か」、「どのような建造環境が健康のどのような側面に影響を及ぼすのか」を明らかにします。

究極的には、研究を通じて得られた知見をもとに、「暮らすだけで健康になるまちづくり」に取り組みたいと思います。人口減少に直面する日本では、住まいと都市機能を中心市街地に集約する都市再生が推進されており、私は、都市再生に「健康」という視点を提供したいと考えています。

What research topics are you currently working on?

実際にいくつかの建造環境について、健康への影響を分析しています。例えば、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に入居する高齢者を対象に調査を行い、調査データを用いてサ高住の介護予防効果を推定しました。その成果を先日、学会で発表しました。

今後は、住宅、歩きやすい環境(ウォーカビリティ)、サードプレイス(自宅・職場以外の居心地の良い場所)といった環境が、私たちの健康にどのような影響を与えているかを分析する予定で、現在は、データの収集や分析計画の立案に着手しています。

また、私が取り組む研究では、健康を多面的・包括的に捉えたいと考えています。健康は、世界保健機関(WHO)によると、「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態」と定義されます。私が取り組む研究においても、身体的な健康に限らず、心理的側面や社会的側面にも着目して、建造環境の影響を分析していく予定です。

Why are you challenging Academist?

まちづくり、環境づくりは研究者単独で実践できる訳はなく、様々なステークホルダーと協働して初めて実現可能なプロジェクトです。駆け出しの研究者が市民や企業、自治体と接点をもつ機会は限られますが、クラウドファンデイングやacademist での発信を通じて、ステークホルダーと繋がるきっかけになると考えました。また、関心領域の近い他分野の若手研究者と交流する機会にもなることを期待しています。

ご支援は、業務効率化に役立つサービスやツールの導入に活用したいと思います。取り組む課題は非常に多いのですが、一方で雑務も多く、データ解析等に十分な時間を割くことができません。研究の成果をより速く、より多くお届けできるよう、支援金は有効に活用させていただきます。

Recommender Comment

近藤克則
千葉大学予防医学センター教授

挑戦者の研究は、医学や健康科学にとどまらず、人文社会学を含んだ知の統合が必要であり、また、社会実装においては分野横断的な連携を必要とする、壮大なテーマです。そして、今後の日本において、確実に求められる領域です。
挑戦者は、博士課程在籍2年半の間に、既に多数の学会発表、論文出版を実現しており、研究遂行能力は申し分なく、成果を社会へ還元し得ると確信しています。どうぞ応援のほどよろしくお願いします。

井手一茂
千葉大学予防医学センター特任助教

河口さんとは博士課程の同窓生かつ現職場における頼もしい仲間です。
住み慣れた地域で自分らしく暮らし続ける、そのために必要な研究や社会実装に興味を持ち、
これまでにない新たな視座で道を切り開く新進気鋭のアカデミストです。
彼の実直な思い、アカデミストとしての矜持を知れば知るほど応援しないわけにはいきません。
社会疫学の新時代を切り拓こうとする河口さんを1人の仲間として応援します!!

Project timeline

Date Plans
2022年11月〜2023年4月 ウォーカビリティに関する分析
2023年2月〜2023年8月 サードプレイスに関する分析
2023年5月〜2023年10月 住環境に関する分析

Pledge Rewards

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