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終了 一生のパートナーロボットを実現させる

月額支援型

中川 聡

東京大学、博士後期課程

挑戦期間

2021/11/11 - 2024/03/31

最終活動報告

2024/03/30 11:36:10

活動報告

33回

サポーター

8人

経過時間

2021/11/11 10:00:00

【活動進捗報告】博士課程修了と今後の研究活動

3月23日に修了式を行いました。
2月と3月の活動についてご報告いたします。

博士審査後、論文の冊子化やお世話になった先生方への挨拶を行いましたが、最も重要なタスクは特許申請でした。今回、共同研究をしてきた企業の方からのご提案により、私たちが独自開発した共感的対話システムの特許を共同で出願することにしました。研究者にとって特許は論文と同程度、またはそれ以上に重要なものであり、特許申請に取り組むことは非常に大切なことだと考えられています。というのも、自分の研究成果を守ることができるだけでなく、新しい技術や製品の開発につながり、産学連携の観点からも重要な役割を果たすためです。大学も、研究者が独自開発した技術を用いて起業することを推進しており、そのためのサポートも充実しています。今回の特許出願では、東京大学の100%子会社である東京大学TLOという団体の協力のもと、手続きを進めています。

特許を申請する際には、まず東京大学に発明届を提出する必要があります。その際、共同出願者の発明寄与率や、先行研究との違いなどをまとめる必要があります。発明寄与率というのは、特許出願において、複数の発明者がいる場合に、各発明者が発明に対してどの程度の貢献をしたかを表す指標です。関係者全員の合意が得られるように、100%を共同発明者で分け合います。決め方としては、開発したシステムの着想に対する貢献(アイデアや知識を提供した)や、発明したシステムの技術に対する貢献(実際に作り上げる時に技術を提供した)などを基にします。発明者間で合意が得られない場合は、特許庁が調停することもあり、なかなかすぐに決められないようです。私もこのデリケートな部分に関しては頭を悩ませましたが、研究従事者全員の役割を客観的に振り返りながら寄与率を見積もり、無事に全員の合意に至ることができました。
次は、知財調査です。特許を出願する前に、同様のアイデアや特許が既に存在しないかを確認します。これは、類似する研究や過去の発明物との差異を説明できない場合は特許を得ることができないからです。私の発明の場合は、カウンセリングシステムや共感的対話システムなどに関する発明物を調査する必要がありました。大半を共同研究者の力を借りながら、類似する発明物を列挙しましたが、やはりかなり近い発明物が見つかったため、改めて自分たちが開発した対話システムの新規性(過去の発明との相違点)を見つけ出しました。
ここまでが特許出願に必要な前処理です。ここから、一般的には実際に特許申請を行うのですが、私の場合はその前にもう一つ手続きを行いました。それはライセンス契約です。これまでの研究活動では、ご高齢の方やメンタルヘルスが不調な人たちの助けとなるロボット対話システムを開発してきましたが、将来的にはそのシステムを使ったビジネスを始めることも考えております。特許申請をしたシステムをビジネスに活用する場合、共同出願をした企業との間で、対話システムを使用するための契約を結ぶ必要があります。このプロセスも通常は関係者同士の合意に至るのが難しいと言われていますが、ありがたいことに、企業の方の許可をいただくことができました。そのため、いよいよ特許申請のステップへと移ります。

特許申請自体は誰にでも可能ですが、専門知識を必要とすることから、弁理士に依頼するのが一般的です。特許申請には15万円〜20万円がかかりますが、ここに弁理士への依頼料(30万円前後)も追加されます。また、特許は一度出すと永続するわけではなく、毎年維持費を支払う必要があります。そのため、一つの特許を出すためには60万円程度かかると言われており、なかなか容易には手を出せないのが現状です。しかし研究活動の広報や発展のためには、やはり特許取得に向けて全力を尽くしたいと考えております。
公開・発表済の発明は特許申請ができなくなるため、発明内容はできるだけ秘密にしておく必要があります。そのため、東京大学に依頼して、私の博士論文の公開を先延ばししていただく処置をとっていただきました。しばらくは博士論文に記載した内容を論文化したり、国際、国内学会で発表したりすることはできません。そのため、来年度からは新たに研究を進め、成果をアウトプットしつづけられるよう努めたいと思っています。

ご報告が遅れましたが、来年度は東京大学の特任助教として、引き続き高齢者や精神的健康に不調を抱える人たちのQOL向上を目指した研究に取り組む予定です。これからは、学生としてではなく指導する立場として、知識を補強するだけでなくそれを教授できるようになることを目指します。
来年度も引き続き、アカデミストで研究活動に関する報告を続けてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。サポーターの方からのコメントを基に、これからは報告頻度を増やすと同時に、私の研究活動だけでなく、その過程で得た知識などについても皆様にご紹介いたします。

拙筆ではございますが、以上が今月の活動報告と、来年度からのポジション変更のご報告です。
(写真は、現在は非公開となっている私の博士論文の一部です。アカデミストの方々のご支援が私の博士論文の作成と博士号取得に繋がったことから、謝辞にお礼の文章を書かせていただきました。日頃からのご支援に改めて厚くお礼申し上げます。これからも研究に邁進していきますので、よろしくお願い申し上げます。)

ren3xyue 2023/03/30 11:17:22
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