11月は論文書きました!国際誌に投稿予定ですが、ひとまずプレプリントで世に送り出したいと思ってます。内容は「物質文化の変遷をレジームシフトとして捉えてみた!」です。考古学は連続的変化に弱く、離散的変化に強い傾向があります。例えば、小中学校の歴史の授業で「縄文時代は縄文土器!弥生時代は石包丁と高床式倉庫!」なんて習いませんでしたか? 考古学は特定の遺物の出現によって時間を区切ることができるので離散的変化との相性が良いのです。
なので、特に日本考古学では段階的発達史観が今でも有効で、特に『威信財』が大好きな研究者が多いと思っています。しかしながらこうした段階的発達史観は1950~1970年代に構築されたもので最早古典なのです。現在では文化進化論や社会進化論には生態学や物理学等の他分野の理論を導入し、分析対象となる文化や社会といった系は「線形変化・非線形変化・連続変化・離散変化」の組み合わせであると考えられています。日本考古学はこうした世界的な研究潮流にほとんど興味がなく、ガラパゴス化が激しいと感じています。
こうした状況に対して、考古学特性としての離散的変化との相性の良さを残したまま新しい生態学理論を取り込み、これまでの段階的発達史観に代わる発達史観として「レジームシフト史観」を提示しました。
まぁ論文の話はともかく、他にもペンシルベニア大学が行った調査報告書を基にティカルにおける各種の財の出土量時系列データを整理しました。まだまだ先は長いのですが頑張っていきたいと思います。というのも、これまでデータ数が少な過ぎて財の社会不均衡分布を示す数式が安定せず、このまま研究を続けていいのか不安しかなかったのです。しかし11月の成果としてはデータ数を少し足したことで安定感が出てきたの
でようやく「先が見えた」気がします。
あとはこれまで分布式は手動でパラメータを設定していたのですが、再現性を確保するためにPythonでコードを作って自動で数式を推定するようにしました。こうした「遺物の分布」を示すグラフに対して再現性を確保するやり方は従来の考古学にはなかったものですので、一歩進んだかなと満足しています。
『今後も応援よろしくお願いします!』

クラウドファンディング後の研究活動
2025/09/01 研究成果 Tikal - Reporte de Excavaciones No.2: “Artefactos en el Hotel Jungle Lodge”
2025/06/02 メディア掲載・講演など 埋蔵遺物量推定研究から物質文化システム論の構築へ ―考古学における統一的方法論の確立―
2025/04/01 研究成果 Tikal-Reporte de Excavaciones N0.1: “Grupos en 6H”
2024/04/01 研究成果 マヤ文明における「顔・身体付き道具」の社会分布
2024/04/01 研究成果 ティカルのうわさ vol.2
2023/04/01 資金調達 村田学術振興財団 研究助成
2023/04/01 資金調達 髙梨学術奨励基金 若手研究助成
2023/04/01 研究成果 ティカルのうわさ vol.1
2022/10/06 メディア掲載・講演など 未発掘マウンドの埋蔵遺物量の予測モデルの構築 - 古代国家ティカルにおける階層性と経済格差 -
2022/05/31 メディア掲載・講演など 2021年度調査速報 —ティカルの社会格差—
2022/04/01 資金調達 髙梨学術奨励基金 若手研究助成
2021/04/01 資金調達 JSPS科研費 特別研究員奨励費
2021/04/01 研究成果 マヤ文化 ―― 先古典期と古典期
2019/04/01 資金調達 JSPS科研費 研究活動スタート支援
2017/04/01 資金調達 共生の人文学プロジェクト
2015/04/01 資金調達 JSPS科研費 特別研究員奨励費
2014/04/01 資金調達 共生の人文学プロジェクト
2013/06/13 メディア掲載・講演など 考古学とは何か 古代日本と古代マヤの相違点とその魅力について