目標の80万円を達成いたしました。このたびは医療関係者のみならず関連した疾患に思い入れのある一般の方々からも多くのご支援と応援のお言葉をいただき、大変ありがとうございました。普段は大学や学会など狭い世界で仕事をしており、一般の方々と交流する場は非常に限られているため大変貴重な経験をさせていただきました。
今後残りの期間ではセカンドゴールとして100万円までを目標として、論文作成費用、2回の学会発表のための旅費に充てたいと考えております。今後とも応援の程、よろしくお願いします。
私はこれまで、およそ18年間を心臓外科医として過ごしてきました。心臓外科手術とは、心臓の弁膜症や冠動脈の異常(狭心症)に対して弁を治したりバイパス経路を作成したりすることで、患者さんの症状を取り除いたり、長生きできるようにする治療です。心臓手術は、一般的に心臓を止めて行うなど身体への負担(侵襲)が大変大きな手術であるため、手術が成功したとしても、術後に患者さんが日常生活に戻るのには時間がかかります。さらに、術後の合併症(心不全・感染症・脳梗塞・不整脈など)が生じた場合は、体力回復にいっそうの時間を要します。
術後の合併症のなかで頻度の高いものが「心房細動」という不整脈です。一般的には20~30%の頻度とされていますが、我々のデータでは、60歳以上の高齢者では50%の頻度で発生します。
術後心房細動を発症すると、脳梗塞など主要な合併症が有意に多くなることが報告されています。たとえば、心房細動では心臓の正常なペースメーカーが働かずに、電気信号が無秩序に心房から心室という部屋に伝わることで、脈が異常に早くなったり心臓の拍出が低下したりして心不全症状が起こります。また、心房が「ブルブル」振動するため血栓を生じやすく、脳梗塞のリスクとなります。そのため心房細動を発症すると、不整脈治療薬や血液をサラサラにする薬を服用し始めなくてはなりません。
この術後心房細動を減らすことができれば、心不全や脳梗塞を予防することができ、患者さんが早く退院できるようになるため、心房細動を効果的に抑える方法の研究が長年行われていますが、依然として解決にいたっていないのが現状です。私は、術後の心房細動は起こってしまってから対処するのでは遅く、手術の前からなんらかの予防を行い、術後も予防を継続することで、最終的に術後の心房細動を完全になくすことが重要であると考えています。
術後の心房細動を起こしやすい人はもともと心房機能になんらかの異常があるのではないかとの考えから、これまでに前段階の研究を行ってきました。所定の申請や同意をいただき、手術中に患者さんから心房の筋肉の一部を採取し調べたところ、脂肪酸(心臓のおもなエネルギー源)の細胞内での輸送にかかわる遺伝子の発現が、術後の心房細動の患者さんで低下していることがわかりました(2018年論文掲載:J Cardiology)。この結果をきっかけとして、脂肪酸代謝を改善する、副作用の少ないサプリメントの一種である「カルニチン」に注目しました。
カルニチンは体内でも肝臓や腎臓でつくられている微量成分ですが、体内のカルニチンは主に、赤身のお肉などの食事から摂取されています。侵襲により体力が消耗した状態や透析患者さんなどではカルニチンが欠乏しやすくなるとされていて、これらに対するカルニチン補充治療はすでに認められています。
心臓関連では、心筋梗塞後の不整脈や冠動脈バイパス後の心房細動がカルニチン投与で減少した、という論文が最近報告されました。一方、術後の心房細動の発生が特に多いとされている心臓弁膜症手術における心房細動の予防方法は現在もわかっておらず、課題として残っています。そこで今回のプロジェクトでは、手術前後のカルニチン内服が心臓弁膜症術後の心房細動を抑えることができるかを明らかにしたいと考えています。
今回のプロジェクトは日本胸部外科学会から助成金のサポートをいただき行う予定のものですが、保険適用外で使用するカルニチンの薬剤費が不足しているため、クラウドファンディングに挑戦することを決めました。目標額はその不足分として設定させていただきました。今回のクラウドファンディングをなんとか成功させて、早急に研究をスタートさせたいと考えています。
大学病院には、より先端的な医療と研究、そして医学生の教育という3つの役割があります。しかしながら、私たちは少ないスタッフで日々の手術などの病院診療を行いながら研究と教育を行っているのが実情で、時間的な制約が存在します。また、臨床研究は「自主的に」行うものがほとんどですがそれらをサポートする助成金として公的なものは非常に限られており、思うように研究がすすまないことが悩みのタネとなっています。今後はそのような中で少しでも研究の内容に賛同していただける方からのサポートにより、一歩を踏み出せずにある研究を前に進められれば大変ありがたいと思います。
なお本研究は、北海道大学病院、手稲渓仁会病院、北海道大野記念病院の共同研究として行う予定です。また、北海道大学病院では食道がんや肺がん術後の心房細動抑制効果も検討する予定です。
時期 | 計画 |
---|---|
2018年5月 | クラウドファンディングに挑戦 |
2018年7月 | 臨床研究認定審査委員会に申請 |
2018年10月 | 研究開始 |
2019年10月 | 胸部外科学会にて中間報告 |
2020年10月 | 胸部外科学会にて結果発表、論文作成開始 |
2021年4月 | 胸部外科学会雑誌への掲載目標 |
ご支援いただいた皆様に、お礼のメッセージをメールにてお送りいたします!
お礼のメッセージ(電子版)
21人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
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研究報告レポート(電子版) / お礼のメッセージ(電子版)
15人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
サイエンスカフェにご招待いたします。日程は、10月6日(土)または10月7日(日)@東京都内、2018年10月20日(土)@北海道大学の全2回開催を予定しています。研究の背景やこれまでの研究内容等について詳しくお話させていただきます!
サイエンスカフェ参加権 / 研究報告レポート(電子版) / お礼のメッセージ(電子版)
19人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
2019年10月及び2020年10月に開催が予定されている胸部外科学会の発表資料の謝辞に、お名前を掲載させていただきます。また、発表資料(電子版)を送付いたします。応援のほど、よろしくお願いいたします!
胸部外科学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / サイエンスカフェ参加権 / 研究報告レポート(電子版) / お礼のメッセージ(電子版)
6人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究の成果を発表する際の論文の謝辞にお名前を掲載させていただきます。 ※研究成果をまとめられるよう全力で努力しますが、論文の掲載に至らない可能性もございますこと、ご承知おきいただけますと幸いです。
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私たちの研究室をご案内いたします。日程は2018年10月20日(土)を予定しています。ツアーの後には、支援者の皆さまとの意見交換会も行いますので、なんでも聞いてください。
※現地までの交通費は支援金額には含まれません。
※当日参加できない場合には、skype等のビデオ通話でディスカッションをさせていただきます。
北海道大学研究室見学 / 論文謝辞にお名前掲載 / 胸部外科学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / サイエンスカフェ参加権 / 研究報告レポート(電子版) / お礼のメッセージ(電子版)
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