枝 美穂子
このプロジェクトへ目を向けてくださりありがとうございます!
私は九州大学芸術工学部音響設計学科にて「フルートの材質による演奏者実感と音響特性の差異に関する研究」というテーマで2019年に卒業論文を執筆し、現在は楽器メーカーにてフルートをはじめとする木管楽器(管楽器)の開発に従事しています。(2025/9時点)
この度、長年の夢であった博士号取得と本研究テーマのさらなる探究のため、2025年春より東京女子大学大学院博士後期課程にて、本業と両立しながらの社会人博士生活がスタートしました。
開発者、研究者、そしてフルートが大好きな一人のフルート吹きとして、長年の問いに答えを出せるよう頑張ります!
フルートの材質差が演奏者の知覚に与える影響のメカニズムを明らかにすることで、誰もが納得して自身の相棒となる楽器を選べる世界を実現したいと考えています。
フルートは金、銀、洋白、木など様々な材質のものがあり、材質によって音が異なることは奏者や製作者などにより経験的に指摘されています。
一方で、1971年のColtmanによる研究をはじめとする学術的研究では管壁の材質によって検知できるほどの音質の違いをもたらすことはないという結論に落ち着いており、未だ研究者と演奏家の間では認識のズレが生じているのが実情です。
私は高校生のときに吹奏楽部でフルートを演奏しながら楽器について調べていく中でこの認識のズレに疑問を持ち、もしこの謎が解明できれば、地方在住や初心者などの理由で購入時の試奏が難しい状況であっても一人ひとりが納得して自分に合った楽器を選べる世界がつくれるのではないかと考えるようになりました。
フルートの購入は決して安い買い物ではなく、人生のうちで何度も経験できるものではありません。だからこそ、未来のフルート吹きにとってこの経験をより豊かなものにするために、この研究を成し遂げたいです。
まず1つ目のステップとして、九州大学在籍時に30人規模のフルート演奏者を対象とした主観評価実験を行い、演奏者はプラシーボ効果などではなく実際に「吹奏感」や「音色」の違いを認知しているだろうということを明らかにしました。
上記の結果を踏まえ、この研究をさらに進めるにはヒトの認知に着目する必要があるだろうと考えた私は、本業と両立しながら、「ヒトの認知」の中でも「聞こえ」を主とした多感覚知覚に関する研究室に社会人博士学生として所属し、演奏者を研究対象とした実験を進めています。これにより、2つ目のステップである「音の違いを感じるメカニズムおよび材質間でどのような違いを感じているのか」の解明につながる研究成果を残したいと考えています。
そして、誰もが納得して自身の相棒となる楽器を選べる世界の実現につなげるため、得られた結果は論文や学会発表として国内外に公開するだけでなく、SNSなども活用しながら楽器ユーザー向けに発信することで、楽器購入の判断材料にできるような信頼できる情報ソースを提供したいと考えています。
「演奏」は、聴覚・触覚・視覚などさまざまな感覚器から多感覚的に知覚する行為です。今回のプロジェクトでは、材質による音色差をどのように認知しているのかを認知科学の観点から明らかにするため、演奏時に知覚する情報(手から伝わる振動や視覚情報、重量情報など)を制御して提示し、演奏を伴う実験を繰り返すことでそのメカニズムを解明したいと考えています。
現在は第1回演奏実験を進めており、予備実験を含め約20名のフルート奏者を対象に演奏時に知覚する音色について主観評価実験および演奏録音を行っています。
今回のクラウドファウンディングで支援をお願いする後続実験では、第1回演奏実験で得られた結果をもとに、演奏時に知覚する情報の制御条件を変更した場合に演奏者の知覚がどのように変化するのかを調査する予定です。
私は社会人であるが故に公的な研究費獲得の募集要件から外れてしまうことが多く、現在本研究の資金は大学の学生宛予算およびacademist Fanclubでのご支援を財源としています。現在進行中の実験に要する費用は上記から捻出できる見込みですが、2025年10月以降に予定している後続実験については現状資金源の目途が立っていないのが実情です。
そこで、ご支援いただく皆さまの応援の大きさ次第でパートナー企業の皆様からのご支援も併せて得ることができる「academist Prize 5th」へ興味を持ち、いただいたご支援をより強い力として研究資金に反映できることと、今回のプロジェクトへの採択が幅広い層への研究発信につながるのではないかという想いから、今回のチャレンジを決意しました。いただいた支援金については、後続実験参加者への謝礼および実験機材の購入に充てさせていただく予定です。
※現在academist Fanclubにてご支援いただいている皆様宛に、2025年9月2日付けで本ページ発足に際するご案内を活動報告にてお送りしております。支援検討の際はご一読いただけますと幸いです。
楽器の材質で音が変わるのは当然だと思われるでしょう。私自身、アマチュアのサックス吹きとしてそう信じていました。しかし、驚くべきことに物理的な音そのものが変化する科学的証拠は現状ではありません。とはいえ、単なる「勘違い」と片付けずにさらに追求していくとその背後には興味深いメカニズムがありそうです。彼女の研究は専門家からも大きな注目を集めており、このユニークな研究が進展すれば学問的にも社会的にも大きなインパクトがもたらされるでしょう。
私は、九州大学において、枝美穂子さんの卒業研究の指導にあたりました。私自身、学生時代に所属したオーケストラでは、マレットやヘッドによって打楽器の音色が大きく変わることを経験し、枝さんの楽器と演奏者の関係を探る研究には大きな期待を寄せています。音響学的にも、管楽器の材質は音の減衰、共鳴や音色に影響を与え、演奏者はその違いを様々な感覚系を通して知覚できるものと思われます。ぜひこの研究に興味を持っていただければ幸いです。
材質が異なると音色が変わるという体験をした音楽経験者は少なくないと思います。楽器を吹く行為は実に多感覚な体験で,調べるべき要因の多さが研究を難しくしています。同時に我々がまだ知らぬ知見が多く潜むことの示唆でもあり,本研究課題も多感覚体験を科学的に詳述するという学術的意義が大きいものです。企業に勤めながらの研究推進は並ならぬ努力が必要ですが,確かな実力と情熱を備えた枝さんならば,学術的・社会的にとても面白い成果を創出すると期待できます。
時期 | 計画 |
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2025年4月 | 博士後期課程入学(済) |
2025年8月 | 第1回演奏実験開始 |
2025年10月 | 後続実験開始(本プロジェクトの支援金使用開始) |
2026年3月 | 論文執筆・学会発表(随時) |
2028年3月 | 学位取得 |
メールでお礼のメッセージをお送りします。
このリターン実施は2025年11月を予定しています。
お礼のメッセージ
リターン | 実施予定日 |
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お礼のメッセージ | 2025年11月 |
3人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
academist Journalに寄稿する研究報告レポートにお名前を掲載します。
このリターン実施は2026年3月を予定しています。
研究報告レポートにお名前掲載 / お礼のメッセージ
リターン | 実施予定日 |
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研究報告レポートにお名前掲載 | 2026年03月 |
お礼のメッセージ | 2025年11月 |
3人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本プロジェクトご支援者の皆様へ向けたオンラインでの2025年度研究成果報告会(発表15分・質疑応答15分の計30分)にご招待します。このリターン実施は2026年3月を予定しています。
※日程は発表者の授業・学会等の予定を鑑みて決定の上、別途ご案内させていただきます。ご都合が合わない方へは当日の録画が期間限定で閲覧できるURLの送付に代えさせていただきます。
2025年度研究成果報告会(zoom)へのご招待 / お礼のメッセージ / 研究報告レポートにお名前掲載
リターン | 実施予定日 |
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2025年度研究成果報告会(zoom)へのご招待 | 2026年03月 |
お礼のメッセージ | 2025年11月 |
研究報告レポートにお名前掲載 | 2026年03月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
今回の研究が博士論文化した際に、謝辞を掲載いたします。
(博士論文は国立国会図書館および東京女子大学図書館に所蔵されるほか、東京女子大学学術情報リポジトリからオンラインでご確認いただけます。)
このリターン実施は2028年3月を予定しています。
論文謝辞にお名前掲載 / お礼のメッセージ / 研究報告レポートにお名前掲載 / 2025年度研究成果報告会(zoom)へのご招待
リターン | 実施予定日 |
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論文謝辞にお名前掲載 | 2028年03月 |
お礼のメッセージ | 2025年11月 |
研究報告レポートにお名前掲載 | 2026年03月 |
2025年度研究成果報告会(zoom)へのご招待 | 2026年03月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究および関連するテーマに関する出張講義を行います。具体的な内容や日程は個別にご相談いたします。
※宿泊費・交通費は別途いただきます。
このリターン実施は2025年11月以降を予定しています。
出張講義 / お礼のメッセージ / 研究報告レポートにお名前掲載 / 2025年度研究成果報告会(zoom)へのご招待 / 論文謝辞にお名前掲載
リターン | 実施予定日 |
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出張講義 | 2025年11月 |
お礼のメッセージ | 2025年11月 |
研究報告レポートにお名前掲載 | 2026年03月 |
2025年度研究成果報告会(zoom)へのご招待 | 2026年03月 |
論文謝辞にお名前掲載 | 2028年03月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
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