私が研究を通して成し遂げたいことは、「日本各地の歴史のあるものづくりのブランド価値を高め、海外に展開していくこと」です。
世界にある創業200年以上の企業2,129社のうち、なんと65%は日本企業です。そのうち42%は製造業であり、日本には、日本人ならではの感性や技術で脈々と受け継がれてきたものづくりがあります。しかし、その伝統的なものづくりは、この20年で3分の1にまで減少し、事業をたたむ企業があとを絶えません。
日本の歴史あるものづくり企業には、職人の技がつまった素晴らしいものがあるのに、マーケティング、ブランディングに苦戦しています。また、日本には古くから「三方良し」という考え方があり、コストから積み上げた価格を設定してしまっています。その結果、質の高いものであっても、そのブランド価値を十分に高めることができず、低収益に陥り、息子や娘には継がせたくないと、代々受け継いできた技や伝統が途絶えてしまう危機に直面しています。
私が働くルイ・ヴィトンも一人の鞄職人が始めた企業ですが、いまや世界的なブランドとなっています。では、どうして日本の歴史のあるものづくり企業は世界的なブランドになれていないのでしょうか。私は、日本人の感性や匠の技がつまった日本のものづくりは世界に通用すると強く信じています。だからこそ、その背景にある歴史や日本人の価値観、ストーリーを伝えることで、ブランド価値を高め、世界に展開していきたいと考えています。
これまでの日本の地場(伝統)ものづくりに関する研究は、特定産地の産業構造や発展・衰退についての研究が多く、また近年では、地域ブランドやツーリズムに関する研究が増えています。一方、ブランディングや海外展開の分野になると大企業が取り上げられ、地場(伝統)ものづくりという文脈での研究者は非常に少ないのが現状です。その結果、地域横断で汎用的に活用できる、体系化されたブランディングと海外展開に関する学術的な戦略提案はほとんど見当たりません。
そのため、私は複数の地域、商品を対象に、どうすれば日本の歴史のあるものづくり企業が世界に通用するブランドへと価値を高めることができるのかを明らかにしたいと思っています。特に、ブランドストーリーの有効性と、ストーリーのどんな要素が効果的なのか、定性、定量の2軸からアプローチしたいと考えています。
そして将来的には、研究から導き出された考察を地場(伝統)ものづくり企業にお伝えし、伴走しながらブランディング、海外展開の支援を行っていきます。
【アプローチ】
1. 事例研究
ブランディングや海外展開に成功している企業、団体にインタビューを行い、成功要因を見い出す。
2. 海外アンケート
海外の方の視点から見た、日本の歴史のあるものづくりの魅力、届けるべきブランドストーリーは何なのかを明らかにする。
3. 地場(伝統)ものづくり企業の支援
研究を通じて明らかになった考察、スキームを、個人として、講演やミーティングを通じ、地場(伝統)ものづくり企業に広める。さらに、個人コンサルタントとして、地場(伝統)ものづくり企業と伴走し、ブランド価値向上、海外展開を支援する。
今回のプロジェクトでは、上記の研究アプローチのうち、「1.事例研究」「2.海外アンケート」を対象としています。
1.事例研究では、ブランディングや海外展開に成功している産地事業者、企業へのインタビューを行い、その成功要因を考察します。主な産地としては、今治タオル(愛媛)、熊野筆(広島)、燕三条(新潟)、尾州ウール(愛知・岐阜)、鯖江眼鏡(福井)、そのほかにも政府機関やコンサルティング事業者など、約50社・団体にインタビューを実施します。
2.海外アンケートでは、購買力と日本製品や文化の享受度合いなどを鑑み、イギリス、フランス、イタリア、アメリカ、中国、シンガポールの6か国において、各国100人、計600人を対象に、ウェブアンケートを実施します。アンケート調査においては、ブランドストーリーが商品の購買意欲を高めるのか、購買意欲を高めるブランドストーリーの要素(1. 歴史・伝統、2. 職人技・製造工程、3. 機能、4. 思想)は何なのかを明らかにします。
今回のacademistでのチャレンジは、研究に必要な資金を集めるだけでなく、日本の歴史あるものづくりに興味関心を持っていただくこと、また、ものづくりをされている方々、それを守っていきたいと思う方々とのつながりができる貴重な機会だと思っています。
この研究を通じ、私が実現したいのは、日本人が脈々と受け継いできた素晴らしいものづくりを守り、発展させることです。
今、海外からたくさんの方が日本の文化や商品、サービスなどを楽しみに旅行に来ています。これだけ世界が日本に注目しているなか、長い年月をかけて日本人が築いてきた素晴らしいものづくりを、ブランド価値をさらに高め、世界に広めていきたいと考えています。
今回ご支援いただいた資金は、海外アンケート調査の実施費用に使わせていただきます。
より有用な考察を見出すためには、十分な量のアンケートや調査が必要です。ぜひ、少しでも多くの皆様にお力添えをいただき、質の高い研究結果を導き出すことで、日本各地で素晴らしいものづくりをされている方々に対し、今後の発展に向け微力ながらも貢献できたらと思っています。
ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
日本の伝統工芸品を世界ブランド化するための試みは既に多く実践されているが、その営みを改めて学術的見地から分析し、その上で実践可能な戦略モデルを提案する試みは大きな価値がある。フィールドワークや海外消費者アンケートを組み合わせた分析は、我が国工芸品の世界ブランド化のための課題と具体的な事業機会を特定する上で有効なアプローチと言える。また、分析結果から戦略モデルを構築する上では研究者の有するコンサルティングのバックグラウンドとルイ・ヴィトンにおける一流ブランドビジネスの実践知が活かせるであろう。研究者の我が国伝統工芸品の世界化への思いは極めて真摯であり、優れた成果が期待できる。
海外に商品を展開していくときに、商品の魅力やその伝え方は、それぞれの国の文化・嗜好にあわせていくことが欠かせません。伝統工芸品では魅力が確立されているので、伝え方が大事になります。とくに近年は「本物さ(オーセンティシティ)」を伝えることが大事になっています。そのために欠かせないのが、その商品の根っこにある物語(ブランド・ストーリー)です。海外に日本の伝統工芸品のブランドをつくることに貢献するこの研究はとても意義の深いものです。皆さんのお力添えをお願い申し上げます。
ユニークかつ長い歴史を持つ日本の伝統的なモノづくり。そのブランド価値を高めることは、多くの人たちにとってとても大きな機会と社会的なインパクトをもたらすものになりうる。日本の地域における文化的な価値に光を当てることでインバウンド消費を拡大する切り口になりうるし、伝統的なモノづくりに従事し、その価値を守り高めたいと考えている若い職人たちへの応援、支援にもなる。田宮さんがアンケート調査を通じて明らかにしようとしている日本文化並びに伝統的モノづくりの価値を高めるための研究は、多くの日本人にとって有益な示唆をもたらしてくれるものと思われる。ぜひこの研究で面白い発見をしてくれることを期待し、応援していきたい。
田宮さんとは、今回の論文執筆にあたり意見が欲しいとのことでお問い合わせをいただき、お話をさせていただいたことからご縁が始まりました。
私は、日本の伝統産業が生き残っていく道はラグジュアリーブランドのように高付加価値化するしかないと考えており、そのための方法論を研究しながら自らの事業においてその方法論を実践するという活動を行っております。具体的には、伝統産業の事業者の方と共同でブランドを設立するといった事業を行っております。日本の伝統産業にラグジュアリー戦略を導入するという研究をされている方は非常に少なく、田宮さんはその数少ないうちのお一人でいらっしゃいます。
また、田宮さんはLOUIS VUITTONにお勤めでいらっしゃいます。ラグジュアリーブランドの内部からラグジュアリー戦略に携わっておられる田宮さんならば、的確に伝統産業への導入方法を考案されるはずであると確信しております。日本の伝統産業の行く末を案じ、生き残るための方法を真剣に考える同志が増えることは非常に喜ばしいことであり、その同志がこのように研究結果を論文という形で世に発表することは大変意義があるものと考えております。どうか皆様のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
一流世界ブランドの販売をされている田宮さんがもう一度大学院に入り、日本のローカルメーカーのブランディングとの違いとアプローチを探って頂き、我々の足らざる点を補っていってくださる様な研究テーマで有難く、また大いに期待をしております。私は今治でタオル工場を経営しております。20年ほど前から下請け会社から脱却するためにブランディングとは何かを考え、佐藤可士和さんとの出会いで顧客目線を意識し、日本人として風合いを大事にするモノづくりに真面目に取り組んできました。結果先日10店舗目の直営店をKITTE大阪に出店する事ができました。今後は円安を追い風に海外展開を目指して丸栄タオルにしか出来ないモノづくりを世界に発信していきます。田宮さんの研究は日本のモノづくりをしているメーカーにとってとても大事なテーマだと考えます。皆様のご支援を宜しくお願い申し上げます。
Date | Plans |
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2024年5月~9月 | 地場(伝統)ものづくり企業、団体にインタビュー調査を実施 |
2024年8月 | 海外6か国でウェブアンケート調査を実施 |
2025年2月 | 論文完成 |
2025年3月~ | 論文報告会の実施(学内、各地域、など) |
2025年4月~ | 伴走型でのブランディング、海外展開サポート |
ご支援への感謝のメッセージをメールでお送りいたします。
このリターン実施は2024年9月を予定しています。
お礼のメッセージ
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お礼のメッセージ | October, 2024 |
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今回の研究成果のサマリレポートをご提供いたします。
また、早稲田大学大学院経営管理研究科の修士論文として公表する際に、謝辞にお名前を掲載いたします。
お名前の掲載が不要の場合は、以下で「リターン不要」とご回答ください。
このリターン実施は2025年3月を予定しています。
サマリレポートのご提供、論文謝辞にお名前掲載 / お礼のメッセージ
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サマリレポートのご提供、論文謝辞にお名前掲載 | March, 2025 |
お礼のメッセージ | October, 2024 |
20 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)
日本の歴史あるものづくりにおけるブランドストーリーの有効性について、海外の方にアンケート調査を実施します。
そのアンケート調査の結果についての報告レポートをPDFにて共有いたします。
(実施予定国:イギリス、フランス、イタリア、アメリカ、シンガポール、中国)
このリターンの実施は2024年10月を予定しています。
海外アンケート調査結果(フルバージョン)のご提供 / お礼のメッセージ / サマリレポートのご提供、論文謝辞にお名前掲載
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海外アンケート調査結果(フルバージョン)のご提供 | March, 2025 |
お礼のメッセージ | October, 2024 |
サマリレポートのご提供、論文謝辞にお名前掲載 | March, 2025 |
33 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)
本研究について個別にディスカッションする機会を設けます。具体的な内容や日程は個別にご相談いたします。
このリターン実施は2025年3月を予定しています。
個別ディスカッション、オンラインミーティング他 / お礼のメッセージ / 海外アンケート調査結果(フルバージョン)のご提供 / サマリレポートのご提供、論文謝辞にお名前掲載
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個別ディスカッション、オンラインミーティング他 | March, 2025 |
お礼のメッセージ | October, 2024 |
海外アンケート調査結果(フルバージョン)のご提供 | March, 2025 |
サマリレポートのご提供、論文謝辞にお名前掲載 | March, 2025 |
1 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)
修士論文には含まれていない、事例研究、アンケート調査結果などを含む、フルバージョンの研究レポートをPDFにてご提供いたします。
このリターンの実施は2025年3月を予定しています。
研究レポート(フルバージョン)のご提供 / お礼のメッセージ / 海外アンケート調査結果(フルバージョン)のご提供 / サマリレポートのご提供、論文謝辞にお名前掲載 / 個別ディスカッション、オンラインミーティング他
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研究レポート(フルバージョン)のご提供 | March, 2025 |
お礼のメッセージ | October, 2024 |
海外アンケート調査結果(フルバージョン)のご提供 | March, 2025 |
サマリレポートのご提供、論文謝辞にお名前掲載 | March, 2025 |
個別ディスカッション、オンラインミーティング他 | March, 2025 |
7 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)
本研究の結果から得られた知見、ネットワークをもとに、ブランディングのコンサルティングを行います。具体的な内容や期間は個別にご相談いたします。
※宿泊費・交通費は別途いただきます。
このリターン実施開始は2025年4月を予定しています。
コンサルティング(6ヶ月) / お礼のメッセージ / 海外アンケート調査結果(フルバージョン)のご提供 / サマリレポートのご提供、論文謝辞にお名前掲載 / 研究レポート(フルバージョン)のご提供 / 個別ディスカッション、オンラインミーティング他
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コンサルティング(6ヶ月) | April, 2025 |
お礼のメッセージ | October, 2024 |
海外アンケート調査結果(フルバージョン)のご提供 | March, 2025 |
サマリレポートのご提供、論文謝辞にお名前掲載 | March, 2025 |
研究レポート(フルバージョン)のご提供 | March, 2025 |
個別ディスカッション、オンラインミーティング他 | March, 2025 |
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お礼のメッセージ
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サマリレポートのご提供、論文謝辞にお名前掲載 and others
20
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海外アンケート調査結果(フルバージョン)のご提供 and others
33
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個別ディスカッション、オンラインミーティング他 and others
1
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研究レポート(フルバージョン)のご提供 and others
7
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コンサルティング(6ヶ月) and others
0
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