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Toru Moriyama
信州大学、Associate Professor
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「モノ研」のあゆみ その4

壁を登ったダンゴムシは全体の半数ほどで、残りは実直に左右の転向を続けました。抑制の解放力には個体差があるようです。この実験で気をよくした私は、水包囲実験を実施しました。ダンゴムシを水の入った堀で囲まれたアリーナへ置いてみたのです。すると今度は、数は少ないですが、溺れる危険がある水に入り、向こう岸へ渡るダンゴムシがあらわれたのです!続いて、2匹を後ろ向きに糸でつなぐ実験を実施しました。すると一方が他方に馬乗りになり、円滑な移動を実現しました!ご存じのとおり、ダンゴムシに振動を与えると丸まったり止まってしまったりします。なので、馬乗りは互いにとってNGで、抑制されておくべきです。にもかかわらず、綱引き状態にされて前進の利点が反故にされてしまうと、互いに振動を与えてしまう馬乗りを許容してしまうのです。これらの実験は、博士課程の学生時代(1996-1999年)に始められ、そして、公立はこだて未来大学での助手・助教時代(2000-2007年)にかけて実施されました。

Toru Moriyama / February 06, 2024
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「モノ研」のあゆみ その3

わからなさとしての心。それは私にはしっくりする感覚でしたが、一般に心は人間の精神作用のもとと言われています。いわゆる知・情・意です。一方、余計な行動を理由もなく抑えるというわからなさは表に現れないからこそわからなさです。そうなると全くアプローチできなさそうです。しかし私は思いついたのです。「理由もなく抑えるなら、理由もなく解放できるはず」。では理由もなく解放するきっかけはなにか。それは理由など全く反故にされるような場面、すなわち、理由のないことが望まれるような場面でしょう。そこで私は、ターンテーブル式T字迷路装置で、何百回もダンゴムシにT字選択をさせてみました。交替性転向反応は、障害物に遭遇したとき、左右に曲がることで、それを回避する利点があると言われています。この利点を守るという「理由」で、余計な行動は抑制されるのです。しかし、何百回も障害物に遭遇する場面は、この利点を無効にしてしまいます。余計な行動はもはや抑制される「理由」などなくなります。果たしてダンゴムシはどうしたか。彼らは突然、迷路の壁を登り始めたのです!

Toru Moriyama / February 06, 2024
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「モノ研」のあゆみ その2

博士課程で始めたのがダンゴムシの行動研究です。この動物に対していろいろと予備実験していて気付いたのが、彼らがジグザグ歩行するということでした。修士課程でタコに迷路を与えていたため、ダンゴムシも試しに迷路に投入してみたのです。すると、T字路が連続するときには左右交互に歩いたのです。この行動は交替性転向反応と呼ばれていることがわかりました。この性質をよりしっかり確かめるために、T字路を何度でも与えられるターンテーブル式T字迷路装置を作りました。ダンゴムシは、数百回T字路を与えても、実直に左右交互に転向することがわかりました。私は、ジグザグ行動がどのように役立つのか、どのような神経回路で実現されるのか、といったことにはあまり興味がありませんでした。それよりも「どうして他の行動を我慢しているのだろう」と思ったのです。そして、この我慢の理由などないこと、すなわち、決してわからないということに気づいたのです。このわからなさは、私たち人間も、行動するかぎり、抱えています。そして、よくよく考えてみると、このわからなさこそ、一般に言われる「心」の正体だと気づいたのです。

Toru Moriyama / February 06, 2024
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「モノ研」のあゆみ その1

研究会を主宰する私は、学部時代は有機化学の研究室に所属し、白衣を着てフラスコを振っていました。毎日のように新しい化合物ができるので大変楽しかったです。ただそのときから、狙った化合物以外の産物に興味がありました。それらは大抵、理論的にはほとんどできないはずのものでした。でも実際には意外と多くできてくるのです。モノは自分で自分のありかたを作ることができる。そう思うと、研究は更に楽しくなりました。そして勢い余って、大学院は理論生命科学の研究室へ進みました。取り組んだのはタコの迷路学習。せっかく学んだゴールまでの経路を台無しにするような無駄な行動に魅力を感じました。しかし博士課程には進まず、電機メーカーへ就職しました。会社では電車のインバータ装置の設計に関わりました。そこでも、気になったのは半導体などのデバイスの「自分で自分のありかたを作ることができる」姿でした。そこに気づくと、仕事は更に楽しくなりました。そして勢い余って、退職して大学院の博士課程に進みました。

Toru Moriyama / February 05, 2024
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「モノの心の研究会」ってなに?

哲学、宇宙物理、量子ウォーク、現代美術、複雑系科学、生命システム、知能情報、分子ロボティクス、非線形ダイナミクス、圏論、ネットワーク理論、植物生理、動物行動学、認知科学。この研究会のメンバー10人のおおよその専門分野を列挙してみました。「心とは行動抑制ネットワークである。あらゆるモノに行動抑制ネットワークがあるか探ってみませんか」という私の誘いに二つ返事でのってくれたメンバーです。毎月1回、研究定例会を開催して、自由なテーマで議論しています。議論の中で、「あ、それって行動抑制ネットワークっぽいね」というスタイルで、心とはなにかにアプロ―チしています。

Toru Moriyama / February 05, 2024
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クラウドファンディングを開始しました!

ただいま開始から3日目です。これまでに目標金額の32%を寄附いただきました。ありがとうございます!モノの心の研究会のこれまでの歩みなどを今後紹介していきたいと思います。今後もぜひご注目ください。よろしくお願いいたします。

Toru Moriyama / February 02, 2024
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Supporters will be charged the funding amount only if the project reaches the funding goal (JPY 500,000) before 17:00 on March 14, 2024 (JST: GMT+9).
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