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SUCCESS
袴田哲司
静岡県、農林技術研究所 森林資源利用科長
Pledged: 964,900 JPY
Target Amount: 770,000 JPY
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125 %
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Reached the funding target!

御支援いただいた皆様へ

お世話になっております。
この度はクラウドファンディングへの御支援、誠にありがとうございました。
おかげさまで、7月22日に目標額の770,000円に到達いたしました。
皆様の御厚意に感謝するとともに、身が引き締まる思いでもあります。
無花粉スギの品種開発と造林にむけて一層精進して参りますので、今後もよろしくお願いいたします。

静岡県農林技術研究所 森林・林業研究センター 袴田哲司

Profile

袴田哲司

私は高校時代から植物対象の仕事に憧れ、大学では農学を専攻しました。大学院を経て、1989年(平成元年)に静岡県に入庁しましたが、今日までの33年間のうち26年間は研究職として林木育種、育苗、造林などの仕事に従事してきました。2016年度には博士号(農学)を取得し、現在は静岡県森林・林業研究センターの研究科長として林木育種、育苗、造林の研究を担っています。対外的には、林木育種や育苗を専門とする森林遺伝育種学会において、学会誌「森林遺伝育種」の編集委員を務めています。
他の研究機関の協力を得て、2008年には無花粉スギを作出し、2018~2019年に優良な無花粉スギを3品種、他機関への協力を含めれば5品種を開発してきました。自らの研究の集大成として、優良な品種をさらに増やすとともに、これらの優良な無花粉スギを全国に普及し、林業の発展と花粉症の緩和に少しでも貢献したいと考えています。

あなたが研究を通して成し遂げたいことはなんですか?

私が研究を通して成し遂げたいことは、林業を発展させるとともに、花粉の出ないスギを開発し、花粉症に悩む人たちを減らすことです。

花粉症は国民の約4割が発症していると言われ、大きな社会問題となっています。私自身も花粉症で、春になるとつらい思いをします。花粉症の緩和に向けた林業的な対策としては各種の方法がありますが、雄花多産木を伐採して花粉の少ない造林用の品種に植え替えていくという方法が行われてきました。

そうした中、1992年に富山県で無花粉スギが発見され、以後は成長や材質が優れる「精英樹」を中心に無花粉遺伝子の探索が進められました。それを契機に幾度となく無花粉スギに関する研究プロジェクトが組まれ、静岡県森林・林業研究センターもこれらの研究事業に参画し、無花粉スギの作出と形質評価を進めてきました。その結果として、他の研究機関と協力しながら造林木としても優れる無花粉スギの優良品種の開発に成功しました。

私は現在も無花粉スギに関する調査研究を進めているところですが、まだ認知度が低く造林用苗木の主流には至っておりません。無花粉スギは究極の花粉症対策とも言われていることから、より優れた品種の開発を進め、無花粉スギの苗木を全国的に生産・植栽していきたいと考えています。これによって、国民や県民の花粉症の緩和を図るとともに、国土や環境を守り中山間地の活性化にもつながる林業の発展に貢献できれば、林木育種、育苗、造林の研究者として、この上ない喜びです。

どのようなアプローチで実現しようとしていますか?

私は、無花粉スギの研究に2008年から取り組んでいます。静岡県には造林に適する優良な系統として51種類のスギ精英樹がありますが、富山県の試験により運良く「大井7号」が無花粉の遺伝子(遺伝子型Aa:Aは有花粉遺伝子、aは無花粉遺伝子、大井7号は有花粉)を有する系統であることが明らかになりました。

その後、国や他都県の試験研究機関とともに参画したプロジェクト型の研究事業で、神奈川県のスギ精英樹「中4号」(遺伝子型Aa)との交配を行いました。この交配ではメンデルの法則により、AA有花粉、Aa有花粉、aa無花粉の苗が理論上1:2:1の割合で出現しますが、苗木を育成して雄花内を観察し、aaの無花粉スギを得ることができました。これらの無花粉スギを対照系統とともに静岡県内各地に植栽し、成長や材質の調査を続けた結果、優良な品種「静神不稔1号」、「三月晴不稔1号」、「三月晴不稔2号」を開発することができました。これらの優良品種以外にも多数の調査木を保有し、山林に植栽して形質評価を進めています。また、無花粉の遺伝子を持つ別の交配親で新たな無花粉スギを作出しており、これらの育種材料を含めて新品種開発も目指しています。

今回のプロジェクトで行う研究テーマはなんですか?

私はこれまでに交配で多数の無花粉スギを作出しました。これらは花粉を全く生産しないという共通の特長を持っていますが、1本1本が独自の特性を有しており、林業の視点からはそれらの特性を見極め、造林木として有用な成長や材質に優れたものを選抜する必要があります。

一方、挿し木で増殖した苗は母樹と同じ遺伝子型であるため、基本的には母樹と同じ性質を持っています。そのため、作出した無花粉スギを母樹として挿し木苗を育成し、これらを2014年から静岡県内の林地に植栽し、その数は約2000本となっています。私は、このような充実した研究材料を使って調査研究を重ね、無花粉スギの特性評価を行った結果、これまでに造林木としても優良な3品種を開発することができました。

材料が豊富にあるため、まだまだ優良な系統があると考えられ、今回のプロジェクトではこれまでの3品種に勝るとも劣らない新たな優良品種を開発していきたいと思います。また、これまでに開発した優良品種を広く普及するため、種苗生産者等に試験的に苗木を育成・生産してもらうとともに、育成中の無花粉スギ苗木を山林へ植栽していきます。さらに、パンフレットや動画を配信することで、積極的な広報を進めていきます。

Why we need your support

無花粉スギは、これまでに農林水産研究イノベーション創出強化研究推進事業などの公的資金により関係する研究機関がコンソーシアムを組んで研究を行うことが多く、その成果は関係者の中で認められてきました。また、静岡県においてもテレビや新聞の取材を受け、県民の皆様から大きな期待が寄せられています。しかし、研究に携わっている機関が限られているため、まだまだ国民や県民に広く認知されている状況ではありません。そのため、私は、研究の資源としてこれまでに地道に植栽してきた無花粉スギの形質評価を行い、造林木としても優れた新品種の開発を目指します。

この研究を通して、花粉が全く飛散しない無花粉スギの開発経緯や成長、材質の特性、植栽状況などを紹介し、広く普及を図る目的でクラウドファンディングにチャレンジします。研究費は、無花粉スギ育苗資材の購入、調査現場や新品種開発のための関係機関との調整等への旅費、種苗生産者への試験生産委託、林地植栽、普及用パンフレットの作成、各種広報などへの使用を予定しております。花粉症に苦しむ方々が少しでも笑顔になれるように、無花粉スギの品種開発と植栽を行っていきますので、サポートをよろしくお願いします。

Recommender's comment

片山晴喜
静岡県農林技術研究所 研究統括官

花粉を全く飛散することがない無花粉スギが作られたことは、花粉症に苦しむ国民や県民にとって朗報です。すでにいくつかの無花粉スギ品種が開発されていますが、限られた地域だけでなく、広域的な植林活動を進め、生育や材質等の特性評価が必要だと思います。林業の発展や中山間地の林地保全とともに、花粉症対策にも効果的な無花粉スギの新たな品種開発と苗木生産、植栽活動に期待します。

長瀬 亘
静岡県農林技術研究所森林・林業研究センター 主任研究員

全国疫学調査の結果によると、スギ花粉症の有病率は2008年が29.8%、2019年が42.5%と、年々増加傾向にあり、問題は深刻化していますが、本研究課題は、この問題の解決に大きく貢献するものと考えられます。また、国産材の素材生産量の約6割を占めるスギは、主に柱材などの構造用部材として使用されており、強度等の材質の担保が必須です。本研究課題は、スギ材の材質向上にも重要なものと考えられます。これらのことから、本研究課題を推薦します。

Project timeline

Date Plans
2022年8月 調査地整備開始
2022年9月 過去のデータ整理
2022年10月 植栽地調査
2022年11月 種苗生産者に育苗を委託
2022年12月 新品種申請データ整理
2023年1月 新品種申請事務
2023年2月 普及用パンフレット 動画作成
2023年3月 新品種認定 パンフレット配布 動画配信

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達成した静岡県プロジェクトが合同開催する成果発表会にご招待します。

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当センターに来ていただければ、個別に育苗施設や天竜地域の無花粉スギ植栽地をご案内します。(当センターまでの旅費は、各自のご負担でお願いします。)

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Supporters will be charged the funding amount only if the project reaches the funding goal (JPY 770,000) before 17:00 on August 18, 2022 (JST: GMT+9).
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