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化合物の構造解析で抗結核薬開発に貢献する!

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SUCCESS
秋津貴城
東京理科大学、教授
支援総額: 517,000 円
目標金額: 500,000 円
達成率
103 %
サポーター
10
残り時間
終了
募集期間は終了しました
挑戦者の自己紹介

秋津貴城

金属錯体化学を専門とする化学者です。金属錯体とは、無機物と有機物の性質を併せ持つような物質です。身近な例では、赤血球に含まれて酸素を運搬するヘモグロビンという蛋白質があります。鉄イオンの周りに有機物が結合したヘムと呼ばれる金属錯体を蛋白質が取り囲み、鉄イオンに酸素が着脱して体の隅々に酸素を送ります。このような金属錯体の形(構造)や色(電子状態)に関する研究を行ってきました。今回のテーマでは、アフリカに限らず世界中で使える結核の薬に応用できそうな有機化合物からなる金属錯体について、X線で形を調べて、形の合う・合わないを元に判断して探していく、国際的な共同研究に取り組みます。

あなたが研究を通して成し遂げたいことはなんですか?

化学者にとって、新しい化合物を合成してその化合物が世の中のために役立つことは、創造性・経済性・社会貢献などの面から、研究の大きな動機や目標になり得ます。ところが、「自社や自国の経済的な優位性を保つため」などの理由により、その新しい化合物が何であるかさえも秘密にしておかなければならない場合があります。すると、それは特定の範囲のみでしか役立つことなく長い年月が経過することになってしまいます。

私は、物質の性質を理解する科学としての基盤の部分は人類共通の財産としておきたいと考えています。そしてそのために、今や収録数100万件を超えたビッグデータである結晶構造データベースの情報蓄積に貢献し性質の理解に全力を注ぐことが、結果的に世の中の役に立つ、というスタンスで、金属錯体に関する研究を続けています。

どのようなアプローチで実現しようとしていますか?

結晶構造データベースの情報蓄積のためには、新しい化合物を作ること、その形(構造)とはたらき(機能)を知ること、それらの関連性を明らかにしていくことを、地道に繰り返し続けていくことになります。それには、世界各国の研究者と協力し分担することが必要不可欠です。

私はこれまで、先進国・発展途上国問わず国際共同研究をいくつも行ってきました。現在は、抗結核薬になりそうな化合物を作っているアフリカ諸国の共同研究者とともに研究を進めています。その中で私は、X線結晶構造解析という分析方法を駆使し、新しい化合物の立体構造を調べることを担当しています。

現在取り組んでいる研究課題はなんですか?

今回主にターゲットにするのは、ニコチン酸ヒドラジドに由来するシッフ塩基やその金属錯体です。ニコチン酸ヒドラジドはヒトの結核治療で最初に導入され、もっとも一般的に使用されている薬剤です。効き目を高めるために、現在もシッフ塩基と呼ばれる部位を組み込んださまざまな類似体が合成され続けています。さらに鉄などの金属イオンを結合させた金属錯体として、抗結核作用を高める工夫がされています。

合成はアフリカ諸国の共同研究者が担当します。私は共同研究者から受け取った結晶をX線解析し、立体構造を決定することで分子間相互作用や分子認識に関する情報を獲得します。薬剤になりそうな化合物の立体構造は、結合する相手となる体内の蛋白質との凹凸の相性や互いに引きつけ合う性質の有無を知るうえで、重要な情報や知見となります。これにより、抗結核薬として機能する特徴があるか推測することができるのです。

研究費サポートのお願い

X線結晶構造解析は、近年ルーチン的な化学分析方法として普及しており、昔のように限られた装置や特殊な技術を要する実験ではなくなりました。ところが、アフリカ諸国の共同研究者にとってはその限りではありません。合成能力は高いものの、手元ですべての実験ができない環境にあるため、結晶学や考察に詳しい国外のパートナーが不可欠なのです。しかし日本において、他国との共同研究で申請可能な基礎研究資金は、そのほとんどが特定の先進国対象となっているのが現状です。

今回皆さまからいただいたご支援は、X線結晶構造解析の装置利用に関するランニングコストなどの実験費用として使用します。この基礎研究の成果は、将来的にアフリカだけでなく全世界で結核に苦しむ人々が楽に治療を進められる新薬の開発に貢献すると考えています。ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

推薦者コメント

Emmanuel Ngwang Nfor
Department of Chemistry, Faculty of Science, University of Buea, Cameroon Professor

秋津教授とは数年来共同研究中で、種々の真菌に対し抗菌活性を示す、ヒドラゾンを配位子に含む金属錯体分子の外側である配位子での分子認識に重点を置き、新規構造となる配位子のヒドラゾン誘導体の結晶構造解析と分子間相互作用を発表しました。結晶構造解析データに基づいたタンパク質とのドッキングシミュレーションを行い、リガンドとタンパク質との分子間相互作用も現在研究中です。
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Offiong Efanga Offiong
Department of Pure and Applied Chemistry, Faculty of Physical Sciences, University of Calabar, Nigeria Professor

秋津・Nfor両教授の共同研究は、結晶学の基礎研究としても興味深く、生物学的特性と特徴的な共役分子構造により 4-ヒドロキシクマリンは薬理効果を示し、大きな関心を呼んでいます。ピラジナミドをエタノール溶液中の氷酢酸の存在下で反応させ、ヒドラゾンシッフ塩基を合成したときに偶然得られた、複素環式4-ヒドロキシクマリン化合物でキラル結晶化の珍しい報告もあります。
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研究計画

時期 計画
2022年7月 合成者から結晶が届く
2022年8-10月 結晶構造解析測定実験と解析
2022年11-12月 分子間相互作用やドッキング計算の考察

リターンの説明

リターンの金額に加え、追加支援をすることができます。追加支援分には消費税がかかりません。
1,100 円 (税込)
注目のリターン : お礼メッセージ

メールでお礼のメッセージをお送りします。

リターン内容

お礼メッセージ

2人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

5,500 円 (税込)
注目のリターン : 研究報告レポートにお名前掲載

academist Journalに寄稿する研究報告レポートにお名前を掲載します。

リターン内容

研究報告レポートにお名前掲載 / お礼メッセージ

3人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

11,000 円 (税込)
注目のリターン : 論文PDF

メール添付で関連論文のPDFをお送りします。

リターン内容

論文PDF / 研究報告レポートにお名前掲載 / お礼メッセージ

0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

33,000 円 (税込)
注目のリターン : メールで「プチ・サイエンスカフェ」

皆さまからの関連質問等に、個別にお答えします。

リターン内容

メールで「プチ・サイエンスカフェ」 / 論文PDF / 研究報告レポートにお名前掲載 / お礼メッセージ

2人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

55,000 円 (税込)
注目のリターン : 学生関係ネットワーキング・サービスを紹介

株式会社ネオ倶楽部を通じ学生関係ネットワーキング・サービスを紹介します。
(国際協調的かつオープンに世の中の役に立つ、理念の実現に向けて)

リターン内容

学生関係ネットワーキング・サービスを紹介 / メールで「プチ・サイエンスカフェ」 / 論文PDF / 研究報告レポートにお名前掲載 / お礼メッセージ

3人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

このプロジェクトは、 2022年06月29日(水) 10時00分 から 2022年08月18日(木) 17時00分 までの間に目標金額500,000円を達成した場合のみ、決済が確定します。
お支払について
お支払にはクレジットカード(VISA, Mastercard)、銀行振込、コンビニ決済、Pay-easy、PayPalをご利用頂けます。
追加支援について
リターンの金額に加え、追加支援をすることができます。追加支援分には消費税がかかりません。
セキュリティについて

当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。

1,100 円(税込)

お礼メッセージ

2 人 が支援しています。
(数量制限なし)

5,500 円(税込)

研究報告レポートにお名前掲載

3 人 が支援しています。
(数量制限なし)

11,000 円(税込)

論文PDF

0 人 が支援しています。
(数量制限なし)

33,000 円(税込)

メールで「プチ・サイエンスカフェ」

2 人 が支援しています。
(数量制限なし)

55,000 円(税込)

学生関係ネットワーキング・サービスを紹介

3 人 が支援しています。
(数量制限なし)

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