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Masayuki Takashiri
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Reached the funding target!

皆様のおかげで目標金額を達成することができました。ご支援くださった皆様、情報を拡散してくださった皆様、本当にありがとうございます。これまで、この研究は新聞に掲載されたことはありましたが、本当に世の中のニーズを捉えているのか、不安がありました。しかし、多くの方々の応援をいただき、不安を払拭できました。皆様のご期待に応えられるよう、これからも研究・開発に邁進して参ります。

挑戦終了までは約1か月間の時間があります。そこでネクストゴールで200万円を目指すことにしました。ネクストゴールを目指すことで、様々な条件で実験をして、より多くのデータを取得することによって、高性能でかつ汎用性の高い発電デバイスを開発します。
ネクストゴールの設定により得られた研究費は,①材料の高精度分析,②水温や湿度を安定させるための設備、③薄膜の微細加工設備などに使用したいと考えています。

ネクストゴール達成に向け、今後ともご支援・ご協力のほど、どうぞよろしくお願い致します。これまでにご支援頂きました皆様には、このプロジェクトの情報拡散にもご協力頂けますと幸いです。引き続きよろしくお願い致します。

Comment from academist staff
水に浮かべるだけで電気を作り出す熱電発電デバイスの実用化に挑む

Maiko Abe

IoTは、これからの社会の発展において重要な役割を担います。そのIoT技術が発展するうえで欠かせないのが、交換や充電の必要がない独立電源の開発です。高尻さんは、カーボンナノチューブ膜にできる小さな隙間に着目し、気化熱冷却により生じるわずかな温度差から電気を作り出す研究を行っています。さまざまな課題を乗り越え、水に浮かべるだけで発電する小型発電装置の実用化を目指す高尻さんに、応援よろしくお願いします!

毛細管現象と気化熱冷却を利用した熱源不要の熱電発電デバイス

Internet of Things(IoT)技術の発展には、膨大なセンサおよび配線不要な独立電源が欠かせません。独立電源は、取り替えや充電が不要であることが望ましく、その候補のひとつとなるのが、単層カーボンナノチューブ(CNT)を使用した「熱電発電デバイス」です。

熱電発電デバイスとは、熱エネルギーを電気エネルギーに変換できるデバイスのことで、熱電材料内で発生した温度差から電圧・電力を取り出します。しかし従来技術では、材料中に温度差を発生させるために、発電デバイスを熱源に取り付ける必要がありました。

そこで私たちは、CNT膜中に小さな隙間が無数にあることに着目し、毛細管現象と気化熱冷却を利用した水に浮かべるだけで発電する「熱源不要の熱電発電デバイス」の開発を目指しています。

カーボンナノチューブ膜内で温度差を発生させる

今回私たちが開発するデバイスでは、温度差を生じさせるために同じデバイス内で水を吸収する部分としない部分を設ける必要があります。

私たちは、単層CNT粉末から真空濾過法で作製した単層CNTシートに、千鳥格子のように交互に穴を開けたポリイミド基板を接着させることで、CNT膜内に穴から水を吸収できる部分と基板で隔たれ水を吸収できない部分を設けました。この構造により、発電デバイスを水面に浮かべると、それぞれのCNT膜内において冷却された部分ができ、隣り合う素子間で反対向きに温度差を生じさせることに成功しました。

さらに、デバイス内のCNT膜に生じた冷却部と未冷却部は、反対向きに交互に形成しています。したがって、基板の穴の位置を変えるだけで熱の流れも制御でき、熱電発電デバイスを作製するのに本来必要となるP型熱電材料とN型熱電材料のうち、どちらかの膜があればよいことがわかりました。

発電能力を高めてセンサ用独立電源として活用したい

デバイス性能の評価実験では、水温20℃・無風・太陽光が無い状態で、ひとつのCNT膜内で2 Kの温度差が発生し、デバイス全体で出力電圧約0.5 mV・電力約1.5 nWを測定時間の60分間ほぼ一定して得られました。このことから、熱源がなくても安定した熱電発電が可能であることが示されました。

さらに、風や光を照射すると発生する温度差が増加し、それに伴い電圧・電力が増加しました。この結果から、このCNT熱電発電デバイスは、水のある多様な自然環境において、エネルギーハーベスティングが可能であることが示されました。

しかし、センサ用独立電源として使用するためには最低20 mVが必要であり出力が不十分です。そこで、今後はCNTシートのサイズ・厚さと基板の開口部のサイズや配置の最適化やCNTシート自体の改良により、デバイスの出力向上を目指します。

Why we need your support

私たちが開発するCNT熱電発電デバイスは熱源が不要なため、昼夜を問わずあらゆる環境下でのエネルギーハーベスティングが可能です。これにより、水質・水量管理などの多くの無線モニタリングシステムといった熱源がない環境における独立電源を開発するための基盤となり得ると考えられます。たとえば、養殖を最適に行うための水温、pH、溶存酸素濃度を管理するための水質センサや水害の早期警戒のための河川での水量センサなどが挙げられます。

ただし、本研究で得られた出力電圧・電力はIoTセンサの電源として使用するにはまだ不十分です。この他、電極の腐食防止や水浸漬によるCNTの劣化など克服すべき課題があります。今後、CNT膜の膜厚やサイズ、基板の穴の大きさや配置を最適化することで出力電圧・電力を増加させ、デバイスの耐久性を向上させる予定です。

さらに、将来的に人の発汗を利用した発電デバイスにもつながる可能性があり、ウェアラブルセンサの電源としても期待できます。今後、CNT熱電発電デバイスのIoTセンサへの応用および用途はさらに広がっていくと考えられます。「世の中をより便利にするための電力供給」を実現させるため、サポーターになっていただけますと大変幸甚です。いただいた支援金は材料の購入費用に充当したいと考えています。ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

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・個人住民税…東海大学を寄付金控除の対象法人として条例で指定している都道府県・市区町村にお住いの方は、個人住民税の控除を受けることができます。
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Profile

Masayuki Takashiri

東海大学工学部材料科学科の高尻です。出身は石川県の山中温泉です。1993年に九州大学大学院修了後、約20年間、建設機械メーカーのコマツに勤務しておりました。この間(2002年~2003年)に米国・マサチューセッツ工科大学に客員研究員として赴任しておりました。帰国後、2007年に九州工業大学から博士号を授与されました。2012年に東海大学に移り、現在に至っております。コマツ入社から現在まで一貫して環境エネルギー材料の研究開発に従事しています。最近は、熱を電気に変換する熱電変換材料の研究を行っています。なかでもカーボンナノチューブの熱電変換材料への利用に注力しています。カーボンナノチューブは非常に魅力的な材料です。この材料の特長を最大限に生かして、世の中をもっと便利にできる小型発電装置を研究しています。

Project timeline

Date Plans
2022年4月 研究開始
2022年9月 国内学会での発表(日本熱電学会)
2022年10月 論文投稿(材料系の学術雑誌)
2023年3月 国内学会での発表(応用物理学会)
2023年3月 論文投稿(材料系の学術雑誌)

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