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SUCCESS
新倉雄一
城西国際大学、准教授
支援総額: 1,079,001 円
目標金額: 1,000,000 円
達成率
107 %
サポーター
101
残り時間
終了
募集期間は終了しました

目標金額を達成しました!

正月明けから始まったこの挑戦、おかげさまで、本日、目標を達成することができました。本当に有難うございます。

70年間真実と信じられてきた「卵子は生後増えることはない」というドグマですが、皆様からの様々な想いが託されたこの支援金で壊します!これまで培ってきた分子生物学と遺伝学の知識と技術で壊します!そして、ドグマに縛られていた女性医療そして生き方の限界を壊します!

多くのサポーターにご賛同いただいた研究プロジェクトとして、自信を持って研究を進めて参ります。

今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

新倉 雄一

academist スタッフからの一言
卵の運命を追って、生殖医学の「常識」に挑む

蛭子 まこと

高校生物の教科書には「哺乳類の卵子は胎内にいるあいだに作られる」という記載があり、一生のあいだに作られる卵子の数は生まれたときに決まっているというのが生殖医学の常識になっています。ところが、チャレンジャーの新倉さんは、卵子になる前の細胞が成熟した後のマウスの体内にも存在することを発見。この常識が覆される可能性が出てきました。新倉さんの発見が新説として認められるには、より詳細なメカニズムの解明が必要です。生殖医学上のこの常識はある意味で女性の生き方を縛っているともいえます。新倉さんの研究により、新しい人生観が生まれるきっかけになるかもしれません。

女性の活躍を阻む、生殖医学の「ドグマ」

ドグマとは、絶対的な教えを意味する宗教用語です。生殖医学の世界には、70年以上にわたり信じられてきたドグマが存在します。それは、「卵巣の老化はすべての女性が経験する不可避な現象であり、阻止することも若い状態に戻すこともできない」というものです。

卵巣は女性らしい容姿をもたらす生殖器官で、その機能は卵胞と呼ばれる卵巣組織により維持されています。卵胞は、卵子を中心に顆粒膜細胞が包み込んだ球体構造をしており、通常、一層の顆粒膜細胞で覆われた原始卵胞の状態で卵巣に貯蔵されています。思春期になると、顆粒膜細胞は増殖を開始して性ホルモンを産生するように変化します。それと同時に卵子は大きく成熟し、やがて排卵されます。顆粒膜細胞と異なり、卵子は増殖することができません。そのため、卵胞自身が分裂してその数を増やすことはできないのです。

卵胞の数は生み出された卵子の数で決まります。では、いつ決まるのでしょうか? 学説上、卵子の形成は胎児の段階で起こります。始原生殖細胞と呼ばれる最も未熟な生殖細胞が減数分裂(遺伝的な多様性をもたらす生殖細胞特有の現象)を起こして卵子へと変化するのです。生じた卵子は、出生直後に顆粒膜細胞で覆われ、原始卵胞を形成します。つまり、学説に従えば、卵胞の数は出生時に決まってしまうことになります。

およそ100万個。これは、一人の女性に与えられる貯蔵卵胞の数です。そのほとんどは、劣化に起因する細胞死を引き起こし、成熟過程で卵巣から排除されます。砂時計の「砂」であるかのごとく、卵胞は枯渇するまで失われ続けます。卵胞は有限だとするこの学説に基づく限り、卵巣老化を不可避かつ不可逆的な現象と説くドグマは正論なのです。

ドグマは、働く女性に二者択一の問いを投げかけます。キャリアを築くか、それとも賑やかな家庭を築くか。図に示すように、35歳を境に卵胞の数と質は急激に減少します。つまり、子作りを先延ばしすることで妊孕性が低下し、同時に流産やダウン症の発症リスクが高まります。避けられない卵胞の経時変化は、「両立する」という生き方を困難なものにし、女性の社会活動を制限する要因となっています。

卵巣には潜在的な自己再生力がある

そのような学説が席巻するなか、ハーバード大学の研究グループは2004年に卵新生という現象が存在することを報告しました。卵新生とは卵子を新たに生み出す現象で、成熟した個体においても卵胞を増やして、卵巣を若返らせる可能性を秘めています。

当時、不妊症は今ほどオープンにされていませんでしたが、私の妻が国立成育医療センターで女性医療に携わっていたことから不妊症が当たり前の世の中であることを知っていました。卵新生の報告に触れた私は、この研究が、女性だけでなくパートナーの人生も変えることができると確信し、妻と一緒に渡米を決意しました。私は研究員、妻は技術補佐員として同グループに加わり、卵新生の研究をスタートさせました。

二人三脚で駆け抜けた5年間、私たちは2つの発見をしました。ひとつは胎児の卵巣にしか存在しないと考えられていた減数分裂初期の卵子前駆細胞が成体マウスの卵巣にも存在すること、もうひとつは、卵胞がひとつもない閉経マウスの卵巣にも同じ細胞が存在していることです。

興味深いことに、閉経マウスの卵巣では卵子前駆細胞が卵子へ変化する過程の途中で止まっており、卵新生に異常が起きていることが明らかでした。それまで、卵巣の老化は、貯蔵卵胞の劣化・消失というドグマ視点のストーリーで説明されてきましたが、私たちの研究から「新鮮な卵胞を補充する過程の異常」という卵新生視点のストーリーでも説明できることがわかったのです。つまり、卵胞を補充する能力を回復させることで、卵巣の老化を阻止したり若い状態に戻すことができる可能性があるということになります。

女性医療に横たわるドグマを壊したい

卵新生の発見から15年が経った今も、ドグマは生殖医学の世界を支配しています。卵新生が新たな学説として受け入れられないのは、その仕組みが明らかでないからです。このチャレンジでは、生殖医学者が抱く3つの疑問を手掛かりに、卵新生が起こる仕組みを紐解きます。

1. 卵子を生み出す生殖幹細胞は本当に存在するのか
2. 生殖幹細胞は受精能をもつ卵子を生み出せるのか
3. 生殖幹細胞の異常は卵巣の老化を引き起こすのか

最初に取り組むべき課題は、成体マウスにおいて卵子前駆細胞に変化する能力をもつ生殖幹細胞の存在を示すことです。生殖幹細胞は、卵胞が傷ついたときに活性化し、卵子前駆細胞を経て卵子に変化する最も未熟な生殖細胞です。この細胞は卵子を生み出すだけでなく、自分自身が枯渇しないように分裂する自己複製能を保持しています。そのため、卵新生という現象を継続して支えることができるのです。

私は、生殖幹細胞の活性化状態を感知し、光で知らせる世界初のシステムを構築しました。このシステムのアピールポイントは、光っている細胞に対して遺伝子操作を行えることです。

たとえば、細胞が卵子前駆細胞に変化したあとも光り続ける遺伝子操作を行うことで、生殖幹細胞→卵子前駆細胞→卵子→受精卵→胎児→仔マウスという一連の運命変化を光で追跡し、良質な卵子を生み出す生殖幹細胞の能力を示すことができます。

一方、細胞死を誘導する遺伝子操作は、生殖幹細胞を死滅させることで卵新生を阻止します。この可視化システムが組み込まれた遺伝子改変マウスを作出することで、生殖幹細胞に始まる卵新生を実証し、その異常に起因する卵胞の消失を新たな卵巣老化の機序として示すことができます。

将来的には、生殖幹細胞の活性化を制御する薬物候補の探索を行い、卵巣から女性を美しく健康にする次世代型医療の開発に発展させていきます。

研究費サポートのお願い

このチャレンジで獲得した研究費は、遺伝子改変マウスの作出とその後の解析に必要な試薬の購入に使わさせていただきます。

今回、クラウドファンディングに挑戦したのには2つの理由があります。研究の継続に必要な資金を確保したかったという思いがひとつ、そして、卵新生という希望があることを世間に発信したかったことがもうひとつです。

生殖医学会の重鎮からは、「まだ認められていない現象を発信するのは無責任だ!」とお叱りを受けるかもしれません。しかし、この卵新生研究は、公的研究費による支援も受けています。つまり、今まで積み重ねてきた実験データや論文発表は信頼でき、投資するに値する研究であると客観的に判断されていることを意味します。もちろん、この判断を下した専門家は、生殖医学領域の方ではありません。私の行動は本当に無責任なのか、それは未来が証明します。

サイエンスの世界にドグマは不要です。信じる、信じないという宗教的な姿勢は、真実を追求するサイエンスの精神に反するからです。ドグマのために女性医療の可能性が押し潰されています。このチャレンジは女性医療の未来を切り開く大きな一歩です。ご賛同いただけましたら、未来への投資をよろしくお願いいたします。

挑戦者の自己紹介

新倉雄一

1974年3月生まれ。幼少期はダンゴムシに夢中で、大きな石を姉に裏返してもらってはじっくり観察。その成果をポケットに詰め込み、台所の母にプレゼント。なぜ怒鳴られたのか理解できないピュアな性格でした。幸か不幸か、まっすぐな性格は今も変わらず。周りが何と言おうとも、忖度せず、自分の五感を頼りに真実を追求しています。女子学生の多い薬学部の教員ということもあり、彼女たちには社会で長く活躍し、後進の育成に携わってほしいという想いがあります。女性を幸せにする医療は家庭や社会を元気にするが私の考え。卵巣の視点から、世界を変える女性医療の創出を目指しています。

2003−2005年 東京大学医科学研究所 博士研究員
2005−2010年 ハーバード大学医学部 博士研究員(2008年よりインストラクター)
2010−2011年 ワシントン州立大学  独立助教
2011−2019年 武蔵野大学薬学部   講師
2019−2021年 城西国際大学薬学部  准教授(現職)

研究計画

時期 計画
2021年4月 遺伝子改変マウスの作出開始
2021年10月 遺伝子改変マウスの完成および繁殖開始
2021年12月 生殖幹細胞の探索と性周期が同細胞の活性化に及ぼす影響の解析
2022年3月予定 日本薬学会にて成果発表
2022年6月予定 日本抗加齢医学会にて成果発表
  • 本チャレンジの100万円で実施可能な研究活動はここまでとなります。

リターンの説明

リターンの金額に加え、追加支援をすることができます。追加支援分には消費税がかかりません。
1,100 円 (税込)
注目のリターン : 研究報告レポート(PDF版)

ご支援の記録として、研究活動内容をまとめた電子媒体をお送りいたします。

リターン内容

研究報告レポート(PDF版)

43人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

5,500 円 (税込)
注目のリターン : 研究レポート・学会発表謝辞にお名前掲載、バラの香りの化粧水

2021年度の学会発表において、発表スライドの最後に謝辞としてお名前を掲載させていただきます。参加予定の学会は日本薬学会、日本抗加齢医学会です。また、城西国際大学長 杉林堅次先生が研究開発されたバラのエキスが入った化粧水をお送りいたします。

リターン内容

研究レポート・学会発表謝辞にお名前掲載 / バラの香りの化粧水 / 研究報告レポート(PDF版)

25人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

11,000 円 (税込)
注目のリターン : オンライン研究報告会

研究報告会を城西国際大学で開催します。その模様はYouTubeにてライブ配信いたします。なお、会場へ足を運ばれた参加者の方々には、薬学部オリジナル薬草園カレンダーを配布いたします。

リターン内容

オンライン研究報告会 / 研究レポート・学会発表謝辞にお名前掲載 / バラの香りの化粧水 / 研究報告レポート(PDF版)

26人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

55,000 円 (税込)
注目のリターン : 論文謝辞にお名前掲載

ドグマを壊す歴史的な1ページを、熱くサポートして下さった方々と共有させていただきます。

リターン内容

論文謝辞にお名前掲載 / オンライン研究報告会 / 研究レポート・学会発表謝辞にお名前掲載 / バラの香りの化粧水 / 研究報告レポート(PDF版)

4人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

110,000 円 (税込)
注目のリターン : 女性医療に関する個別オンライン講義

研究データに基づく未来の女性医療についてオンライン講義を個別に行います。出張講義も可能な限り対応いたしますが、交通費をご負担いただくこともございます。その旨、ご了承ください。

リターン内容

女性医療に関する個別オンライン講義 / 論文謝辞にお名前掲載 / オンライン研究報告会 / 研究レポート・学会発表謝辞にお名前掲載 / バラの香りの化粧水 / 研究報告レポート(PDF版)

3人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

このプロジェクトは、 2021年01月06日(水) 10時00分 から 2021年03月11日(木) 17時00分 までの間に目標金額1,000,000円を達成した場合のみ、決済が確定します。
お支払について
お支払にはクレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、Pay-easy、PayPalをご利用頂けます。
追加支援について
リターンの金額に加え、追加支援をすることができます。追加支援分には消費税がかかりません。
セキュリティについて

当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。

1,100 円(税込)

研究報告レポート(PDF版)

43 人 が支援しています。
(数量制限なし)

5,500 円(税込)

研究レポート・学会発表謝辞にお名前掲載、バラの香りの化粧水

25 人 が支援しています。
(数量制限なし)

11,000 円(税込)

オンライン研究報告会

26 人 が支援しています。
(数量制限なし)

55,000 円(税込)

論文謝辞にお名前掲載

4 人 が支援しています。
(数量制限なし)

110,000 円(税込)

女性医療に関する個別オンライン講義

3 人 が支援しています。
(数量制限なし)

注目のプロジェクト一覧
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