皆様のご支援のおかげ様で、チャレンジ最終日にして2nd ゴール 120%(150万円)の目標を達成することができました。誠にありがとうございました。
今回のチャレンジでこれほど多くの皆様に支えていただけたことの感謝を強く感じています。
それと同時に多くのご期待の声もいただき、ぜひそれに応えなくてはという、身の引き締まる思いも感じております。
皆様からのご支援を大切に活用させていただいて、研究を進めてまります!
蛭子 まこと
日常生活にはさまざまな場面で“泡”が存在します。石鹸で手を洗うときの泡やシャンパンから出る泡、水を沸騰させたときに浮き出る泡など……。ウルトラファインバブルはこれらの泡とは比較にならないほど小さな、ナノメートルサイズの泡です。通常の2〜3mmの泡を東京ドーム(直径244m)くらいの大きさとすると、100〜200nmのウルトラファインバブルはビー玉くらいの大きさしかありません。小さすぎて、どんなに性能がよい顕微鏡でも見えないほどです。
ウルトラファインバブルには、通常の泡にはない不思議な性質が多くあります。たとえば、通常の泡は水面に浮かび上がりすぐに割れてしまいます。ところがこのウルトラファインバブルは内部に気体を閉じ込めたまま浮かび上がることなく、最長で数週間、水中にとどまり続けるという不思議な性質をもっているのです。ウルトラファインバブルを含む水は見た目には無色透明ですが、レーザー光線をあてると、光を反射してキラキラとかがやいて見えます。
さらにウルトラファインバブルには超音波(人間の耳には聞こえない非常に高い音)をあてると収縮と膨張を繰り返し(オシレーション)、最後には破裂してしまう(キャビテーション)という性質があります。
ウルトラファインバブルの「内部に気体を閉じ込めたまま、水や血液の中で長時間存在し続ける」「超音波の照射によって破裂する」などの性質は、医療にも革新をもたらす可能性があります。 私たちの研究室ではこのウルトラファインバブルに目をつけ、長年にわたりその特殊な性質の解明と社会への応用に向けた研究に取り組んできました。
私は、脳神経内科医として神経疾患の診療とその病態解明研究に携わるなかで、ウルトラファインバブルと出会い、さまざまな神経疾患の遺伝子治療に応用できるのではないか? と考えるようになりました。ウルトラファインバブルに超音波をあてた際の激しい破裂のエネルギーを利⽤して、標的の細胞の壁に微小な孔(あな)を開けることができるため、細胞にさまざまな病気の治療薬や治療遺伝子を送り届けるための「魔法の弾丸」(ドラッグデリバリーシステム)として利用できるかもしれないと考えたのです。
遺伝子はタンパク質の鋳型になる物質で、一度細胞内に入れば、そこに長くとどまり続けます。神経疾患の治療効果をもったタンパク質の鋳型となる遺伝子を中枢神経の中に送り込むことができれば、そこから次々とタンパク質が作られ、病気の治療効果が得られることが期待できるのです。私たちは、ウルトラファインバブルを⽤いて、培養細胞や実験⽤ネズミをに対し遺伝子導入ができるかどうかを検討しました。その結果、超音波を照射した体の部位だけに緑⾊の光を発するタンパク質の遺伝⼦を導⼊することに成功し、その安全性と有効性を論⽂に報告しました。
このウルトラファインバブルを用いて、現在、私たちが挑んでいるのがアルツハイマー病の治療法の開発です。
アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)は進行性に物忘れや思考能力の障害を生じる神経疾患です。疾患が進行すると、言葉や家族の顔も忘れ、何気ない日常生活を送る能力さえも失われてしまうことから、高齢化が進む日本を含め、世界中で深刻な社会問題となっています。
アルツハイマー病では脳内に「アミロイドβタンパク質」や「タウタンパク質」という病原たんぱく質が蓄積していきます。これらは神経細胞で生じる、いわば生活ゴミのようなものです。その結果、記憶や学習に関わる神経細胞(ニューロン)と、神経細胞同士のつながり(シナプス)が徐々に破壊され、失われていくことで症状を発症します。
現在、世界中の多くの研究者が、アルツハイマー病を克服するために遺伝子治療の開発研究に取り組んでいます。異なる機能のさまざまな遺伝子を用いて研究が進められていますが、特別な「タンパク質分解酵素」を作り出す治療遺伝子を脳内に届ける試みもそのひとつ。導入した遺伝子から作られた分解酵素が、原因となるアミロイドβなどの病原タンパク質を取り除くことで、アルツハイマー病の進行を防げるのではないかと考えられています。
私たちは現在、ウルトラファインバブルを使って、脳などの中枢神経に遺伝子を届ける方法の研究を進めています。今回のチャレンジでは、ウルトラファインバブルと超音波を利用して、タンパク質分解酵素の治療遺伝子を届けることで、アルツハイマー病の症状である記憶・学習障害といった症状を改善させることを目指します。具体的には、アルツハイマー病を再現したネズミの小動物モデルに、たんぱく質分解酵素の遺伝子を導入して、その症状の改善効果を確認する「行動評価」や、神経細胞の数やつながりの改善を確認する「病理評価」を行います。こうした動物モデルで得られるデータは、将来的な臨床試験(実際の患者さんにご協力いただく試験)を実施する上で欠かせないものです。
私は、これまで様々な神経難病や認知症に苦しむ多くの患者さんやそのご家族に出会ってきました。そのような患者さんたちを救う治療を、自分自身の手で開発したいという想いが現在の研究につながっています。その過程で不思議な”泡”、ウルトラファインバブルに出会い、これまで研究を進めてきました。ウルトラファインバブルを用いたドラッグデリバリーシステムは、革新的な医療開発につながると確信しています。
ご支援いただいたお金は、ウルトラファインバブル発生装置の改良、治療遺伝子の設計や増幅、細胞や実験動物の購入と維持、その他の試薬の購入、プロジェクトを支えてくれている実験助手さんへの謝金などとして活用させていただきます。なお、本研究は福岡大学の適切な審査機関の承認を受けたうえで、動物愛護の精神に則り実施します。
ウルトラファインバブルが、これまでのアルツハイマー病治療を変える新たなカギになると私は考えています。ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
貴田浩志
時期 | 計画 |
---|---|
2021年3月 | クラウドファンディング挑戦 |
2021年6月~ | 実験開始 |
2022年5月 | 学会発表@日本神経学会 |
2022年7月 | 学会発表@日本DDS学会 |
2023年4月 | 論文投稿 |
研究の詳細な進捗などをまとめてお送りします。研究が進行していく過程でのさまざまな困難やそれを乗り越えた後の達成感などを一緒に感じていただければ幸いです。応援よろしくお願いいたします。
研究報告レポート
25人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
サポーターの皆様全員にお送りする研究報告レポートの謝辞にお名前を掲載いたします。
研究報告レポートにお名前掲載 / 研究報告レポート
16人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
今回の研究テーマに関する話題だけでなく、世界中で進められている、神経難病や認知症の革新的治療の開発研究の現状と未来、そして医療分野に限定しないウルトラファインバブルの様々な社会応用の可能性について、皆様とともに語っていきたいと考えています。
※当日参加できなかった方には後日発表資料を送付いたします。
サイエンスカフェ@オンライン / 研究報告レポートにお名前掲載 / 研究報告レポート
36人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
我々の研究室で作成したウルトラファインバブルを含む水を2mlくらいの小瓶に入れてお届けいたします。2〜3週間はレーザーポインターの光(緑色がおすすめ!)をあてて、ウルトラファインバブルがキラキラと光り輝く様子を楽しむことができます。
※こちらのリターンの送付先は日本国内に限定させていただきます。
ウルトラファインバブル水 / サイエンスカフェ@オンライン / 研究報告レポートにお名前掲載 / 研究報告レポート
7人のサポーターが支援しています (限定 50 個)
本研究成果を論文発表する際の謝辞にお名前を掲載いたします。論文は英文で国際雑誌に投稿し、極力インターネットから誰もが無料でダウンロードし自由に閲覧できる形で公開いたします。
※研究成果をまとめられるよう努力いたしますが、論文の掲載に至らない可能性もございますこと、ご承知おきいただけますと幸いです。
論文への謝辞掲載 / ウルトラファインバブル水 / サイエンスカフェ@オンライン / 研究報告レポートにお名前掲載 / 研究報告レポート
8人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ご支援いただいた方、それぞれの興味に合わせて幅広いテーマで、個別にオンラインでセミナーを実施いたします。アカデミア(研究機関)でどのように研究が進められているのかを知りたい、実際に実験の風景を見てみたいという方に向けて、模擬的な研究室体験も可能ですし、ウルトラファインバブル研究や神経難病の遺伝子治療研究を行いたいという研究者の方に向けて、より専門的なウルトラファインバブルの発生方法や測定方法、それを用いた遺伝子導入方法のノウハウの講習を行うこともできます。
個別研究セミナー@オンライン / 論文への謝辞掲載 / ウルトラファインバブル水 / サイエンスカフェ@オンライン / 研究報告レポートにお名前掲載 / 研究報告レポート
4人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
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