支援いただいたみなさま,
伊藤雄馬です。
本日,開始1週間で目標額を達成いたしました!
ありがとうございます!スピード達成に驚いています。
まだまだ支援募集期間は続きますので,セカンドゴールを設定したいと思います。
具体的にはまた進捗にてお知らせする予定ですが,一つはミャンマーでのムラブリ語以外の少数言語の調査(パラウン語など),そしてもう一つは独立系研究者としての活動方法の模索,この2点についてのプロジェクトを計画中です。
達成できたことで一安心しておりますが,これからが本番だと思っています。とは言っても,気負いすぎるのは柄ではないので,マイペースで進めます。そのせいで,皆さんをやきもきさせてしまうこともあるかもしれません。ご海容ください。
まずはビルマ語の勉強から少しづつ始めていきます。勉強や研究の様子についてはYoutubeなどでも発信していく予定です。そちらもまた追ってお伝えしていけたらと思います。
これからもよろしくお願いいたします!
伊藤雄馬 拝
世界では6000から7000ほどの言語がありますが、その多くが21世紀中に消えるといわれています。こうした消えゆく言語のひとつに、タイやラオスで話される「ムラブリ語(Mlabri)」があります。
ムラブリはタイ北部に住む狩猟採集民です。話者数は500名程度。現在は定住していますが、一昔前まで森で遊動生活を送っていました。その時代はなかなか彼らに会うことができなかったことなどから、いまでも現地では「黄色い葉の精霊」として知られています。学術的にさまざまな分野から注目されており、言語学的には世界の言語には認められない珍しい特徴を複数持つ言語として研究が行われてきました。また遺伝学の研究成果では、ムラブリはずっと狩猟採集民だったわけではなく、700年ほど前に農耕民から狩猟採集民に移行した珍しい集団だと考えられています。
言語は変化し、そして分かれていきます。ムラブリ語も例外ではありません。500名という小規模な言語でありながら、3つの方言が確認されています。しかし、その方言のあり方が少し変わっています。それは文法が同じで語彙のみが異なることです。言語が分かれる大きな原因として、音の変化を含めた文法の変化があります。しかし、ムラブリ語の方言には文法の変化は認められません。異なるのは語彙だけなのです。
ではなぜ語彙だけが異なるのでしょうか。その理由として考えられるのは、忌避関係です。それぞれの方言を話す集団は、お互いのことを「人食いだ」「攻撃的だ」と言って忌み嫌い、会おうとしません。しかし森で移動生活をしていた時代に他の集団と遭遇する機会があった場合には、見た目では同じ集団かどうか判断できません。そんなとき、彼らは言葉に頼ったといいます。つまり、同じ言葉遣いをしていれば、同じ集団だと見なしたのです。
「自分たちは別の集団とは違う話し方をしよう」。そう考えた結果、語彙の入れ替えが起こったため、ムラブリ語は方言として分かれていきました。このような言語変化は「秘儀化(esoterogeny)」と呼ばれ、いくつかの報告がなされています。日本語の業界用語やギャル語も広義の「秘儀化」に相当すると考えられるでしょう。
※言語の変化についてはacademist Journalの記事『「分岐」という言葉でつなぐ、深海生物テヅルモヅルと希少言語ムラブリ語 – アカデミスト学会ランチョン座談会レポート』でもご紹介しています。
私はこれまで、タイやラオスを中心に現地に入り込み、フィールドワークを通してムラブリの言語文化を調査研究してきました。ただし今回の調査は、タイやラオスではなく、隣国のミャンマーで実施しようとしています。実は、あるレポートによると、ミャンマーの北方にもムラブリと呼ばれる人々が存在している可能性が示唆されています。彼らは本当にムラブリなのか? またムラブリだとしたら、どの方言を話す集団なのか? それともまた別の方言を話しているのか? もしかしたら、未発見の言語を話す集団の可能性もあります。その判断は、ムラブリ語を研究する私が現地に行って判断するしかありません。
また、ムラブリの民族的起源は謎に包まれています。現在ではほとんどのムラブリは定住しており、森の生活から離れてしまっているため、森で生活していた時代の情報がほとんどないためです。もしミャンマーのムラブリがいまだに森で生活しているのであれば、ムラブリの起源を解き明かす鍵になる可能性があります。
ミャンマーのムラブリも他の地域のムラブリと同様、その地域の少数民族であり、その言語文化が長い間保持されるとは考えにくい状況にあります。一刻も早く、彼らに接触し、記録を残す必要があります。
2020年3月に大学教員を辞め、独立研究者となりました。いちばんの理由は、自分の研究活動に関して自分自身が制限をかけてしまっているという思いがあったためです。研究の成果として学術雑誌への論文投稿のみを目指すことが、研究活動を制限している。本来、知的好奇心が出発点になるはずの研究が、業績を追い求める手段になっていた。そうした状況に疑問を持ったことが、独立研究者として歩み出すきっかけになりました。
独立研究者として研究の過程を広くオープンにすることで、研究に興味を持ってもらい、また研究者として生きることをより風通しの良いものにしたい。そんな思いから今回、クラウドファンディングに挑戦することを決めました。ご支援いただいた資金は、ミャンマーへの渡航費や現地の移動費、コーディネーター人件費、宿泊費、食費などに利用する予定です。
今回のプロジェクトでは、調査に向けての準備(語学の勉強、先行研究の蒐集、調査票の作成など)、また実際のフィールドワークの様子などを公開していきたいと考えています。言語学のフィールドワークでは、現地で言葉を学んでいくことになりますが、その様子は教室で学ぶ語学とはまったく異なる経験です。その面白さと大変さを、ぜひ皆さんと共有できればと思っています。
時期 | 計画 |
---|---|
2020年5月 | クラウドファンディング公開 |
2020年7月 | クラウドファンディング終了 |
2021年2月 | ミャンマーでのフィールドワーク開始 |
これまでのムラブリ語研究やミャンマーでの研究進捗などをレポートにまとめてお送りします。応援よろしくお願いいたします!
研究報告レポート(PDF版)
25人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ミャンマーでのフィールドワークの様子(動画)を先行公開いたします!ネットワーク環境が問題なければライブ配信の予定です。リアルな様子をお楽しみください!また、感謝の気持ちを込めて動画にお名前を掲載させていただきます。
現地の調査動画の先行公開 / 研究報告レポート(PDF版)
22人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ムラブリ語のオンライン勉強会にご招待いたします!話者が世界で500人ほどと言われるムラブリ語を話してみませんか?
ムラブリ語のオンライン勉強会 / 現地の調査動画の先行公開 / 研究報告レポート(PDF版)
6人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ミャンマーでのフィールドワークに向けたビルマ語の勉強を、みなさんと一緒にできれば嬉しいです!言語学者がどのようにして言語を勉強するのか、研究プロセスの一部を共有していきます。
ビルマ語のオンライン勉強会 / 現地の調査動画の先行公開 / 研究報告レポート(PDF版)
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ムラブリ民族の方が作っている手編みのバッグをお送りします!現地でしか手に入らない希少なものなのでこの機会にぜひお求めください。(画像はイメージです。)
手編みのバッグ / ビルマ語のオンライン勉強会 / ムラブリ語のオンライン勉強会 / 現地の調査動画の先行公開 / 研究報告レポート(PDF版)
10人のサポーターが支援しています (限定 10 個)
オンラインコミュニティにご招待します!みなさまと意見交換や情報交換をしながら研究を進めていけたら嬉しいです。
オンラインコミュニティ参加権 / ビルマ語のオンライン勉強会 / ムラブリ語のオンライン勉強会 / 現地の調査動画の先行公開 / 研究報告レポート(PDF版)
13人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究に関する学会発表をする際、謝辞にお名前を掲載させていただきます。お力をお貸しください。応援よろしくお願いいたします! ※学会発表が叶わなかった場合、その後の学会発表資料の謝辞にお名前を掲載いたします。
学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / オンラインコミュニティ参加権 / ビルマ語のオンライン勉強会 / ムラブリ語のオンライン勉強会 / 現地の調査動画の先行公開 / 研究報告レポート(PDF版)
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究成果を発表する際の謝辞にお名前を掲載させていただきます。 ※研究成果をまとめられるよう努力いたしますが、論文の掲載に至らない可能性もございますこと、ご承知おきいただけますと幸いです。
論文謝辞にお名前掲載 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / オンラインコミュニティ参加権 / ビルマ語のオンライン勉強会 / ムラブリ語のオンライン勉強会 / 現地の調査動画の先行公開 / 研究報告レポート(PDF版)
3人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
授業やイベント、勉強会など、オンラインで講演を行います。言語学やムラブリ語の研究について、また独立系研究者としてのキャリアについてなど、ご要望にお応えする形でお話しさせていただきます!
オンライン出張講演 / 論文謝辞にお名前掲載 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / オンラインコミュニティ参加権 / ビルマ語のオンライン勉強会 / ムラブリ語のオンライン勉強会 / 現地の調査動画の先行公開 / 研究報告レポート(PDF版)
2人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。
研究報告レポート(PDF版)
25
人
が支援しています。
(数量制限なし)
現地の調査動画の先行公開(可能であればライブ配信) 他
22
人
が支援しています。
(数量制限なし)
(プランA)ムラブリ語のオンライン勉強会 他
6
人
が支援しています。
(数量制限なし)
(プランB)ビルマ語のオンライン勉強会 他
0
人
が支援しています。
(数量制限なし)
(プランA)手編みのバッグ 他
10
人
が支援しています。
(限定 10 個)
(プランB)オンラインコミュニティにご招待 他
13
人
が支援しています。
(数量制限なし)
学会発表資料の謝辞にお名前掲載 他
0
人
が支援しています。
(数量制限なし)
論文謝辞にお名前掲載 他
3
人
が支援しています。
(数量制限なし)
オンライン出張講演 他
2
人
が支援しています。
(数量制限なし)