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「1校に1枚核図表」を! 原子核の世界観を届けたい

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Donation Type
SUCCESS
小浦寛之
日本原子力研究開発機構、研究主幹
Pledged: 1,731,000 JPY
Target Amount: 1,500,000 JPY
Funded
115 %
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157
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Support period closed

Reached the funding target!

1月30日より開始したクラウドファンディング「1校に1枚核図表」ですが、最終日の3月26日までに目標額に達し、成立致しました。

支援総額 1,711,000円(目標額 1,500,000円)
サポーター 155人

150名を超える方々からのご支援をいただきました。
今回の企画に賛同していただき、サポートしていただいた方々には大変感謝致します。

現在新型コロナウイルスの関係で本期間中に企画していた核図表を用いた講演会やイベント(つくば市、東海村(3月))が中止になっています。
大変な時期でありますが状況が収束することを願いつつ、今後の制作および講演の内容を練って行きたいと思います。皆様にも健康に気をつけてお過ごしください。

今後、核図表の制作にかかります。完成予定の秋以降に核図表を発送し、また並行して講演会および出張講演を実施して行きます。
出張講演に関して、興味のある学校関係の方々にはご検討頂き、ご連絡いただければと思います。今回ご支援(寄附)の有無に関わりなくご相談下さい(100,000円ご支援(寄附)に対するリターン(希望者への出張講演)は優先させて頂きますが、本企画の趣旨としても、より多く実施できればと考えています)。

今回の活動を通し、様々な方々の声を頂きました。原子核研究・利用の方々からは核図表の普及への期待を頂き、また特に原子核関連以外の方々からのご意見は非常に刺激を受け、大変参考になっています。この場を借りましてお礼申し上げます。

核図表を通して原子核の世界観を広く届けて行きたいと思います。引き続き活動へのご理解とご支援をよろしくお願いします。

小浦寛之 https://researchmap.jp/read0208830/?lang=japanese

Comment from academist staff
国内外の研究者に約40年提供してきた核図表を、高校生・一般向けにリニューアル

academist編集部

今回のチャレンジャーは、理論物理の立場から原子核の性質について研究を進めてきた小浦さんです。日本の理化学研究所の113番新元素合成実験に立ち上げ時から関わってきたほか、原子核の性質を統一的に理解するため「原子核の核図表」を整備する仕事も手掛けており、これまで国内外の研究者らに対して最新の核図表を提供してきました。今回はこの歴史ある専門家向けの核図表を、高校生・一般向けにも展開することで、原子核の世界の奥深さを広く伝えていくことを目指します。核図表を日本の高校へ配布して「1校に1枚核図表」を実現させるため、ぜひご支援をお願いいたします!

ニホニウム合成も、宇宙における元素生成も、すべては原子核同士の反応

2016年、 理化学研究所などが合成した113番目の元素が「ニホニウム(Nh)」と命名されました。これは日本そしてアジアとして初めての成果です。ニホニウムをはじめとする原子番号の大きな元素は「超重元素」と呼ばれ、原子核と原子核をくっつけることにより人工的に作られたものです。そしてニホニウムを合成した証拠は、原子核の性質のひとつである「α崩壊」の連鎖現象を調べることにより得られました。ニホニウムは世界最高レベルの加速器と、そこで作られた新元素を上手に分離して取り出し測定する技術、そして10年に渡って継続して実験し続けたことによって得られた成果といえます。

原子核と原子核をくっつけて元素を作る——これは実は、我々を取り巻くすべての物質が創生されるにあたって宇宙で行われてきたことです。炭素も、鉄も、金も、そしてウランも、すべて宇宙の星々で作られました。ニホニウム合成も、宇宙における元素の生成も、すべては原子核同士の反応がカギとなっているのです。

私たちの生活にも関わる原子核の性質

原子核の性質は私たちの生活に少なからず影響を与えています。たとえば私たちが体の内部を調べる際に用いる画像診断装置「ペット(PET)」は、原子核の崩壊事象から出る反粒子を利用したものです。古代の木造遺構の調査では、遺構に含まれる炭素の原子核崩壊を調べることで、数千年単位にわたって過去を探ることができます。原子力エネルギーで利用されるウランは、星の大爆発で溜め込まれたエネルギーを利用しているとも見ることができます。いわば「星のエネルギーの化石燃料」といえます。

このような視点は、私たちの日常生活ではあまり意識しないかもしれません。しかし「私たちを取り巻く物質、そして物質の世界はどのようにできているのか」という問いは、私たちが生きていくにあたってどこかで意識するべきものだと思います。宇宙が過去から未来まで普遍でなく今から138億年前に始まったことや(時間の理解)、物質はどれだけ小さくしても物質のままではなく、原子、または原子核といった最小単位が存在すること(物質の理解)などは、世の中を科学的に捉える姿勢から得られた知見です。理学系の研究の意義のひとつは、このような新しい世界観を見出し、そして社会に提供することにあると思います。

「核図表」を一般向けに作ることで、原子核の世界の奥深さを伝えたい

「陽子」と「中性子」からなる原子核は、その組み合わせによっていろいろな種類が存在します。私たちの身のまわりに自然に存在する原子核は300種類弱ですが、人工的に作られる原子核は3000種類を大きく超えます。

原子核の最新研究データは世界中の研究機関で共有されています。そして、それらのデータをまとめて並べたものが「核図表」です。原子力機構ではこれまで約40年のあいだ、世界中の最新データを取り込みながら、核図表を継続的に作成・改定し、国内外の関係研究者に提供してきました。

今回のプロジェクトでは、この歴史ある核図表を高校生や一般向けに作り直すことに挑戦します。「元素の周期表」を学び始める高校生に、原子核の核図表も合わせて勉強してもらうことで、原子核の世界を平易に体験してもらいたいのです。核図表からは、たとえば次のような体験が得られると考えています。

1) 宇宙で合成されたとされる元素を「周期表」ではなく「核図表」で見ることで、その成り立ちが理解しやすくなります。宇宙誕生のビッグバンにおいて、水素、ヘリウム、リチウムしか作ることができなかった理由や、ウランが地球に存在することの不思議さなどを核図表から視覚的に実感できます。もちろん、解説も記載します。

2) ニホニウムなどの超重元素は核図表ではきわめて辺境に位置することがわかります。そして超重元素の研究者が何を目指しているのかが視覚的に理解できます。

3) トリチウム(トリチウム水)、炭素14(年代測定利用)、フッ素18(PETに利用)といった放射性同位体の性質も核図表に実験データとして掲載するため、「原子核の辞典」としても利用できます。

私たちはこれまで、高校生を中心に、小学生から大学生、一般のサイエンスカフェまで、核図表に関する講演を幅広く行ってきました。特に「宇宙の錬金術」というテーマの講演では、物質の成り立ちを「宇宙」という大きい世界と「原子核」という小さい世界の両方から理解することができるため、聴講者の興味を強く引いているようです。また、「ニホニウム」というテーマの講演では、日本初の新元素合成というとてもエキサイトな話題とともに、日本とロシアの先取権競争の熾烈さ、そして両研究機関が選んだ原子核の組み合わせが成否の明暗を分けたという物語を語ることで、インパクトを与えています。

このようなアウトリーチ活動を広げるべく、今回のプロジェクトではこれまで英語版だった核図表の日本語を作成します。そして裏面には、これまで記載していた研究者向けのデータ集の代わりに、原子核のコラムや解説記事を掲載し、初めて核図表を触れる人にもその使い方がわかるように構成します。1枚綴り・16ページ・A4版の核図表を広げて見ると、その大きさに圧倒されるかもしれません。「我々はこれだけの原子核を知ったことになるのか」「まだ知らない原子核もこれだけあるのか」と、思いを巡らせながら核図表を楽しむことができます。

Why we need your support

今回のプロジェクトにおける大きな柱は2つです。

1) 核図表を日本の高校へ配布し、「1校に1枚核図表」を実現する
2) 核図表を用いた「宇宙の錬金術」「ニホニウム」講演など、高校での出張講演を実施する

まずは地元である茨城県、福島県の高校からスタートし、全国のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)など科学に興味のある高校を中心に核図表を配布していきます。また出前講演を通し、原子核の世界を全国の高校、ひいては社会一般に広げていきたいと考えています。

今回のチャレンジでいただいた資金は、1200部の核図表の作成、および出前講義の諸準備(核図表説明模型作成費、旅費など)に充てたいと思います。資金が多いほど、作成できる部数および配布する範囲が拡大します。また「ぜひこの地域に配ってほしい」「ぜひ講演を受けたい」という要望がありましたら、できる限り対応いたしますのでお知らせください。

私が原子核に興味を持ったのは「物事のしくみを知りたい」と思ったのがきっかけでした。そのなかで、物質を構成している元素は原子からできており、さらに原子は原子核と電子からできていることを知り、原子核の性質を理解することは物事を理解することにつながる、と思うようになりました。

現在では、原子核の性質を理解するために、主に理論物理の立場から研究に取り組んでいます。核図表という"原子核の世界地図"を通して、原子核の性質の統一的理解を目指した研究を進めるためにも、高校生のみなさんや一般の方々の理解は非常に重要であると考えています。ご支援のほどよろしくお願いいたします。

***
ご寄附いただいた皆様へ、確定申告により税制上の優遇措置が適用される領収書を日本原子力研究開発機構より発行致します。なお、領収書の日付は、お申込み受付日やカード決済口座からの振替日ではなく、アカデミスト株式会社より日本原子力研究開発機構に入金された日付となります。予めご了承ください。

【法人様からのご寄附】
・寄附金の合計額と寄附金の損金算入限度額のいずれか少ない金額が損金に算入されます。なお、損金算入限度額は、その法人の資本や所得の金額によって異なります。詳しくはこちらをご確認ください。

【個人様からのご寄附】
・所得税…寄附金額(総所得金額の40%を上限とする)から2,000円を差し引いた額が、当該年の課税所得から控除されます。 詳しくはこちらをご確認ください。
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Profile

小浦寛之

小浦寛之(こうらひろゆき)
日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター 研究主幹。茨城大学大学院 理工学研究科 客員教授。津田塾大学 学芸学部 非常勤講師。理化学研究所 仁科加速器研究センター 客員研究員。

小さい頃は歴史などにも興味を持っていましたが、高校の頃から「物のしくみ」に興味をもち、物理を学ぶようになりました。大学院時代は、並行して高校や大学で物理を7年ほど非常勤で教えたのち、現在の職場で原子核物理理論の研究を進めています。2001年から2004年に理化学研究所に在籍した時に113番元素(ニホニウム)合成実験プロジェクトにそのキックオフから関わりました。「日本で初めての新元素合成の成功」という歴史的な場面に共同研究者(論文共著者)として最初から最後まで立会うことになりました。核図表作成は2000年から関わり、現在まで原子核・原子力関連の研究者を中心に広く情報発信をしています。

小学生はサッカー、野球、中学はバドミントン、高校からは弓道に親しんできました。弓道は全国高校総体で個人3位入賞など。現在は弓道(四段を目指して精進中)、バドミントンなどを楽しんでいます。スポーツでは左利き。

Project timeline

Date Plans
2020年2月 クラウドファンディング挑戦
2020年4月 核図表作成
2020年9月 核図表完成、配布開始
2020年10月 講演会開始

Pledge Rewards

You may provide additional support in addition to the amount of your return. No sales tax will be charged on the additional support.
1,000 JPY
Featured : 活動報告レポート(電子版)、寄付金受領証

今回のプロジェクトの活動報告をいたします。

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活動報告レポート(電子版) / 寄付金受領証

5 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)

5,000 JPY
Featured : 核図表1部贈呈、寄付金受領証

今回のプロジェクトの活動報告をいたしますとともに、今回作成した核図表を1部贈呈いたします。

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核図表1部贈呈 / 活動報告レポート(電子版) / 寄付金受領証

83 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)

10,000 JPY
Featured : 核図表3部贈呈、寄付金受領証

今回のプロジェクトの活動報告をいたしますとともに、今回作成した核図表を3部贈呈いたします。利用用、掲示用、保管用などにご利用ください。

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核図表3部贈呈 / 活動報告レポート(電子版) / 寄付金受領証

54 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)

30,000 JPY
Featured : 核図表3部贈呈+核図表の利用マニュアル、寄付金受領証

今回のプロジェクトの活動報告をいたしますとともに、今回作成した核図表を3部贈呈いたします。また、核図表をより使いやすくするために核図表の利用マニュアルの詳細版(核図表の裏面で記載しきれなかったトピックや、例えば授業などで核図表を用いる際のポイントなども掲載。)を贈呈します。

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核図表3部贈呈+核図表の利用マニュアル / 活動報告レポート(電子版) / 寄付金受領証

12 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)

50,000 JPY
Featured : 核図表5部贈呈+核図表の利用マニュアル+講演会ご招待、寄付金受領証

今回のプロジェクトの活動報告をいたしますとともに、今回作成した核図表を5部贈呈いたします。また、核図表をより使いやすくするために核図表の利用マニュアルの詳細版(核図表の裏面で記載しきれなかったトピックや、例えば授業などで核図表を用いる際のポイントなども掲載。)を贈呈します。そして核図表を用いた講演会にご招待致します(希望者。参加されない場合は講演会配布資料を贈呈)。 *講演会は茨城県にて開催いたします。当日お越しいただけない方には、資料を送付いたします。また現地までの交通費はご負担をお願いいたします。

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核図表5部贈呈+核図表の利用マニュアル+講演会ご招待 / 活動報告レポート(電子版) / 寄付金受領証

1 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)

100,000 JPY
Featured : 出張講演、寄付金受領証

今回のプロジェクトの活動報告をいたしますとともに、今回作成した核図表を5部贈呈いたします。また、核図表をより使いやすくするために核図表の利用マニュアルの詳細版を贈呈します。そして核図表を用いた講演会にご招待いたします(希望者。参加されない場合は講演会配布資料を贈呈)。さらに希望する出張講演に伺います(一般、大学などを含みます。希望者)。講演では3次元核図表を用いた原子核の世界の紹介を、ご要望にお答えする形で行います(ニホニウムの話、宇宙の錬金術、など)。 *旅費・宿泊費等は含まれませんのでご留意ください。

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出張講演 / 核図表5部贈呈+核図表の利用マニュアル+講演会ご招待 / 活動報告レポート(電子版) / 寄付金受領証

2 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)

Supporters will be charged the funding amount only if the project reaches the funding goal (JPY 1,500,000) before 19:00 on March 26, 2020 (JST: GMT+9).
Payment options
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Additional Support
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Securities

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1,000 JPY

活動報告レポート(電子版)、寄付金受領証

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核図表1部贈呈、寄付金受領証

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10,000 JPY

核図表3部贈呈、寄付金受領証

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核図表3部贈呈+核図表の利用マニュアル、寄付金受領証

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