お久しぶりです!
ロケット着陸実験のクラウドファンディングのチャレンジをしていた新井久旺です.半年ぶりの進捗報告となってしまいましたが,小型実験機の昨年までの開発状況のご報告と、ご支援頂いた皆様へのリターンの予定についてのご連絡をさせていただければと思います.
●小型実験機の開発状況
まず小型実験機の開発状況についてです.
昨年9~10月に機体に用いるジェットエンジンの推力制御試験を行い,機体の高度制御に十分なデータを得ることが出来ました.またその他の制御アクチュエータや航法装置の試験も行いました.その後,10~11月にかけて機体のシステム統合と,東京大学柏キャンパスでの拘束飛行試験の設備設営を実施しました.そして12月には拘束飛行試験を本格的に開始しました.
拘束飛行試験では,墜落の危険の少ない比較的安全な環境で,小規模な飛行実験を何度も繰り返します.機体はワイヤーとロープで4本の鉄パイプの支柱に繋ぎ留められ,安全用のネットで覆われた縦横高さ4mの空間を飛行します.そこでの飛行実験の目標は,機体設計の不明確な特性を明らかにし,問題点を発見/修正し,ロケット着陸の誘導制御実験に向けて機体システムを完成させることです.
12月の拘束飛行試験では,機体制御の基本設計を検証する為の姿勢制御試験を10回程実施しました.ここで機体ロール方向(ロケットの進行軸回り)の制御は問題なく行えましたが,自律制御によるホバリングまでには至りませんでした(添付写真).制御データの解析の結果,エンジンの推力方向制御を改善する必要があることが判明しました.そこで,制御則のパラメータ調整とロジックの改良,エンジンジンバルの駆動モータとギアの改良,ロール制御用ダクテッドファンの構成変更を行う事になりました.また吊り下げ状態から始めていた姿勢制御試験についても,接地状態からの離陸に見直す事を検討しています.
また12月に入り,気温低下によるジェットエンジンの点火不良が多発し,飛行実験が予定通り行えない時もありましたが,こちらも点火プラグや始動ガスの調整を経て,解決に向かっています.
これらの改良を経て,1月上旬には姿勢制御試験を再開することが出来そうです.
1月中に自律飛行によるホバリングが成功した場合,3月までの期間でロケット着陸制御用のより高度な制御ソフトウェアや非常用パラシュート開傘に関わる飛行安全系の統合と試験,地上管制系の改良を行い,その後の機体拘束の無い飛行実験を目指します.
そしてロケット着陸の誘導制御実験は2021年度始めに開始する予定です.
●リターンの予定
次に,ご支援いただいた皆様へのリターンの予定についてお伝えいたします.
リターンの内容ごとに,次のような予定での実施を考えております.
研究報告レポート 2021年度中
研究報告レポートにお名前掲載 2021年度中
飛行実験映像謝辞にお名前掲載 2021年夏~秋
飛行実験報告会&360°VR飛行映像体験 2021年秋
実験機解説ツアー 2021年春
学会謝辞にお名前掲載 2021年度再度実施予定
飛行実験にご招待&論文謝辞にお名前掲載 2021年夏~秋(実験招待)/2021年度中(論文)
研究報告レポートは,着陸実験とそれらのデータの解析に関する学会発表/論文発表を行った後に,発行する予定です.飛行実験映像の公開は,最初の着陸実験後になる関係から2021年夏~秋を予定しています.飛行実験報告会についても,同様の事情から2021年秋ごろを予定しています.
実験機解説ツアーですが,こちらは拘束飛行試験により実験機の主要システムの開発に一段落がつき,拘束の無い飛行実験に移行する時期を予定する関係から,2021年春ごろを予定しています.また場所については,当初は東京大学本郷キャンパスでの実施をお伝えしてきましたが,拘束飛行試験場のある東京大学柏キャンパスでの実施も追加で検討しております.
学会謝辞へのお名前掲載についてですが,当初は2020年10月の第64回宇宙科学連合講演会にて飛行実験の途中経過を発表する予定でしたが,スケジュールの遅延に伴い,ここでの発表(と謝辞の掲載)は実験機の開発計画の報告に留まってしまいました.そのため,拘束飛行試験による飛行データが取得できた後,これについての学会発表を今後行う際に,謝辞にお名前を掲載させて頂きます.具体的な学会の機会については,今後の飛行試験の経過を見て判断致します.
飛行実験への招待については,問題なく着陸実験を実施できることが判明し,比較的余裕をもって対応可能な時期として,2021年夏ごろを予定しています.また学術論文へのお名前掲載については,データの解析や査読にかかる時間等から2021年度中を予定しています.
なお,飛行実験報告会.実験機解説ツアー,飛行実験へのご招待につきましては,新型コロナウイルスの感染拡大状況をふまえ,状況に応じてオンラインによる開催も計画しております.具体的なリターン時期/実施形態につきましては,1か月前にはご連絡させていただきます.
今後とも宜しくお願い致します.
支援頂いた皆様,研究に関心のある皆様,お久しぶりです.
コロナの影響で4月~5月にかけて実験機の開発の方は停滞しておりましたが,6月より再開しました.探査機の誘導制御理論の研究も並行しており,実験機に関しての進捗報告が遅れてしまいましたことをお詫びいたします.
6/19に搭載予定の小型ジェットエンジンの運転試験を実施致しました!
3回のエンジンの運転を行い,3回目ではタービンの最大回転数まで推力を上昇させました.画像は最大推力時の時の画像です!
試験後に温度センサの故障が判明しましたが,現在修理をしています.対気速度ゼロで最大回点数まで加速したことも一因と考えられ,実際の実験飛行の計画にも,この結果は活かす予定です.
実験機開発のスケジュールは,コロナによる大学の入構禁止や理論研究の進展等の影響も受けまして,遅れております.8月中には実験機の拘束状態でのホバリング試験を開始する予定で,それに向けて現在開発中です!
ご支援頂いた皆様へのリターンに関して遅れる形となってしまいますが,必ず飛行実験をまで達成致します.
今後とも宜しくお願い致します.
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