おかげさまで、クラウドファンディング開始後18日目の4月5日に、目標額150万円に達しました。4月8日現在、120人以上の多数の方にご支援をいただいています。調査隊OBOGのみなさんの、調査隊への熱い思いを感じると同時に、調査隊にこれまで縁のなかったはずのたくさんの方たちからも、温かい励ましとご支援をいただいたことに、驚いています。ほんとうにありがとうございます。
進捗状況でもご報告しましたが、3月末に、わたしたちが屋久島で使用していた車のうちの1台が故障し、廃車にすることに決めました。残りの車にも、いつ同じことが起こるかわかりません。150万円の目標達成で、1台の車を更新できることは確実になりましたが、2台目の車を更新するため、セカンドゴールとして、250万円を目指したいと思います。
どうぞ、引き続きのご支援をよろしくお願い申し上げます。
屋久島は、九州の南に浮かぶ周囲およそ100kmの島で、1993年に世界自然遺産に登録されています。屋久島の自然の最大の価値はその多様性にあります。海岸付近に広がる世界最大規模の照葉樹林、数千年の時を生きるヤクスギの森、山頂部に広がるヤクシマヤダケの草原など、1936mにおよぶ標高差に応じて、さまざまな環境が存在します。私たち「ヤクザル調査隊」は、屋久島の自然を総合的に理解することを目指し、屋久島にすむ動物の生態や自然環境の移り変わりを調査しています。そのなかでも特に研究を進めている動物が、ニホンザル(ヤクザル)です。
ヤクザル調査隊の結成は1989年に遡ります。屋久島は世界的にも有名な野生ニホンザルの調査地で、たとえば集落もなく、大規模な伐採も行われていない西部海岸部では、餌付けされたり畑を荒らしたりしていない、ニホンザルの本来の生活を観察することができます。彼らの生態を探ろうと、1970年代からたくさんの研究者が、双眼鏡とノートとペンを使って、何世代にもわたるサルたちの行動と生死を記録し続けてきました。こうして西部海岸部での研究が深化していく一方で、1980年代、集落近くでニホンザルによる農作物被害の拡大が深刻化しました。高まる地元からの不満の声にこたえようと、数十人の研究者によって結成されたのが、ヤクザル調査隊のはじまりです。
1989年当時、ニホンザルの調査が活発に行われていたのは西部海岸部のみでした。そこでヤクザル調査隊では、農作物被害地であった集落近くを含め、より広域のニホンザルの分布を明らかにして、被害対策に役立てることを目的としました。
広域の分布を調査することは簡単ではありません。周囲100km、標高差1936mの屋久島をどのように調査すれば有効な分布データが得られるか、まずはその方法の模索から始まりました。そして、定点調査員として参加する多数の学生と、サルの追跡を行う少数のプロの研究者とが組み合わさって行う、独自の方法を開発して調査を行いました。
屋久島全域をカバーする分布調査を終了したのは1997年のことです。そのあと、ヤクザル調査隊は、西部の標高1000m付近のヤクスギ林で、ニホンザルの個体数の変化についての継続的な調査を開始しました。先行して研究が進んでいた海岸部とはまったく異なる環境で、ニホンザルがどのように暮らしているのかを知るためです。それから20年以上が経過した現在、ニホンザルの社会のあり方に興味深い違いが見えてきました。
西部海岸部では、サルの群れの分裂や消滅が頻繁に起こり、群れの行動圏も、数年で大きく変わります。ところが、標高1000m付近のヤクスギ林では、群れの分布はきわめて安定で、20年前と同じような場所に、同じ群れが暮らしていることがわかりました。
標高によるヤクザルの生態の違いには、それぞれの自然環境が関わっていると考えられます。果実生産が多く、温暖で豊かな西部海岸部の森では、サルたちが群れ同士の熾烈(しれつ)な競合の下で暮らし、小さい群れが次々消滅しています。一方、果実の少ない貧しいヤクスギの森では、大きな群れも小さな群れも、同じように子供を生み育てながら共存しているのです。
このような、ニホンザルの生態や社会のあり方の変化の標高による違いは、数十年という長い時間スケールで継続的に調査を実施してきたからこそ、明らかになってきたものです。ニホンザルは、20年以上生きる、日本ではもっとも長寿の野生動物です。彼らの生態を理解するため、私たちは粘り強く調査を継続していきます。
昨年までの30年間の調査を経て、ヤクザル調査隊は、のべ参加者が1500人、実人数で900人以上にものぼる巨大な組織になりました。これまで、一般の大学生を主体とする数多くのボランティア調査員が屋久島に集まって、研究者とともに調査のバトンを引き継いできました。この調査では、電気・ガス・水道のない屋久島の山の上で、1週間以上、数十人がキャンプしながら生活します。ひとりひとりの調査員が、大学や専攻、調査経験の壁を越えて、調査というひとつの目的のために、同じ釜の飯を食べ切磋琢磨しながら得たものは、積み重ねられたデータと同じくらい大きなものです。
生態学の研究者として大学や研究機関に職を得た人だけでなく、公務員、高校の教員、会社員、自然保護団体の職員、獣医師、酒屋の店主、絵本作家など、さまざまな世界で活躍するOBOGの多くが、ヤクザル調査隊で得た経験を、かけがえのないものとして大事にしてくれています。多くの若者の学びの場でもあったこの調査隊を、これからも続けていきたいと思っています。
私たちヤクザル調査隊は西部の標高1000m付近のヤクスギ林で、ニホンザルの個体数や彼らの社会のあり方の変化、また、それらの変化と自然環境の移り変わりとの関係を明らかにすべく、継続的な調査を実施しています。さらに現在は、サル以外の動物にまで調査対象を広げています。具体的には、サルの食物となる果実の結実の調査、シカの個体数の調査、サルやシカの血を食べる動物であるヒルの調査などです。今後もヤクザル調査隊の調査内容を発展させていき、屋久島の自然を総合的に理解することを目指します。
調査に必要な車の購入資金の獲得のため、クラウドファンディングに挑戦することを決めました。調査地までは未舗装の林道を1時間運転しなければならないため、四輪駆動の丈夫な車が必須です。屋久島のレンタカー会社には、四輪駆動の車は1台しかありません。20人以上の調査員とその荷物を調査地まで上げるには、自分たちで車を確保する必要があります。現在、ヤクザル調査隊では、参加者の個人名義の車を3台所有していますが、いずれも1994年〜1999年式の古いもので、老朽化が進んでいます。屋久島の潮風にやられて車体の錆びが年々ひどくなり、今年の7月に迫った、次回の車検を通すのも難しいかもしれません。
ヤクザル調査隊では、参加者から参加費を集めて、食費や旅行保険、車の維持費を賄ってきました。ただ、新規に複数の車を購入するには、資金が足りません。また、大学から科学研究費などの公的研究費を受けて、無線機やGPSなどの調査用具をそろえてきましたが、車は通常の研究費で購入することはできません。みなさまからご支援いただいたお金とこれまで積み立ててきた資金をもとにして車を購入し、30年続いた調査を、さらに40年、50年と続けていきたいと考えています。
時期 | 計画 |
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2019年3月 | クラウドファンディング挑戦 |
2019年5月 | クラウドファンディング終了 |
2019年7月 | 車の購入 |
2019年8月 | 車を屋久島まで運ぶ、2019年度のヤクザル調査隊を実施(24日間) |
2019年9月 | 京都大学霊長類研究所で報告書作成作業 |
2020年以降 |
2019年同様、毎年夏に調査を実施
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毎年行っている調査報告書を、PDF版でお送りします。ヤクザル調査隊のホームページにもこれまでの調査報告書は掲載されていますが、サポーターの方にお送りする報告書には、これまで調査員限定で公開してきた図表や、調査員の感想も掲載されています。報告書にはご支援してくださったみなさまのお名前も掲載させていただきます。応援よろしくお願いいたします!
調査報告書(PDF版)にお名前掲載
28人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
調査の際に撮影した屋久島の森やニホンザル、調査風景の画像(電子版)20枚を、調査員が厳選してみなさまにお送りします。応援よろしくお願いいたします!
ニホンザル、ヤクスギの森、調査風景の画像(厳選20枚) / 調査報告書(PDF版)にお名前掲載
59人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
私たちが運営する公式のウェブサイト「ヤクザル調査隊(http://yakuzaru.php.xdomain.jp/)」にお名前を掲載させていただきます。お力をお貸しください!
「ヤクザル調査隊公式サイト」にお名前掲載 / ニホンザル、ヤクスギの森、調査風景の画像(厳選20枚) / 調査報告書(PDF版)にお名前掲載
42人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
全国各地にいるヤクザル調査隊OBOGが、屋久島の自然、ヤクザル調査隊、そして現在自分自身が取り組んでいる研究についてお話しします(開催都市:犬山、京都、東京(2回)、鹿児島、熊本、札幌、浜松)。これらのイベントは、調査隊OBOGにも公開しますので、調査隊員とも交流していただけます。ご参加をお待ちしています!日時や内容の詳細はヤクザル調査隊のサイト((http://yakuzaru.php.xdomain.jp/30th/cloud.html)をご覧ください。 ※付き添いの方1名もご参加になれます。 ※いずれのイベントにも参加することができます。 ※参加を希望される人数が受け入れ上限を超えた場合、先着順に、ほかのイベントにまわっていただくことがございます。 ※交通費、入園料等は、別途ご負担いただきます。
ヤクザル調査隊によるサイエンスカフェ参加権(2名まで) / 「ヤクザル調査隊公式サイト」にお名前掲載 / ニホンザル、ヤクスギの森、調査風景の画像(厳選20枚) / 調査報告書(PDF版)にお名前掲載
32人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
調査隊員の著書、下記のいずれか1点を、著者のサイン入りでお贈りいたします。 「サルと屋久島 ヤクザル調査隊とフィールドワーク」(旅するミシン店、半谷吾郎・松原始著)、「カラスと京都」(旅するミシン店、松原始著)、「ヤクシマザルを追って 西部林道観察ガイド」(あこんき塾、山極寿一著)
サイン入り著書 / ヤクザル調査隊によるサイエンスカフェ参加権(2名まで) / 「ヤクザル調査隊公式サイト」にお名前掲載 / ニホンザル、ヤクスギの森、調査風景の画像(厳選20枚) / 調査報告書(PDF版)にお名前掲載
14人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究成果を発表する際の謝辞にお名前を掲載させていただきます。 ※研究成果をまとめられるよう努力いたしますが、論文の掲載に至らない可能性もございますこと、ご承知おきいただけますと幸いです。
論文謝辞にお名前掲載 / サイン入り著書 / ヤクザル調査隊によるサイエンスカフェ参加権(2名まで) / 「ヤクザル調査隊公式サイト」にお名前掲載 / ニホンザル、ヤクスギの森、調査風景の画像(厳選20枚) / 調査報告書(PDF版)にお名前掲載
3人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
今年のヤクザル調査終了直後の2019年9月初頭、2泊3日の日程で、調査員が、みなさまのご支援で購入した車で屋久島をご案内します。西部林道でのニホンザルの観察、調査地のヤクスギの森の散策、調査基地の訪問、調査員や地元屋久島の方との交流会など、もりだくさんの内容です。同伴の方3名もご一緒に参加になれます。縄文杉や宮之浦岳登山、シュノーケリングなどの、別の屋久島観光をご希望の方は、ガイドをご紹介することもできます。 ※この日程で都合がつかない方には、別の時期を設定いたします。その場合、調査員との交流はありません。 ※屋久島までの交通費、屋久島での宿泊費、ガイドを雇う場合のガイド料は、別途ご負担いただきます。
屋久島を案内します! / 論文謝辞にお名前掲載 / サイン入り著書 / ヤクザル調査隊によるサイエンスカフェ参加権(2名まで) / 「ヤクザル調査隊公式サイト」にお名前掲載 / ニホンザル、ヤクスギの森、調査風景の画像(厳選20枚) / 調査報告書(PDF版)にお名前掲載
1人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。
調査報告書(PDF版)にお名前掲載
28
人
が支援しています。
(数量制限なし)
ニホンザル、ヤクスギの森、調査風景の画像(厳選20枚) 他
59
人
が支援しています。
(数量制限なし)
「ヤクザル調査隊公式サイト」にお名前掲載 他
42
人
が支援しています。
(数量制限なし)
ヤクザル調査隊によるサイエンスカフェ参加権(2名まで) 他
32
人
が支援しています。
(数量制限なし)
サイン入り著書 他
14
人
が支援しています。
(数量制限なし)
論文謝辞にお名前掲載 他
3
人
が支援しています。
(数量制限なし)
屋久島を案内します! 他
1
人
が支援しています。
(数量制限なし)