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土田 亮

東京大学、特別研究員PD

挑戦期間

2024/09/03 - 2030/03/31

最終活動報告

2026/07/02 21:28:35

活動報告

57回

サポーター

39人

経過時間

2024/09/03 08:00:00

クラウドファンディング後の研究活動

2025/04/08   メディア掲載・講演など COUNTER POINT 16期採択プロジェクトが決定!

2025/04/01   その他の成果 クラウドファンディングのおかげで共...

2025/04/01   資金調達 宝石産業都市の現代的展開に関する研究:スリランカ・ラトゥナプラ市における洪水・生業・商実践の関連性と都市のレジリエンスに着目して

2025/03/31   研究成果 書評 清水展『アエタ 灰のなかの未来:大噴火と創造的復興の写真民族誌』

2025/03/31   研究成果 書評 湖中真哉, グレタ・センプリチェ, ピーター・D・リトル 編『レジリエンスは動詞である』

2025/03/30   研究成果 学会近況 パネル1(日本語) 日本とスリランカ ―新自由主義経済、植民地的恐怖、映像メディア、良心の沈黙、災害

2025/03/18   メディア掲載・講演など 土田亮氏へのインタビューー個々人が意思をもって災害復興できる社会の実現を目指して

2025/03/07   メディア掲載・講演など 早川公のアカデミックソルト-文化人類学的アティチュードのすすめ- #72_人類学の視点で災害を見つめる に出演

2025/02/17   その他の成果 研究成果を「展示でフィールドワーク...

2024/11/27   メディア掲載・講演など いつか被災する私たちが助かり合うための「ボトムアップ型災害復興ビジョン」とは?土田亮氏インタビュー。

2024/10/01   資金調達 流域治水をめぐる科学技術社会と人と自然の関係性とその再編の探究:佐賀県武雄市を対象に

活動報告#056 やっと論文が出ました!

みなさん、こんにちは。つっちーです。
いつも温かいご支援・応援、本当にありがとうございます。
 
以前、採択のご報告をしていた英語論文が、国際学術誌『Disaster Prevention and Management』からやっと公開されました。
Ryo Tsuchida and Shiho Azuma
“Ethics in Aid and Being in a Quandary: Writing and Engaging Ethically during Post-Disaster Engagement and Commitment”
 
論文はこちらから無料でお読みいただけます。
https://doi.org/10.1108/DPM-12-2025-0445
 
日本語にすると、タイトルは「復興支援の倫理と途方に暮れること――災害後の関与とコミットメントを倫理的に書き、実践するために」といった意味です。
 
 
この論文で考えたのは、災害後の現場に関わる人が抱える「ままならなさ」を、どのように受け止め、どのように書くことができるのか、という問題です。
災害支援について語るとき、私たちはしばしば、「何ができたのか」「どのような成果があったのか」「どんな教訓を得たのか」「どんな感動的な復興のストーリーや苦難があるのか」を求められます。
 
けれども、実際の現場では、すべてがきれいに解決するわけではありません。
被災した人の力になりたいと思いながら、何もできない。
誰かの語りを聞きながら、どう応答すればよいのか分からない。
支援する側でありながら、自分自身も傷つき、疲れ、立ち止まってしまう。
関わり続けたいと思う一方で、そこから離れなければならないこともある。
 
 
こうした経験は、ときにわかりやすく「成功」や「失敗」という言葉だけでは捉えきれません。
それでも、支援者や研究者もまた感じた迷いや葛藤、傷つきは、成果報告や学術論文のなかでは、しばしば書かれないまま残されます。
 
私自身、そして共著者である東詩歩さんとともに、この悩みについてそれぞれの経験から部分的に分かち合いながら、取るに足らないかもしれないけれども見落とされそうな、かき消されそうな声ある声、声なき声を探してきました。
被災地での調査や支援に関わるなかで、自分が何をしているのか分からなくなったり、十分に応えられないことに無力さを感じたりしてきました。
 
この論文では、そうした状態を、乗り越えるべき一時的な迷いとしてではなく、「途方に暮れること」「どうしてよいか分からない状態にとどまること」=ままならなさ/being in a quandaryとして定義しました。
 
すぐに答えを出したり、経験を分かりやすい物語にまとめたりするのではなく、簡単には理解できないものを、理解しきれないまま引き受ける。そのうえで、自分が見たことだけでなく、見落としたこと、応答できなかったこと、自分自身が揺さぶられたことも含めて書いていく。

それは、弱さを告白することだけを意味しません。
誰かの苦しみを、自分に都合のよい「復興の物語」や「支援の成功談」といった美談や他者の道具化に回収しないこと。そして、研究者や支援者もまた、現場から切り離された中立的な存在ではなく、関係のなかで迷い、傷つき、変化する一人の人間であることを認めることです。
 
 
私たちは、このような書き方と関わり方を、災害後の現場における倫理の一つとして提案しました。
そしてこの論文は、私一人の経験から生まれたものではありません。
 
能登半島をはじめとする被災地で出会った方々、支援や研究について一緒に悩んできた方々、そして何より思考と実践の両面で伴走してくれた共著者の東詩歩さんとの対話を通して、少しずつ形になりました。
そして、現場に通い、考え、書き続けることができた背景には、クラウドファンディングを通して応援してくださっているみなさんの支えがあります。
 
研究の成果は、論文が公開された時点で完成するものではないと思っています。ここで考えたことを日本語でも伝え、被災地や支援の現場で活動する方々との対話へ戻していくことが、これからの課題です。
すぐには答えの出ないことに立ち止まりながら、それでも関わり、考え、書き続ける。
その営みを支えてくださっているみなさんに、改めて心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございます。
 
 
これからも、研究の過程と成果を少しずつお届けしていきます。
引き続き、応援をどうぞよろしくお願いいたします。
 
 
Thank you!

つっちー

土田 亮 2026/07/02 21:28:35
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