今月は現在進めているサフランに関する研究をご紹介したいと思います。
サフランは紀元前から、ヨーロッパでとても貴重で高価な香料、染料として利用されています。通常、スパイスの「サフラン」は、サフランCrocus sativusという植物の柱頭(めしべ)を指します。一つの花に3本のめしべしかありませんし、一つ一つ手作業でめしべを集めますので、値段がとても高くなります。1gで1000円以上で、販売されています。
サフランの産地はスペイン、フランスなどのヨーロッパが中心ですが、実は日本でも栽培されており、大分県竹田市や埼玉県鶴ヶ島市などでも栽培されています。
サフランの赤色はクロシンと呼ばれる色素によるもので、香りは精油成分サフラナールというものによります。スパイスとして有名なサフランですが、医薬品(生薬)でもあり、冷え性や更年期障害、月経困難などの女性特有疾患に使用されています。医薬品ですので、基準が満たされたものが、流通しています。しかし、サフランは天産品ですので、基準をパスしたものであっても、その他の成分によるばらつきは生じる可能性があります。
実際、私たちの研究では、医薬品用途で用いられるサフランであっても、メーカーの違いによって成分が異なることを明らかにし、具体的にどの成分の含量が異なるのかまで明らかにしています。なお、これらの内容の詳細は、次回の学会で発表しようと思っております。
サフランの香り成分サフラナールですが、サフランに含まれる色素成分クロシンの分解物の可能性も指摘されています。クロシンは光や水分に弱い構造ですので、保管方法が悪いと退色してきますが、その結果香りが強くなるのかも知れません。まだまだ、そのあたりの仕組みは詳しくは分かっておりませんが、サフランの品質に関わることなので、解き明かす必要があると思っています。