

Challenge period
2022-11-01 - 2027-10-31
Final progress report
Sun, 03 May 2026 21:57:55 +0900
Progresses
73 times
Supporters
32 people
Elapsed time
Tue, 01 Nov 2022 10:00:00 +0900

前回の記事では、「ボトルネック」という概念を手がかりに、仕事の中には
・決定論的に進む部分(物理的・機械的なフロー)
と
・解釈的に進む部分(人間の判断)
が混在している、ということを書きました。
そして、この二つが混ざり合っていることこそが、最適化を難しくしているのではないか(だから、その二つを峻別することにAIを使ったら良いのではないか)、という問題提起をしました。
その後あれこれ考えまして、まず、もうひとつの分類が必要だと思うようになりました。
実務の観点から見ると、「解釈的なもの」はさらに分解した方が良いと思っています。
個人・組織・決定論の三層構造
一見すると、「解釈的なもの vs 決定論的なもの」という二分法で十分に見えます。
しかし実際には、少なくとも次の三つに分けた方が、現実の仕事の構造をより正確に捉えられます。
個人の解釈による意思決定
例:寄付者が「このプロジェクトに共感できるか」「いくら寄付するか」を考える
組織の解釈による意思決定
例:広告予算をどれくらい配分するか、問い合わせ対応の人員をどう配置するか
決定論的なプロセス
例:寄付が完了した後に自動返信メールが送られる、といった因果的に決まる処理
この三つは明確に分かれているというより、一つのフローの中で連続的に現れるものです。
そして、組織での解釈に関する問題は、何らかの会議体などで合意を形成する必要があり、個人の意思決定や解釈の決めの問題とは別で扱う方が良いと思うようになりました。
ファンドレイジングのフローで何が起きているか
例えば、寄付の意思決定は次のような流れで進みます。
1. 広告に接触する
2. ランディングページを見る
3. 内容を理解する(必要なら問い合わせる)
4. 寄付を意思決定する
5. 金額・使途を選択する
6. 支払いを行う
7. 活用報告を受け取る
この一連の流れの中で、
-寄付するかどうかは個人の解釈に依存し
-広告の量や問い合わせ対応の速度は組織の意思決定に依存し
-決済やメール送信は決定論的に処理される
というように、三つの要素が絡み合っています。
ここで重要なのは、ある部分のボトルネックを解消するために、別の層の意思決定が必要になるという点です。
例えば、
広告に接触する機会が少ない
→ 解消するには広告予算(組織の意思決定)を増やす必要がある
→ しかし予算は年1回しか見直されない
問い合わせにすぐ答えてほしい
→ 解消するにはスタッフを増やす必要がある
→ しかし人員はすぐには増やせない
つまり、個人の意思決定のボトルネックが、組織の意思決定の遅さによって固定されてしまっている、という構造になっているのです。
解決の方向性:意思決定を予め決定論的にしておくことはできるか
では、このような構造をどうすれば改善できるのでしょうか。
一つの方向性は、意思決定をあらかじめ「決定論側」に寄せておくことです。
あるいは、アルゴリズム的にしておく、ということもできるかもしれません。
その都度の組織的意思決定ではなく、ポリシーやルールを決めておくということにも関連します。
例えば、
-ある一定額までの広告投資はアルゴリズムに委ねる
-チラシ在庫が一定水準を下回ったら自動発注することにする
-FAQや問い合わせ対応の一部をAIに任せることにする
といったことです。
こうした取り組みはすでに部分的には行われていますが、重要なのは個別の施策ではなく、どの意思決定を人間に残し、どれをあらかじめ委任できるのか、という問いだと思います。
(その案を作るために、生成AIを用いるということは十分ありえるように思っています)
さらに言えば、より本質的には
-これは本当に人間がその場で判断すべきことなのか
-これは本当に組織として年単位で決めるべきことなのか
-1個流し(フロー)で処理できないのか、それともバッチ処理が必要なのか
といった観点で、業務を再設計していくことが重要になります。
結論:ボトルネックの「正体」を考えることが重要
ボトルネックという言葉が広く使われるようになっている背景には、「どこを改善すれば全体が良くなるのか知りたい」という強いニーズがあります。
しかし実際には、
-個人の解釈
-組織の解釈
-決定論的なプロセス
が絡み合っているため、単純な最適化は難しいと感じます。
だからこそ必要なのは、自分たちの仕事のフローをどこまで分解して理解できているかです。
ファンドレイジングの改善のためには、単なるツール導入ではなく、仕事そのものの構造理解を深めるプロセスが要るのかもしれません。