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Sustainable Next-Generation Batteries Achieved with the Concept of "Element Strategy"

Monthly academist Prize 2nd adopted

Daisuke Igarashi

東京理科大学、1st year doctoral course

Challenge period

2022-05-16 - 2025-03-31

Final progress report

Sun, 31 Mar 2024 16:45:25 +0900

Progresses

29 times

Supporters

16 people

Elapsed time

Mon, 16 May 2022 10:00:00 +0900

アカデミスト忘年会の感想

最近大型施設での出張実験の準備でバタバタしており(今も東海村で活動報告を書いています)報告をするのがやや遅くなってしまいましたが,先日12月14日にCIC Tokyoとオンラインにて開催されたイベント「アカデミスト忘年会」について書きます.

アカデミスト忘年会はacademist Prize 第2期生のお披露目会的なイベントでした.
私を含むacademist Prize 挑戦者の60秒ピッチ,ポスター発表,特別講演,Twitter連動企画...と内容が盛り沢山で,とても2時間では足りない!もっと話したい!という感じの密度の濃いイベントだったと思います.
当日は他の月額支援型プロジェクトのチャレンジャーの皆さんも多くが現地で参加されていて,初めてリアルでお話をすることができました.これまでZoomミーティングでお話する機会は数回あったのですが,やはり(少なくとも私にとっては)リアルでお会いした方がその方の人柄や雰囲気を感じることができる気がして,楽しいです.

イベント時間の都合もありチャレンジャー全員の方とは交流できませんでしたが,何人かのチャレンジャーの方とは互いの研究についても,研究以外のことについてもお話をさせていただきました.
以下,イベントで詳しくお話させていただいたチャレンジャーの方の(超簡単な)ご紹介と,お話して思ったこと・感じたことなどです.

野口 真司さん:
私と同じ化学分野の研究をしている野口さん.北海道大学のご所属で,当日はイベントのために遥々北海道から飛行機で東京にいらしたそうです(!).
私と野口さんは研究の対象とする物質は違っていても方向性はよく似ていて,どちらも身の回りにありふれていて,無毒,低コスト,低環境負荷な元素を使って新しい材料・デバイスを開発しようという目標を持った研究です.
私の研究対象は次世代の蓄電池の材料ですが,野口さんの場合は色材の元になる発色体が研究対象です.野口さんのプロジェクトページにもありますが,確かに現在使われている顔料には,カドミウムイエロー(有毒なカドミウム(Cd)という元素を含む,黄色の顔料) などの毒性を含む元素を使ったものも多く,これを無毒な元素で置き換えた材料が作れたら大変価値のある成果になるだろうと思います.
やや専門的な話ですが,野口さんの研究で興味深いと思ったのは,私が主に取り組んでいる元素の置換という発想だけでなく,「構造色」という普通の(絵具などの)色とは違うメカニズムによる発色体の開発に取り組んでいる点で,専門外の私から見るととても斬新なアイデアのように思います.

野口さんとは研究分野がPrize 2期生の中では私ととても近いこともあり,12月初旬に行われたTwitterスペースでの若手研究者対談企画で私と互いの研究について対談をしていただきました.その際も↑に書いたような内容で盛り上がった議論ができたことを覚えています.

中野 佑紀さん:
中野さんも同じく,化学系の研究で「誘電体」という材料になる物質の研究をされています.中野さんの拠点は広島大学ということで,こちらも遠いところから足を運んでくださったようです.
中野さんの研究対象である誘電体というコトバの意味を説明するのはなかなか難しいですが,磁石に似た(?)性質を持った物質で,応用先として次世代型の半導体が想定されているようです.
その中でも中野さんは「単分子誘電体」と呼ばれる,分子レベルの非常に小さなスケールで誘電体として使える物質の研究をされており,イベントで実際にお話しをさせてもらう以前から私は個人的に中野さんの研究に興味津々でした.
誘電体材料については学部の頃に教科書で勉強することはあっても実際に自分で触ったことはなかったので,中野さんのプロジェクトページのヒステリシスループ(「現在取り組んでいる研究課題はなんですか?」の画像中,右側にある変な形のグラフ)を見て,こんなに綺麗な教科書通りの実験ができるんだなぁ~と関心しておりました.
詳しくお話を聞いたところ,中野さんが単分子誘電体に利用している物質は私の専門である電池材料とも関連性が高く,共通した性質を持つところがある物質であることがわかり,以外なところで研究の繋がりが見えて大変勉強になりました.

櫃割 仁平さん:
「美しさ」の研究という,理工系の私から見ると一風変わった研究をされている櫃割さん.俳句の美しさを研究対象とし,MRI (人の脳の様子を画像化する装置) を使った手法で研究をされているそうです.
私は俳句にはあまり詳しくないのですが,近いところで実は数年前にTwitterのハッシュタグ機能を利用して行われていた「#愛と数学の短歌コンテスト」にて愛と数学についての短歌をいくつか投稿していたということがあり,短歌と同じ日本の詩歌をテーマとする櫃割さんの俳句の研究にも興味がありました.
ポスターセッションのポスターの掲示場所がお隣だったということもあり#愛と数学の短歌コンテスト についてご紹介し,俳句や短歌の短い時数制限の中に意味や思いを込める手法について議論をさせてもらいました.

実は#愛と数学の短歌コンテスト はオリジナルのストーリーとイラスト付きの歌集として書籍化,さらに最近は文庫化までされており,私の詠んだ歌も収録されていますので興味のある方は是非チェックしてみていただきたいと思います! (会場で櫃割さんに対しても図々しく宣伝していました)

石坂 晴奈さん:
石坂さんは認知症患者さんの介護に関する看護研究をされています.看護の専門家ということで当然医療に詳しく,ときどきTwitterのリプライで,研究のために不健康な生活を送る我々に対して栄養の摂取や疲労回復についてのアドバイスを送っておられる姿を拝見します.
私もつい数日前,東海村で長時間実験をするというツイートをしたら石坂さんにちゃんと寝てちゃんと食べろという旨のリプライをいただきました.
石坂さんには以前Twitterにて,「うさん臭いSDGsと五十嵐さんみたいな本気のSDGsを見分けるには?」という質問をいただいており,これについて会場で少しお話をさせていただきました.
石坂さんの質問の本意とは少しずれてしまうかもしれませんが実はこの問いは非常に鋭い質問だと思っており,故になかなかTwitter上でお返事ができずにいました.
エネルギー関係の研究分野に属していると,自分の研究を含め「この研究,本当にエネルギー問題の解決に貢献するだろうか?」と疑問を持ってしまうことが多々あります.エネルギー関連研究は有名な研究グループに対しては巨額の研究費が当てられることもあり,研究者自身が,研究の有用性を希望的観測や妄想ではなく適切な説明ができるか? という疑問を持ち続けて研究に臨むことは重要だと思っています.
私の分野の「ナトリウムイオン電池」も,かつて(10年以上前)は実現可能性の無い,胡散臭いSDGs扱いされていた時代が本当にあったと聞いたことがあります.
(ただしこのような規範は一般的に,「役に立たない」研究には本当に価値が無いのか 的な学術研究に関してよくある問題と合わせて考える必要があるところが大変に難しいです)
Twitterという思わぬ場ではありましたが,石坂さんには重要な質問を投げかけていただきました.石坂さんご自身の研究については残念ながら会場で詳しく伺う時間がなかったので,ぜひ今度は看護研究についてのお話をお聞きしたいところです.

ーーーーー

そのほか,8月のイベントで初めてお会いした高木 志郎さんとも改めてご挨拶をさせていただいたり,原 直誉さん河口 謙二郎さんには私のメガネや当日ジャケットに付けていた元素ピンバッジに興味をもっていただいたりと,まだまだ書ききれないほど多くの方と交流をさせていただきました.もちろん,academistチャレンジャー以外の現地参加者の方ともたくさんお話をさせていただきました.
今回お会いできなかったりお話できなかったりしたacademistチャレンジャーの方とも,ぜひ次回のオフラインイベントなどでぜひ詳しく研究のお話をお聞きしたいと思います!

総じて,全く異分野の研究者を含む皆さんとお話をさせていただき,学ぶことが多い一日だったと思います.研究や成果報告のモチベーション向上にも大いに役立ちました.
企画をしていただいたacademist関係者の皆さま,事前企画から当日の司会まで大活躍していただいたサイエンスコミュニケーターの佐伯 恵太さんにも大変お世話になりました.ありがとうございました.
自分としては出張実験の準備と並行してピッチやポスターを準備していたこともありかなり慌ただしくバタバタしていた印象なのですが,新しい繋がりをたくさん作ることができ,参加して大満足なイベントだったと思います.

五十嵐 大輔 Sun, 18 Dec 2022 18:05:32 +0900
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