Academist 2020年2月レポート
「流行病(はやりやまい)に翻弄される」
1. 2020年2月下旬現在のミラノ
このトピックを出すべきかどうか、散々迷いましたが、当初2月のレポートとして書こうとしていた内容を変更して、今月は、「流行病(はやりやまい)」について書いていこうと思います。2020年2月下旬現在、私の住むミラノはコロナウイルスの影響を大きく受けています。事の
歴史学研究としての『チェーザレ』#4:ファム・ファタールとしてのルクレツィア・ボルジア像(フェラーラ公妃期編)
1. 3度目の結婚:フェラーラ公妃になったルクレツィア
2019年10月から全4回シリーズのつもりで書いてきた「歴史学研究としての『チェーザレ』」も今月で最終回です。今月は、先月取り上げたチェーザレ・ボルジアの妹ルクレツィア・ボルジア(1480-1519)の後半生をフェラー
歴史学研究としての『チェーザレ』 #3:ファム・ファタールとしてのルクレツィア・ボルジア像(ローマ滞在期編)
1. ファム・ファタール(運命の女):ルクレツィア・ボルジア
10月から4回シリーズとして書いてきた「歴史学研究としての『チェーザレ』」、第3回目の今回は、チェーザレ・ボルジアの妹ルクレツィア・ボルジア(1480-1519)について書きたいと思います。惣領冬実『チェーザレ:破
歴史学研究としての『チェーザレ』 #2:宗教改革前夜、ルネサンスの教皇たち
1. 宗教改革前夜、ルネサンス期の教皇庁のイメージとは
タイムリーなことに、2019年11月、ローマ教皇としては実に38年ぶりに第266代ローマ教皇フランシスコ(Franciscus;在位2013-)が来日しました。平和についてのスピーチも話題を呼びましたが、東京ドームでのミサの賑わいの報道を見ると、普段「信仰
歴史学研究としての『チェーザレ』 #1:ボルジア家研究の推移
1. 歴史上の有名人物と歴史学研究
2019年10月、惣領冬実原作、原基晶監修『チェーザレ 破壊の創造者』(講談社)が、舞台化されることが発表されました。同作は、スペイン貴族のボルジア家出身の教皇アレクサンデル6世(在位1492-1503)とその息子チェーザレ・ボルジア(Cesare Borgia; 1475-1507)を描
イタリア語?ラテン語?:15世紀末イタリアにおける史料用語
1. 私は何語の史料を読んでいるのか
結論から言うと、今のところイタリア語:ラテン語=2:8の割合です。何が一番手強いかというと、ラテン語の手稿史料を文字起こしして、そこから解読せねばならないということ。
ラテン語は、
・主格(◯は)
・属格(◯の)
・与格(◯に、へ)
・対格(◯を)
ルネサンス人と「手紙」
1. ルネサンス期イタリアにおける書記局
イタリアは特に「書く」という文化が発達した地域でした。13世紀から14世紀にかけて、商業が発達していたために、読み・書き・算数ができる人の割合が、他の地域に比べて高かったイタリア半島。中世の商人たちは、複式簿記や会計簿、また一族の記録、日記など、常に書いていたと言えます。特に、公証人は、裁判制度や商業が発達した社会において重
国際学会参加記:”New Diplomatic history in Middelburg”, Netherland(10/ 2018)
序
7月のレポートでは、2018年10月に私が初めて参加した国際学会”New Diplomatic History”について書きます。もちろん、学会の中で話し合われたことも書きますが、いかにして参加に至ったか、国際学会の雰囲気など、学会自体についても、こ
ルネサンス期のモードと政治と色
1. 6月のミラノ
今月は、少し趣向を変えて「ファッション」の話にしたいと思います。6月のミラノでは、年に4回開かれるファッションウィークがあり、そこでは、次の年のメンズ春夏コレクションが発表されます。そのため、この時期ミラノでは、ブック(自分の写真やプロフィールがまとめられたもの)を手に、オーディションやフィッティングに向かうモデルさんを多数見かけます。彼
《イタリアの地方文書館へ、史料の保存》
2019年4月28日から5月3日まで、ウンブリア州のトーディとペルージャに史料調査に行ってきました。ミラノから鉄道の通っていないトーディに行くには、まず鉄道でローマかペルージャへ行き、そこからバスを乗り継いで行区必要があります。所要時間は、約8時間。そのため、現地で有効に時間を使うため、日曜日を移動日にし、月曜から文書館に行けるようにしました。
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