「学校生活」の実態を心理学的データで解釈したい!


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academistスタッフからの一言

学校生活におけるスクールカーストを「生の声」で分析する

学校ではさまざまな生徒が、それぞれに学校や学級の雰囲気を感じながら共に過ごしています。そこで繰り広げられる「学校生活」は掴みどころがなく、その実態を一言で語ることは難しいものです。一方で近年、友だちグループ間の関係性を表す「スクールカースト」という概念が提唱されています。スクールカーストと生徒の学校生活のあいだにはどのような関連があるのかーー自身も過去の学校生活で窮屈さを感じていたという水野さんは、この関連をデータで明らかにしたいと研究を進めてきました。いま学校生活を送っている生徒の「生の声」を調査することでリアリティのある分析をしていきたいという水野さんに応援をよろしくお願いいたします!

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担当者:大塚美穂

誰しもが経験してきた「学校生活」

卒業論文のテーマを決めようとしているときに『教室内カースト』(光文社, 2012)という本に出会いました。過去の学校生活で自分が感じていた何とも言えない窮屈さの雰囲気がデータで語られていたのを目にして、夢中で読み進めました。自分もこの本のように、「学校生活」という掴みどころのないものをデータから明らかにしたいと思いました。

この気持ちがモチベーションとなり、現在私は、「どのような要因によって生徒は学校を楽しめるのか」や「どのような要因によって学校でのいじめが少なくなるのか」など、生徒の学校生活を心理学的に解釈するための調査研究を進めています。特に「スクールカースト」と呼ばれる生徒の友だちグループ(仲間集団)間の関係性に着目し、スクールカーストと生徒の学校生活のあいだの関連を当事者(生徒)の声を調査する実証的な手法で研究しています。

私がこの研究を続けている理由には、ひとりでも多くの子どもたちが学校で楽しく生活できるための助けになりたいという思いがあります。しかしそれだけではなく、学校生活という誰しもが経験してきたものについて学術的な「問い」をたて、アンケートの回答やインタビューの語りなど、さまざまなデータから「問い」を検証することで、学校生活を送る生徒の姿に対する理解を深めていきたいという思いもあります。

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生徒の生の声を調査できていなかった

先行研究では、スクールカーストが生徒の学校生活、特にいじめや学校適応に関わることが指摘されています。たとえば、スクールカーストでの地位が高いグループの生徒ほど学校適応感が高くなり、反対に低いグループの生徒ほどいじめ被害を受けたり、学校適応感も低くなったりするというものです。

しかしこれらの先行研究は、専門家や教師の経験的な意見であったり、大学生に過去を思い出してもらう調査だったりと、生徒を直接対象にした研究ではないという課題がありました。これは心理学研究においてグループを研究対象とした事例がそもそも少なかったことや、スクールカーストという概念が提唱されたのはつい最近であるため生徒を対象に調査を行う方法が十分に整っていなかったことが原因ではないかと考えています。

そこで私は、スクールカーストの問題に関する複数の研究で中学生を対象にしたアンケート調査を行い、スクールカーストでの所属グループの地位と学校適応感の関連を実証的に明らかにしてきました。各アンケート調査では1,000名以上の中学生に協力してもらい、上位グループの生徒ほど学校適応感が高くなる心理的メカニズムや、スクールカーストの学級間の違いを検討してきました。 「生徒の生の声」を調査することによって、スクールカーストと生徒の学校生活の関係性について、よりリアリティのある結果を示すことができます。また、生徒の学校生活のあり方や学級という、学校の文脈と組み合わせてスクールカーストを検討することが可能となりました。

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スクールカーストと学校生活の関連にもう一歩迫りたい

私たちが行ってきた研究にもさまざまな課題点は存在します。たとえば、私たちが行った調査は、質問紙調査での自己報告によるものです。これはアンケートで「自分のいるグループはどのくらい地位が高いグループなのか?」と自分で思うグループの地位を回答してもらうものです。なので、客観的にみた場合のグループの地位を反映できていません。それでも徐々にスクールカーストと生徒の学校生活の関連が明らかになってきており、さらに研究を発展させたいと考えています。

今後の研究の方向性として、1学期と3学期の2時点で調査をすることによって、スクールカーストと学校生活の相互因果関係に迫り、また中学生と高校生を比較することでスクールカーストと生徒の学校生活の間の関連性の発達差(学校段階差)を横断的に明らかにしていきたいと考えています。現在これらの計画を共同研究者と共に進めています。


私が心理学研究者を目指した理由

実は、大学に入った当初はここまで研究を続けるつもりはありませんでした。中学校か高校の先生になろうと思って教員免許を取得しました。しかし、卒業論文を書くために自分でテーマを決めて研究をしたことが、心理学の研究世界に進んだきっかけとなりました。

卒業論文を書いているときの、「自分で研究の『問い』を考え、データを収集し、検証してデータから議論する一連のプロセス」に夢中になりました。部活も怪我を負ったことがきっかけで辞めてしまって、大学生活で熱中できるものがなかったので余計にのめり込みました。もちろん、データを収集することで四苦八苦したり(私の場合は学校に調査協力を依頼する)、研究を論文としてまとめる段階(特に査読者からのコメントを読んだとき)はかなり苦しく、「なんでこんなことやっているんだろう?」と思うことが多いです。

しかし、研究の「問い」とそれを解決するアイデアがまとまり、つながったときには自分の見ている世界が広がったような気持ちよさを感じます。そして研究論文として形になったときには、「1つのプロジェクトを成し遂げたぞ!」という達成感を味わうことができます。たぶん、これまで私が行ってきた研究は自分にしか成し得なかったことだとは思いませんが、「今まで誰も知らなかったことを、明らかにすることができた」というのはとても意味のあることだと思いますし、研究していてよかったなと思う瞬間です。

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継続的なご支援のお願い

私がacademist Fanclubにチャレンジする理由は大きく分けて2つあります。まずひとつ目が研究するための資金を捻出したいということです。大学の図書館で研究に必要なすべての書籍や論文を読むことは不可能なため、大学にない場合は自分で購入しなければいけません。また、調査実施にかかる費用も多くはありませんが私にとっては痛い出費です。その他、論文投稿や学会発表をして研究者間で議論したり、最新の研究動向を知るためには学会に入会し、大会に参加したりする必要があります。年会費や大会参加への旅費もすべて負担しなければいけません。研究費がない私にとっては上記の3点は大きな負担になっています。安心して研究を進めるためにも私費の持ち出しを少なくし、可能な限りアルバイトの時間を減らして研究時間を多く確保したいです。

そして2つ目が、academist Fanclubの理念に賛同し、大学院生が継続して研究費を確保できる試みが広がってほしいと思うからです。日本の大学院生が申請できる中期的に継続して研究費を確保できる仕組みとしては主に、日本学術振興会特別研究員DC(学振)の研究費があります。学振は採択されると2~3年間は研究費に困ることはありませんが、採択率は低く、そもそも応募時に研究業績がない場合は採択されにくいという仕組みです。また、学振以外には民間財団の研究助成もありますが、これは単一の研究プロジェクトを対象にして1年間で成果の提示を求められる場合が多いため、継続して研究費を確保できるわけではありません(もちろん、貰えるだけありがたいのですが)。博士論文を完成させるために複数の研究を行うこともある大学院生にとっては、学振以外で継続的な支援を受ける機会があるというのは非常に心強い存在です。ひと月に学術的な書籍を1冊購入できるだけでもたいへん心強いのです。

また、このチャレンジをとおして私の研究テーマや心理学だけではなく、広く博士課程の大学院生の研究のことをより知っていただける機会になれば幸いです。私の分野(教育心理学、発達心理学)の場合、博士論文は5~10の個々の研究から成り立つことが多いですし、他の分野でも3つ以上の研究をまとめることが多いです。すなわち博士課程で研究をすすめるということは、大きな「問い」をもち、複数の研究からひとつのテーマを突き詰める一大プロジェクトです。academist Fanclubでは、私の研究に限らず、一大プロジェクトを突き進めるドラマを一緒に楽しめるのではないかと思っています。


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チャレンジャーの大学院生に直接連絡をとることはご遠慮ください。共同研究のご依頼などは当社お問合せフォームからお願いいたします。

挑戦者の自己紹介

Profile


はじめまして、水野君平(みずの くんぺい)と申します。北海道大学大学院の博士後期課程に在籍しています。出身は大阪で、北海道には来てからもう9年目になります。思春期の子どもを対象にした心理学の研究をしています。現在の中心的な研究テーマは「スクールカースト」の実証的・心理学的研究ですが、4,000人規模のいじめ・学校生活の基礎的な調査研究にも関わっています。また、研究だけでなく実践に関わることも大事にしたいと思い、札幌市の中学校で不登校生徒への相談・学習支援や大学でのピアサポートによる学生相談にも関わっています。

研究計画

以下のスケジュールで研究を進めていきます。

2019年1月 academist Fanclub 開始
2019年2月 博士論文中間発表
2019年7月 学会発表予定(Asian Association of Social Psychology)
2019年9月 学会発表予定(日本教育心理学会)
2019年9月 博士後期課程修了予定

リターンの説明

1,000円
(月額 / 税抜)

注目のリターン:活動報告閲覧権

  1. 活動報告閲覧権
1000

Webサイト上の活動報告欄を限定公開し、研究の進捗などを毎月報告いたします!まだ誰も知らない世界を明らかにしていく道のりを一緒に歩んでいただけると嬉しいです。応援よろしくお願いいたします! また、個人サイトにてユーザー名と謝辞を記載させていただきます。ご支援よろしくお願いいたします。ユーザー名の掲載を希望されない方がいらっしゃいましたら、academistまでご連絡ください。

現在、8人のサポーターが支援しています。

(数量制限無し)

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