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SUCCESS
長谷川浩/池中良徳
NPO法人福島県有機農業ネットワーク、理事/北海道大学、准教授
Pledged: 301,380 JPY
Target Amount: 200,000 JPY
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Reached the funding target!

ご支援・ご寄付いただきましたみなさま、ありがとうございました。

おかげさまで目標金額20万円に対して、145%の達成率でした。いただきましたご寄付は、研究の継続と成果の取りまとめのために活用させていただきます。今後とも、よろしくお願いいたします。

Comment from academist staff
有機農産物摂取の効果をデータに基づいて検証する

miho otsuka

植物の病気を防いだり害虫の発生を抑えたりするために、多くの農家においては農薬を使っています。一方、無農薬で栽培する有機農業を実施している農家もあります。健康意識の高まりから有機農産物も食の選択肢として広がりつつありますが、有機農産物摂取の効果の定量的な検証は追いついていません。今回のプロジェクトでは合成殺虫剤のひとつであるネオニコチノイドに着目し、有機農産物摂取によるヒトへの暴露の低減効果を調べます。まずは実態をデータで示したいという長谷川さんと池中さんのチャレンジに応援をよろしくお願いします!

鳴り物入りで登場した合成殺虫剤「ネオニコチノイド」

みなさん、ネオニコチノイドという言葉を聞いたことはありますか? ネオニコチノイドは自律神経節興奮などに由来する作用(ニコチン様作用)を示す合成殺虫剤のひとつです。このニコチン様作用を活用する主な合成殺虫剤には、クロチアニジン(2002年、商品名ダントツ)、ジノテフラン(2002年、商品名スタークル)、チアメトキサム(1997年、商品名アクタラ)などがあります。

ネオニコチノイドは環境に対しても人体に対しても毒性が低く、しかも浸透性や残効性が高くて農家にとっては福音であると、鳴り物入りで登場しました。しかし、世界で利用が広がるにつれて、ミツバチやトンボなどの昆虫に対する毒性が高いことが指摘されました。ヒトを含む哺乳動物においても、発達障害等を引き起こすことが懸念されています。

各国で設定される、毒性を生じる/生じないの基準

毒性というとただ恐ろしいものに聞こえますが、毒性を生じる可能性はすべての化学物質にあります。たとえば日常的に摂取する塩も、摂取量が過剰になれば生物に悪影響を及ぼします。ネオニコチノイドも同様に、ある量以下であれば毒性は生じないという基準があり、各国で「基準値」として設定されています。

しかし、ネオニコチノイドの使用基準は各国で異なっているのが現状です。毒性が高いのではないかという指摘を受けてEUでは2000年代から段階的に使用禁止措置がとられているのに対して、日本ではクロチアニジンの使用基準が2014年に逆に緩和されました。日本での使用基準の緩和は、欧米の行政施策と真逆の方向に向かっています。

農薬の毒性評価にはまだまだ研究が必要

日本人のネオニコチノイドへの暴露状況を調べるため、我々の研究グループでは尿中に排泄されるネオニコチノイドの量を分析しました。その結果、幼児や新生児を含むほとんどすべての対象者からネオニコチノイドの代謝物が検出されて、日常的に暴露を受けていることが明らかになってきました。また、その暴露量は基準値に対して数%と低いことも推定されました。

一方、詳細な研究を進めた結果、基準値に対して1/10〜1/100の暴露量でも毒性が生じる可能性が示されました。すなわち、現在設定されている基準値自体に疑問が生じ始めています。この背景には、毒性の定義が多様化・複雑化していることが挙げられます。ネオニコチノイドを含む農薬のヒトへの毒性については、まだまだ明らかになっていないことが多いということを認識しなければなりません。

有機農産物摂取の効果を定量データで示したい

日本では国産安全神話が根強く、政府がネオニコチノイドの使用基準を緩和しても、市民の反応は必ずしも高くありません。一方、健康意識の高まりから、有機農産物を選ぶ方も増えてきました。有機農業では化学肥料も合成化学農薬も使いませんので、有機農業で育てられた農産物は生育期間中ネオニコチノイドフリーです。

有機農産物が食の選択肢のひとつとして広がってきていますが、その効果の定量データに基づいた検証は進んでいません。食べ物と一緒に摂取したネオニコチノイドは、そのままあるいは体内で代謝されて代謝産物となって主に尿から排出されます。今回のプロジェクトでは、市民参加型で採尿をしてもらい、尿サンプルを液体クロマトグラフィー/質量分析計によって高感度分析に供し、有機農産物摂取がネオニコチノイドへの暴露を低減するかどうかを明らかにしたいと考えています。

まず有機農産物を普段から食べている有機農業者の尿からネオニコチノイドが検出されるかどうかを調べます。次に、一般市民に普段の食事(典型的にはスーパーで購入)をし、採尿してもらいます。その後5日間、有機農産物を食べてもらい採尿し、有機農産物摂取によるネオニコチノイド低減効果を明らかにします。尿サンプルの評価結果は有意差検定や主成分分析などの統計的手法を使って解析します。

Why we need your support

日本ほどネオニコチノイドが蔓延している国は世界でも限られています。今回の研究で日本におけるネオニコチノイドに対する暴露の実態を示し、その低減に有機農産物の摂取が有効であるかを明らかにしたいと思っています。ご支援いただいたお金は市民から集めた尿の高感度分析のために必要な試薬代、データの統計解析や論文取りまとめの人件費、有機農産物の食材費として活用します。調査結果は、学会で発表して研究論文としてとりまとめます。

クラウドファンディングに挑戦することで、必要な研究資金を集めるだけでなく、ネオニコチノイドや有機農産物に対する関心を広めたいと考えています。ご支援のほどよろしくお願いいたします。

Profile

長谷川浩、池中良徳

長谷川浩:国の研究所で環境保全型農業と有機農業の研究に従事。その間、カリフォルニア大学デービス校にて2年間研究。帰国後、日本有機農業学会の事務局長と副会長を歴任。現在は、福島県会津の山間部で自給農業を実践しながら、NGOや執筆などの社会活動を実践中。福島県有機農業ネットワーク理事。農学博士。過去の業績はこちらをクリック(https://independent.academia.edu/HasegawaHiroshi)    池中良徳:信州大学大学院および北海道大学大学院で環境毒性学および環境分析化学に関する研究に従事。現在は液体クロマトグラフィー/質量分析計等の機器を用いた環境化学物質やバイオマーカーの高感度分析法開発を実施。博士(理学)。

Project timeline

Date Plans
2018年11月 クラウドファンディング挑戦
2019年2月 調査研究結果学会発表
2019年3月 調査研究報告書取りまとめ
2019年6月 論文原稿投稿
2019年12月 論文受理(予定)
2020年3月 論文公開(予定)

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Featured : 調査研究報告レポート(PDF版)

研究の詳細な進捗などをレポートにまとめてお送りします。応援よろしくお願いいたします!

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2019年の環境化学討論会および日本毒性学会にて本研究に関する発表をする予定です。その際、謝辞にお名前を掲載させていただきます。また、発表資料(電子版)を送付いたします。お力をお貸しください。応援よろしくお願いいたします!

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Featured : サイエンスカフェ参加権

サイエンスカフェにご招待いたします。2019年3月頃に福島での開催を予定しています。ご参加をお待ちしています! ※当日ご参加いただけない場合には、後日資料を共有させていただきます。

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本研究成果を論文発表する際の謝辞にお名前を掲載させていただきます。 ※研究成果をまとめられるよう努力いたしますが、論文の掲載に至らない可能性もございますこと、ご承知おきいただけますと幸いです。

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講演会に出張いたします。ご要望にお応えする形で講演させていただきます! ※旅費・宿泊費等は別途頂戴いたしますのでご留意ください。

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