遅ればせながら、夏以降に参加した国際会議の参加レポートを公開いたしました。2025年7月下旬にアメリカで開催された JuliaCon 2025 および JuliaHEP 2025 Workshop の様子を、Zenn の記事として掲載しています。これらの記事では、現地で見聞きした Julia に関する知見をまとめています。また、一部のパッケージについては、本日12月1日から順次公開される Julia Advent Calendar 2025 でも紹介する予定です。日本ではあまり知られてこなかった有用なパッケージも数多くございますので、ぜひご覧ください。
現地では、私たちが開発を進めている Antique.jl と TwoBody.jl について発表を行いました。Antique.jl は解析解を持つ量子力学モデルのデータベースです。少数多体系物理学をはじめとする、量子力学を扱う分野におけるパッケージ開発でのソフトウェアテストに役立ちます。当初の予想を超えて AI によるコード生成が急速に普及したことにより、ソフトウェアテストの重要性は、これまで以上に高く評価され始めています。Antique.jl は TwoBody.jl の自動テストに組み込まれており、FewBodyToolkit.jl の開発でも利用されているとのことです。これらのパッケージの開発で培った経験をもとに、今後も JuliaFewBody におけるパッケージ開発を進めてまいります。
国内で行った研究発表についても、researchmap にて順次掲載しています。ご縁あってご招待いただいた国際ワークショップでは、主に数学を専門とする研究者の皆さまに、少数多体系物理学における固有値問題の実例と Julia の活用例をご紹介する機会をいただきました。これをきっかけに、尾崎スキームで有名な尾崎教授に、JuliaLang Japan 2025 での招待講演をお引き受けいただく運びとなりました。尾崎教授から直接、尾崎スキームの Julia 実装について学べる貴重な機会です。JuliaLang Japan 2025 は、2025年12月13日(土)に東京科学大学 大岡山キャンパスで開催されます。オンライン参加も可能ですので、こちらからぜひご登録ください。
JuliaLang Japan 2025 のちょうど1年前、私たちは物理学における Julia の活用をテーマとした研究会 Julia in Physics 2024 を開催いたしました。招待講演のためにご来日いただいた Valentin Churavy 博士から、いくつかのご案内をいただきました。Churavy 博士は、2026年8月にドイツで開催される国際会議 JuliaCon 2026 の共同議長を務めており、会期中に行われるミニシンポジウムの企画提案を呼びかけています。先日、私たちは少数多体系物理学に関連したミニシンポジウムの企画に向けて、プロポーザルを提出いたしました。物理学における計算手法の「貿易港」としての役割を果たすことを期待しています。
最後に、2026年3月に開催する計算物理春の学校 2026 および CompPhysHack 2026 についてご案内いたします。計算物理春の学校 2026 では、『計算物理学のための Julia 入門』、『AI・機械学習を用いた計算物理学入門』といった、Julia に関連した講義が開講されます。CompPhysHack 2026 では、少数多体系物理学に関連したテーマを含めた計算物理ハッカソンを企画しております。また、こうしたイベントの開催に合わせて、研究計画を一部変更しながら進めております。どちらも2026年1月まで参加者を募集しておりますので、ぜひご参加ください。
引き続き、私たちの取り組みを温かく見守っていただければ幸いです。
9月2日より開始いたしましたクラウドファンディングは、延べ71名のサポーターの方々から研究費のご支援をいただき、最終的な支援総額は1,101,319円、目標金額の110%を達成しました。皆様からの温かいご支援とご声援に心よりお礼申し上げます。今回の挑戦は国内にとどまらず、国際的にもご関心をお寄せいただき、Julia言語の開発者の一人である Jeff Bezanson 博士からもご支援をいただきました。国籍、人種、宗教、分野の垣根を越えて、研究の意義が世界で共有されていることを強く実感しています。
皆様からご支援いただいた金額は、日本学術振興会が研究者に対して交付する基盤研究(C)・挑戦的研究(萌芽)・若手研究といった「科研費」のおよそ1年分の研究費に相当します。私たちの取り組みは、OSS開発を主とする、旧来の物理学の研究とは異色の試みです。さらに、後ろ盾の乏しい若手が中心であり、ど真ん中の純粋基礎研究という、研究費の獲得が難しい内容でした。こうした中での皆様からのご支援は、私たちの研究を直接的に支えるだけでなく、次の研究費の獲得のための実績という大きな第一歩となります。このように、温かい言葉にとどまらない、金額以上のご支援を皆様からいただいていることに重ねて感謝申し上げます。
2026年8月10〜15日にはドイツでJulia言語の国際会議『JuliaCon 2026』が開催予定であり、偶然にも8月17〜21日には隣国のチェコで少数多体系物理学の国際会議『EFB26』が開催されます。私たちはJuliaCon 2026における少数多体系物理学に関連したミニシンポジウムの企画に向けて準備を進めており、続けてEFB26での研究発表を予定しております。Juliaコミュニティで私たちの研究分野の認知度を高め、同時に私たちの研究分野でもJuliaの普及を目指します。
また、分野の垣根を越えた交流を図るとともに、アジア初の『JuliaCon』開催に向けて国内のJuliaコミュニティの結束を強化することを目的とした研究会『JuliaLang Japan 2025』を企画しています。日時は12月13日(土) 13:00〜18:20、場所は東京科学大学 大岡山キャンパスです。東京科学大学関係者の尽力により、定員273名の大変立派な会場を確保できました。周知のご協力を賜れますと幸いです。もしご興味がございましたら、ホームページより参加登録をお願いいたします。皆様のご参加をお待ちしております。
遅ればせながら、夏以降に参加した国際会議などでの活動報告も併せて公開してまいります。また、日本とデンマークで時差もありますが、定期的なオンラインミーティングを行い、共同でOSS開発を進めており、その様子も報告したいと思います。添付の写真は9月に行ったミーティングの様子です。皆様からお預かりしたご支援は、AI開発支援ツールやスーパーコンピュータの利用料、成果の公開・発信(論文投稿料・国際会議の参加費用・ワークショップ開催費用など)のために大切に活用させていただきます。進捗は順次レポートとして公開し、成果物も可能な限りオープンに共有してまいります。
改めまして、今回のプロジェクトに関わってくださったすべての方に、心からの感謝を申し上げます。今後とも、私たちの取り組みを温かく見守っていただければ幸いです。
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お礼のメッセージ
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