Jin Imai
日本は過去、戦後の高度成長期を経験した際に、多くの病気と直面してきました。結核の流行をはじめ、公害病の発生、外資のファストフードが入ってきた1970年以降の生活習慣病の増加、そして、悪性腫瘍や認知症の増加などと向き合ってきました。その度にさまざまな医療政策や試みが実施され、現在、世界有数の長寿国になっています。一方で、開発途上国の多くは今、戦後日本が抱えた同じ健康問題を抱えています。
戦後日本が高度成長とともに発展させてきた予防医療やヘルスリテラシーをもっと世界の人々に還元できないか?
私たちはこの問題に挑戦したいと思っています。
私たちは今、マラウイ共和国(以下 マラウイ)という国に注目しています。
皆さん、マラウイをご存じでしょうか? アフリカ大陸の南部にあり、世界遺産のマラウイ湖という巨大な湖を持つ小さな国です。独立以来内戦のない平和な国で、通称「アフリカの温かい心」と呼ばれる、世界で最もJICA青年海外協力隊が派遣された国のひとつです。国民労働人口の約8割が環境変化に脆弱な農業関連事業に従事していることもあり、未だ世界最貧国のひとつとされています。
マラウイはかつて感染症や栄養失調により多産多死の保健事情でしたが、近年は徐々に医療の発達と衛生、食料供給の改善により死亡率の低下がみられています。そして現在は、脳卒中が死因の上位に入っています。その原因は、実に成人の約25%が高血圧症を持つためだとの調査結果が出ています。一方で、国民の多くが過去に血圧測定の経験がなかったり、「なぜ血圧が上がるのか」「なぜ高血圧症が体に悪いのか」を知らないなど、健康知識が乏しいという問題を抱えており、未治療の隠れ高血圧症の人も多く存在しています。これが、脳卒中の要因となってしまっていると考えられます。
実は、日本も戦後すぐは、濃い味付けによる高血圧症を原因とする脳卒中が国民病であった時代がありました。それが、予防医療の知識の普及や健診制度の導入をはじめさまざまな試みで克服した歴史があります。私たちはこの歴史を振り返り、マラウイの人々に応用可能な部分を選び、還元すべく今回のプロジェクトを提案しました。
今回私たちは首都リロングウェから少し離れたKabudula communityという地域をモデルタウンとし、1年間かけてマラウイでも応用可能な高血圧対策を行います。具体的には、1. 18歳以上の住民すべてに正しい血圧測定方法と正常値を知ってもらいます。その後、現地スタッフに協力してもらい、集会場などに複数設置した血圧測定器を使い、月に1回血圧を測定してもらう習慣を持ってもらいます。2. 毎月訪問し、高血圧症に関するヘルスリテラシーの啓蒙活動を行います。内容は、高血圧症とは? から始まり、高血圧症になるとどのような健康被害が起きるのか、減塩、禁煙、適度な運動、カフェインの摂取量のコントロールなど、薬物以外の高血圧症の治療法を説明します。 3. 特に最も効果の高い減塩の推進運動を行うために、スパイスを用いた調理法を一緒に考えます。スパイスは過去マラウイの他の地域で栽培実績のあるものを基本として、にんにく、ローズマリー、生姜などを候補とし、実際に現地で1年間かけて栽培可能かも検討します。
以上の活動によって、まずはモデル地区の平均血圧値を下げることを目指します。そして、一緒に活動を行う現地医療者達により、このノウハウを活かしてもらい、マラウイ国民全体に広めていく活動につなげていきたいと考えています。そしてこの試みが成功した後、他の健康問題を抱える開発途上国にも日本式予防医療が貢献できる可能性を広げていきます。
今回皆さまにサポートいただく支援金は、血圧測定器の購入から始まり、現地医療者への御礼金、啓蒙活動の準備費用などに使用させていただく予定です。
私たち日本国民は、現在こそ世界に誇る長寿国ですが、かつては、ここマラウイのように経済が未発達で、国民病に苦しんだ時期がありました。そしてその度に、知恵を絞り、時に先進国の助けをもらって克服してきました。この積み重ねを、今度は私たちが開発途上国へ還元していきませんか? 現在のマラウイは経済成長率1.5%、物価上昇率28.8%(2023年/世界銀行調べ)と、なかなか経済が立ち上がっていかず国民は苦しい生活を送らなければならない状況です。けれど、働き盛りの成人が脳卒中で突然命を落とすことを少しでも減らすことができれば、マラウイはきっと成長していくはずです。
ほんの少しの気持ちでも構いません、研究のサポートをいただけたら嬉しいです。よろしくお願いいたします!
ご寄附いただいた皆様へ、確定申告により税制上の優遇措置が適用される領収書を東海大学より発行致します。
なお、領収書の日付は、お申込み受付日やカード決済口座からの振替日ではなく、アカデミスト株式会社より東海大学に入金された日付となります。
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日本は永年に亘って健康寿命世界一です。これは過去に多くの衛生環境問題や生活習慣病の問題に国をあげて取り組み、健康増進法や高齢者医療確保法などの法整備を行って確立してきた健康診査による「予防医療」の成果と云えます。その中で育まれた保健指導は、諸外国にはない日本独自の取り組みですが、今後経済発展を遂げる諸外国における成長の助けになると考えられます。本プロジェクトがその第一歩となることを願っています。
本プロジェクトは、マラウイにおける生活習慣病の予防と治療を探る研究として非常に意義深く、地域の公衆衛生課題に応える内容だと思います。患者の状況や地域特有の医療ニーズに基づいたアプローチは、現地の医療に変化をもたらす可能性を秘めています。研究代表者の今井さんとは大学時代の同期であり、研究者としての熱意と確かな実績があります。地域と国際的な医療課題解決に貢献する成果を挙げることに期待しています。
日本の健康診断システムは、予防医療や早期発見・治療の重要性を強調してきました。このシステムは、生活習慣病の予防や、社会全体の健康管理の向上に寄与し、医療費の削減にも成功しています。この成功事例を発展途上国に応用することで、現地の健康管理体制を強化し、特に非感染症の予防に対する意識を高めることができると確信しています。今井医師が掲げるこのテーマは、学術的な意義にとどまらず、世界の人々の健康向上に向けた実践的な解決策を提供する可能性が高く、心より成功を期待しています。
Date | Plans |
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2025年4月 | モデルタウンでの研究スタート |
2026年3月 | モデルタウンでの研究終了予定 |
2026年8月 | 論文執筆開始 |
2027年1月 | 学術学会での成果発表 |
メールでお礼のメッセージをお送りします。
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academist Journalに寄稿する研究報告レポートにお名前を掲載します。
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今回の研究が論文化した際に、謝辞を掲載いたします。
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研究室のHPにお名前を掲載します。
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本プロジェクトに関する学会発表時にスライド内にお名前を掲載します。
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本研究について個別にディスカッションする機会を設けます。具体的な内容や日程は個別にご相談いたします。
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本研究に関する出張講義を行います。具体的な内容や日程は個別にご相談いたします。
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