私たちの活動を支える論文「行動抑制ネットワークとしての心」の最終章では、植物や石に心=行動抑制ネットワークが備わる可能性が述べられています。
その内容(和訳)を、ほぼそのまま掲載します。論文独特の言い回しや専門用語が、研究の「ライブ感」をみなさんに伝えてくれると思います。
*BINは行動抑制ネットワーク(Bhehavioral Inhibition Netwok)
*BGMは行動生成機構(Bhehavioral Generation Module)
*創発行動は、ダンゴムシの「壁登り」や「合体移動」のような予想外かつ意味深な行動
*BIN、BGM、創発行動は、プロジェクトページの2枚目の図に登場しています
どうぞお楽しみください!
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
著者らは、BINのような構造としての心は動物だけでなく、植物や石のような物質にも存在すると考えている。現在、著者らは植物や他の物質から創発的な活動を導き出す実験方法を模索している。以下に、植物の創発行動生成の可能性を示唆する研究例をいくつか紹介する。
一般的にイメージされる草や木などの植物は、主軸となる茎、そこから枝分かれする枝、茎や枝に生える葉、そして地下の根から構成されている。主軸となる茎や枝をよく見ると、どちらも1本の茎とそこに生える葉からなるユニットで構成されていることがわかる。この単位を植物学では「シュート」と呼ぶ。普段目にする草や木の地上部は、実は多くのシュートからなる「シュートシステム」なのである。
それぞれのシュートは独立して成長する能力を持っている。この成長には、先端の伸長、幼芽(側芽)の形成、若葉や根の生成など、さまざまなレパートリーがある。従って、植物個体において、各シュートは、様々な成長パターンを行動として生み出すBGMであると考えられる。実際、シュートに似た形状で、その繰り返しによって植物体を構成する単位をモジュールと呼ぶ提案もある(Harper, 1985)。さらに、このモジュール性は植物における高い可塑性の要因のひとつと考えられている(de Kroon et al., 2005)。
植物をBGMの集合体と考えた場合、ある植物が強い光源に向かって成長するなど1つの個体として行動すると、いくつかの新芽は活性化したBGMとして成長し、他のいくつかの新芽は潜在的なBGMとして成長を抑制する。そして、潜在的なBGMがBINを形成する。実際、植物個体の各部分はネットワークを形成し、電気、化学薬品、水を用いて、その状態を他の部分に伝達している(Mancuso and Viola, 2016)。
BINにおけるシュートの自律的な成長抑制を確認する方法のひとつに、園芸でよく知られている挿し木がある。植物のシュートを切り取って土に植えると、シュート片から根が発生し、条件が整えば新しい植物個体となる。通常、植物の茎から根が生えているのを見ることはない。これは、それぞれのシュートが自律的に根の成長を抑制しているからである。
そこで生じる疑問は、植物の心、つまりBINを構成する新芽は、未経験の状況で創発的な行動を示すことができるのか、ということである。この能力の一例として、ネナシカズラという寄生植物に寄生された宿主植物の行動が挙げられる(Hettenhausen et al., 2017)。
次回へ続く・・・
SSL encryption communication is used in this Web site, and the informations filled out are safely transmitted.
お礼のメッセージ and others
2
supporters
back
(No quantity limit)
研究会HPにお名前掲載 and others
10
supporters
back
(No quantity limit)
研究会レポート謝辞、配信動画クレジットタイトルにお名前掲載 and others
17
supporters
back
(No quantity limit)
研究会での質問・コメント優先権 and others
0
supporters
back
(Limited to 12)
論文謝辞にお名前掲載 and others
4
supporters
back
(Limited to 10)
個別ディスカッション and others
0
supporters
back
(No quantity limit)
出張講義 and others
0
supporters
back
(No quantity limit)